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なぜ芸能人は薬物に手を染めるのか? ある覚せい剤常用者の告白

TABLO / 2013年9月22日 21時0分

なぜ芸能人は薬物に手を染めるのか? ある覚せい剤常用者の告白

 だが、しっかりと立ち直って、通常の社会生活を営む者がいないわけでもない。今回は、過去に覚せい剤を常用していた男の話から、シャブの持つ魔力と中毒から脱却する術を探る。

「俺がシャブを常用していたのは、18~28歳くらいまでの十年。休肝日みたく身体に入れない日もあったけど、大体週五日くらいのペースでキメていたね。

 疲れと不安を取り除き、スーパーマン気分になれるのがシャブの魅力だよ。一度身体に入れれば自分の速度が一気に速くなって、あっという間に一日が終わってしまうけど、何をやっても集中できるし、寝なくても、メシを食わなくても平気だから、仕事やダイエットに使う仲間も多かったな。食べられたとしてもゼリーなんかで充分だから、すぐに痩せられるんだよ。ちょっと病的な雰囲気にはなっちゃうけどね。

 それに全身が性感帯ってくらい身体が敏感になる。それこそオナニーやセックスなんてしたら、猿みたいに一日中できちゃうほどだ。勃つまでは大変だけど、持続時間が異様に長くなるんだよね。若いころは最高で八時間、ずっとオナニーしていたこともあったな。皮が擦り切れるまでイチモツをしごき続けた自分には呆れたけど、イクときの快感はイチモツごと吹っ飛ぶくらいの感覚で、言葉にならないほど気持ちいいから発射するまでやめられないんだ。女の頭を飛び越えるくらい飛ぶしね(笑)。

 ポンプを使うことには抵抗があったから、もっぱら炙って吸っていたよ。もちろん静脈注射で身体に入れれば瞬時にキマるっていうから、一度は試してみたいと思ったこともあったけど、濃いのを打って死んでしまった友達がいたから恐くてできなかったんだ。彼の死因はショック死。その死に様が悲惨でさ、眉間に両目が寄った瞬間に、今度はこめかみに向けて両目が離れて、泡を吹きながら倒れて死んでしまったというんだ。ポンプしかやらない人は「効きも遅いし量も使うから炙りは邪道だ」って言うけど、そんな死に方したくないから、ずっと炙りでやってきたわけ。それにポンプでやる人は針を刺す瞬間が堪らないっていうけど、炙りにも堪らない瞬間があって、結晶が溶けてモコモコと煙が回り始める瞬間の高揚感は凄くエキサイティングだし、マスカットに似た独特の味も後追いして吸っちゃうほど美味いんだ。

 キメて何をするかっていうと、みんなで夜通し話したり、ゲームや映像、音楽なんかにハマることが多かったかな。当時の俺はF1が好きで、ドライバーズアイズって車載カメラの映像集が一番のお気に入りだったよ。バキバキにキメて映像に集中すると本当に乗っている気になれるし、コンマ何秒の差まで実感できる。実際に車も好きだから、ピカピカに磨き上げた車で高速に乗って、最高速チャレンジして遊ぶことも多かったね。キマっていると自分の速度も上がっているから、三百キロ近く出して走っても全然平気なんだ。

 シャブを止めたきっかけは、不安神経症から呼吸困難になって死にかけるということが続いたから。常用していると、どうしても勘ぐり深くなっちゃうから、強烈な強迫観念に襲われて被害妄想が止まらなくなるんだ。効いている時に警視庁24時を見て部屋の窓に目張りしたり、刑事や麻取に監視されていると思い込んで一日中外を見ていたこともある。幻覚がリアル過ぎて、不安が現実になっちゃうんだよね。こんなことで死ねないと思えたことも大きかったと思う。

 最後にキメた時から十五年近く経つけど、一度もやりたいと思ったことはないし、たとえ目の前に出されたとしてもやらないね。あれだけ派手にやっていたのに、なんの後遺症もないし、パクられることなくシャブをやめられたのはよかったよ」



 芸能界にもまた、一般社会にも蔓延しつつある覚せい剤。手を出したらそこで人生、終わりである。





Written by 日刊ナックルズ編集部

Photo by podpad

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