大好きだった“友人のせい”で覚せい剤をまた始めてしまった男 一度使えば完治することは絶対にない恐怖の麻薬
TABLO / 2021年1月28日 9時50分
![大好きだった“友人のせい”で覚せい剤をまた始めてしまった男 一度使えば完治することは絶対にない恐怖の麻薬](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/knuckles/knuckles_41034_0-small.jpg)
写真はイメージです
寺嶋悟(仮名、裁判当時62歳)が初めて覚せい剤を使用したのは30年ほど前、まだ元号が昭和だった頃でした。それ以後も、彼は何度も逮捕され服役も経験しましたがなかなか覚せい剤から抜け出せずにいました。
そんな彼が変わったのは平成24年に刑務所を出所して以降のことです。そのきっかけはある一人の人物との出会いでした。
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彼が「友人」と呼ぶその人も過去には覚せい剤を使用していた時期があったそうです。「友人」は彼に援助をし、医者を紹介し、懸命に覚せい剤から抜け出すための手助けをしてくれました。
その結果、彼は覚せい剤に手を出すこともなくなりました。出そうとも思わなくなりました。ようやく新しく人生を踏み出せる、そんな希望が見えてきた矢先の出来事でした。
「またやろう、だなんて何年も全く思わなかったんですけどね。医者とも上手くいってたし友人も協力してくれたし、やめるのは簡単だと思いました。でも、またやるのも簡単でした」
彼が再び覚せい剤に手を出したきっかけもまた件の「友人」でした。
「友人の葬式の時に、前に関係のあった人から『やらないか』と誘われました。その時までは何回誘われても断ってたんですけど、断われなくてつい手を出してしまいました。精神的にちょっとおかしくなってたので…」
彼の更生に尽力してくれた「友人」の死因は自殺でした。自殺の詳しい理由はわかりません。ずっと自分を支え助けてくれた「友人」の死は彼に大きな衝撃を与えました。
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彼は統合失調症など、複数の精神疾患を抱えています。それらは府中刑務所内で受刑者からのイジメを受けてから発症しました。東日本大震災の時に福島にいた、という理由でイジメを受けたようです。彼にとって「友人」以外の人間は自分を虐げる脅威に映っていたのかもしれません。
被告人質問の中で「人間関係が怖かった」と述べる場面もありました。彼には親族など頼れる人は誰もいません。世界でたった1人、自分のことを心配し助けてくれた「友人」も喪いました。
彼の悲しみを優しく包み込んでくれるのは覚せい剤だけでした。彼を否定も拒絶もせず受け入れてくれるのは覚せい剤だけでした。
覚せい剤を1度だけ使用した後、彼は自ら警察に出頭しました。
覚せい剤をやめようとする自分、覚せい剤をやめられない自分、そのせめぎあいの中で彼は自首という手段を選びました。数年間の実刑は免れないことはわかった上での決断です。
「またはじめから…1からやっていくしかないと思いました。懲役に行ってやり直します。頼れる人も身内もいないし、それしかないと思ってます」
服役期間や、やめることに成功していた数年間を除いても覚せい剤の使用期間は十数年に及びます。その依存の度合いはかなり深いものだと判断せざるを得ません。断薬は相当な困難を伴うと思われます。
「使ってしまった時までは『完治』をしたと思ってたんです。でも違いました。『完治』ではなく『回復』でした。『完治』はもうしないとわかりました。『完治』という言葉はないんだと肝に命じながらやっていきます」
彼が今後、覚せい剤をやめることができるかどうかはわかりません。もしも誰か、彼の苦しみを分かち合い共に歩んでくれる、そんな人に巡りあえればその可能性は高まると思います。
しかしもし、彼と向き合う人間が誰もあらわれず彼の孤独に寄り添う存在が覚せい剤以外に何もないという状況になれば…その時に覚せい剤を使いたいという欲求の歯止めになるものは何もありません。
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警視庁のホームページによると、覚せい剤事案における50歳以上の高齢者の再犯率は8割を超えています。違法薬物に関しては「回復」はあっても「完治」はありません。一度覚せい剤に頼ってしまえば、薬物依存症との戦いは一生続きます。(取材・文◎鈴木孔明)
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