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大阪に55年ぶりの万博 その裏で西成区にあるドヤ街・釜ヶ崎のリゾート開発が「摩擦」を引き起こしていた

TABLO / 2018年11月28日 11時16分


 大阪に55年ぶりの万博がやってくる。松井維新府政と政府・自民党のお墨付きとあって大マスコミは総じて歓迎ムードのようだ。会場となる夢州は大阪市此花区にある人工島で、土地が高騰している1980年代には、広大な敷地を活用できる優良な土地とされていた。しかし、バブル崩壊後は一転。ただただそのアクセスの悪さが仇となって、現在は僅かな倉庫だけが立ち並ぶ不良債権となり下がったのだ。

 そこでの万博だけに、土地の有効利用という評価もできるだろう。しかし、すでに言われているように、実態は松井府政が推し進める「IR(カジノ)」と一体となった誘致であり、もっと踏み込んで言えば、カジノありきの誘致とも言える。
 一部メディアでは、万博のオフィシャルスポンサーにアメリカ・トランプ大統領と懇意のカジノ産業があることから、同じく万博を推した安倍政権との関連性を訝るなど、きな臭い話も出てきている。

 さて、このように大きな動きがあった松井府政であるが、実はもうひとつの「誘致」が地元住民との間で摩擦を起こしていることは、意外に知られていない。それは、大阪西成区にあるドヤ街・釜ヶ崎でのリゾート開発だ。著名な観光業者である星野リゾートなどが、JR新今宮駅北側にある空き地にホテルを中心とした施設を建設し、街の活性化を図る......という計画なのだ。

 この動きと関連しているのか、松井知事と同じく維新の吉村市政は「あいりん総合センター(以下・センター)」の建て替えを打ち出した。2021年には解体、2022年には着工を予定しているというが、従来「センター」は釜ヶ崎で生活する人々にとって、仲間で気楽に利用できる憩いの場所であった。その「センター」を建て替えることで釜ヶ崎住民の締め出しを狙っているのでは......と、危惧しているのだ。これらの反対派は、星野リゾートなどが進める再開発と一体化した動きとして、街の再開発自体に神経を尖らせているのである。

 もちろん、推進派には推進派なりの理由があり、西成地区に住むすべての住人が反対しているわけではない。反対派の動きには、一部新左翼党派の後押しも見られる。しかし、西成、特に釜ヶ崎の再開発計画は、昨日今日始まったのではなく、橋下知事の頃からその噂は囁かれていた。それだけ、維新府政にとっては悲願の事業とも言えるである。

 ただでさえ、釜ヶ崎周辺の土地は高騰しており、なかでも今池本通商店街は中国人による買い占めで、半ば"中華街"化しているという。なんにしても、再開発には従来から住む人々、つまりドヤの住人の権利を尊重することが前提なのは、言うまでもないだろう。(取材・文◎鈴木光司)

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