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愛知県知事不正リコール事件 高須院長のトーンが弱くなっていませんか│久田将義

TABLO / 2021年3月18日 6時0分

愛知県知事不正リコール事件 高須院長のトーンが弱くなっていませんか│久田将義

「リコールの会」ホームページより。

ハッキリ言って人の批判とかしたくないんです。素晴らしい人だ、という原稿の方が書く方も気持ち良いと思うのです。けれど、どうしてもこれだけは書いておかなければなりません。

そろそろはっきりさせて頂きたいのが、愛知県大村知事へのリコール不正問題。いや愛知県警が捜査に入っているから問題ではなく「事件」と言っておきましょう。

この際、「あいちトリエンナーレ」の内容は置いておきます(現場を知らないと意味がないと思い、僕も観に行きましたが)。問題はそこを離れていきました。現在の焦点は「選挙で選ばれたのに気に入らない政治家を金の力で辞めさせる事が出来るのか」になっています。

各報道でお分かりのように高須クリニック院長高須克弥氏、河村たかし名古屋市長が音頭を取って始まったこのリコール運動。リコールとは『選挙で選んだ首長・議長などを住民投票などによって、解職を要求出来ること(制度)』(「新明解国語辞典」三省堂より)となっています。すなわち、地方自治体の首長については国民の声で解職が出来るのです。そういった意味では高須院長、河村市長の行動は制度に基づいた正当な行為だったはずです。

集まった、リコールを求める票の80%が、同じ人が書いたものや亡くなられた人の名前が書かれていた、偽造がバレるまでは。

なぜこのような事態が起こってしまったのでしょうか。会社なら代表取締役が頭を下げ、辞任する事でしょう。政治の世界なら首相がお詫びするでしょう。
ではこの運動の元となるものは何なのでしょうか。ホームページでは「愛知県知事リコールの会」となっています。会と名称があり、事務局があるという事は組織と認識して良いでしょう。組織は通常、縦割りです。すなわち事務局長が組織のトップなのか。それとも高須院長なのか、河村市長なのか。

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2021年2月22日の会見で高須院長と田中事務局長のみが出席。トップは誰なのかは意識してか知らずか非常にあいまいです(会見当時)。

冒頭、高須院長が「全て僕の責任です。すみませんでした」(2分15秒)とお詫びします。それはボランティアの皆さんに、と言う事でした。

19分36分頃から「田中さんが逮捕されるんじゃないかと言われている。大変不愉快です」と言った言葉が登壇者から飛び出します。これは、フラグなのでしょうか。まだ捜査中ですよ、「リコールの会の」の皆さん。

19分59秒頃から高須院長が身振り手振りで強調します。
何でも聞いてください。僕が最高責任者です」。言い切りました。
高須院長「佐賀県での(不正作業には)明確にかかわっておりません」「佐賀県なんていっぺんヘリコプターで行った事があるくらいでそれ以来いっぺんも行った事がありません」と強弁(20時31分)

【疑問】佐賀県に行ったことは問題ではなく、指示したのか、あるいは指示を知っていたのかが問題。なのに問題をわざとからか、無意識からか、逸らしているのか。

質問「事務局の組織的関与もないし事務局の関係者の関与もない?」20時54分

高須院長「事務局長を僕は信じます。事務局長をなぜ信じるのかというと河村市長が紹介してくれた人材なんです。河村市長がわしがリコールを成功させる。河村市長を紹介してくださった事務局長を信じない訳がないです。ずーっとそれを言い続けているんです」(21分12秒ころ)

【疑問】これも質問に答えていません。田中事務局長を信じる、なぜなら河村市長が紹介してくれたからだ、という答弁。信じているかどういう人かを聞いてるのではないです。会のトップ(会長と呼ばれている)として、ご存知なのかそうでないのかを聞いているのです。強弁と迫力で記者はそれ以上質問しません。

高須院長の河村市長が主導だったという主張はまだまだ続きます(22分04秒)。

「元々、河村市長がこれ(あいちトリエンナーレ)は許せんじゃ。リコールしようと思っているんだが高須さん手伝ってくれんかねと電話かけてきたから分かりました、お手伝いしますと僕はしっかり言いました。明日県政記者クラブで発表するからと言うからお供しますと答えました」

【疑問】はじめの「僕が責任者です」という潔い発言からかなり修正されているな、と感じました。最高責任者ではないですね、これを聞くと。お飾りです。と言う事は河村市長主導でこのリコール事件が行われたという事にもなりかねません。

事実、「この会見は見ていましたよ。誰が不正を指示したのか分からないにしろ、これは高須院長の弁明会見でしたね」(警察関係者)というコメントもありました。

高須院長「リストの中に僕の友達の名前がたくさんありました。県政クラブは小さいので全員呼ぶ訳も行かず、何人か電話して会見となりました。河村市長がお出でにならないので。その時司会していたのが田中事務局長です。そこで代表になっちゃったんです。僕は始めっから応援団長をやるって言ったのから代表になっちっゃて。僕の立ち位置に河村さんが座る事になっちゃって。僕は素人なんです。選挙のやり方とか何にも知りません」(23時04分~)

【疑問】長い答弁ですが、代表に(会長)になりたくてなったのではない。応援団としての立場だった。河村市長がいないから仕方なくなった。つまり、お飾りとしてご自分を強調されています。あれ、最高責任者では?

この会見は1時間40分くらい続きました。さて、高須院長のツイッターのタイムラインでは相変わらず愛国者を自認するだけあって、勇ましい言葉が続きます。とは言うものの、ここ3週間はコロナと黄砂の話に終始しており、また3月11日も重なり、いかに自身がボランティアで東北の被災地を回ったかという内容が主でした。3月12日以降、リコール不正事件についてはツイートをしていません。もちろん捜査中というのもあるでしょう。が、うがった見方をすればこの事件を世間から忘れさせたいのかなとも思われます。それから約一か月後。

CBC3月15日の取材では高須院長は

「150万円の寄付の使い方も任せてある。どうなったのか知りません」「わかりません、それは警察の仕事です。刑事罰を受けることもします」(大意)とトーンダウン。愛知県県警の捜査の内容が徐々に記者を通じて漏れてきたのかどうか。以前までは

「僕がトップです。
河村市長は応援団長です。」2021 2.25

とツイートで断言しています。では、トップはどういう責任の取り方をするべきなのでしょうか。高須院長が常々明言している潔さで言えば、第三者の弁護士チームを立ち上げ組織の長として膿を自ら出す事が一番「カッコ良い」のではないでしょうか。が、残念ながらそのような動きはありません。

テレビで「バイキングMORE」(フジテレビ系)ではこの問題を取り上げる際、坂上忍さん、ブラックマヨネーズさんらが枕詞のような使っていたのが

「高須さんらしいな」

「僕、高須さんよく知っているんだけど」

そこは忖度してしまくりです。まして予算が苦しい中の貴重なスポンサー(フジテレビなら「本音でハシゴ酒」など)なのだから。テレビにはこの問題の解決は期待できそうもありません。(文・久田将義)

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