コロナ収束後でも「花見禁止」「大勢の会食自粛」は続くかも 911から我々は何を学んだのか
TABLO / 2021年3月21日 10時0分
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コロナ収束後でも「マスク着用」「花見禁止」「大勢の会食自粛」は続くのか(撮影・編集部)
一つの大事件がその後の「新しい生活様式」をもたらすことがある。今は「マスク必須」「大人数での会食禁止」「花見禁止」「スポーツイベントの観客は会場の半数まで」などがあるが、将来的にこれらは定着する可能性はある。
それの発端の一つとなった平成の大事件が2001年(平成13年)の米同時多発テロだ。「911」とも呼ばれるアメリカ本土が初めて大打撃をくらったこの事件以後、航空会社のセキュリティが厳格になった。イスラムテロ組織・アルカイダのメンバーが4機の飛行機をハイジャックし、2機はワールド・トレード・センターに激突し、1機はペンタゴンに墜落、1機は乗客の阻止もありペンシルベニア州の野原に墜落した(ただし全員死亡)。
これ以後、飛行機のセキュリティチェックが世界中で厳格になった。日本の国内線はそれ程でもないが、国際線は相当厳重である。厳格なチェックに加え、入出国の時間もあるから離陸の2時間半前には空港に着いていないと安心できないようになった。
それ以前のセキュリティチェックは「ザル」とまでは言わぬものの、荷物と身体に金属製のものがないかをチェックする程度だった。だからスムーズに列は流れていた。911以後はこう変わった。
・上着は脱ぐ
・ベルトは外す
・パソコンや携帯電話は取り出す
・ポケットに入っている硬貨も取り出す
・ペットボトル等の液体は捨てる(ないしは検査を受ける)
・ブーツなどくるぶしよりも上を覆うタイプの靴は脱がされる
これらについては正直なんのためにやっているのかよく分からない。液体に関しては確かに検査は必要だろう。だが、目薬は大丈夫でペットボトルはダメ、という基準がよく分からない。サリンであれば目薬の量でもかなりの殺傷能力がある。善良なるほぼ全員の乗客がこれに付き合っているわけだが、カルロス・ゴーンの逃亡劇の際のプライベートジェットのザル過ぎるセキュリティチェックとは大違いである。一度衝撃的な事件・事故があった場合、慎重であればあるほど良いと考えるものだが、これらはもう当たり前とばかりに続けられている。
その後もテロが発生したが、その後は公共の場からのゴミ箱の撤去が相次いだ。ゴミ箱の中に爆発物があることを懸念したのだ。もちろん1995年の地下鉄サリン事件の教訓もそこには含まれる。
東海道新幹線でも2018年の死傷事件以後、警備員が巡回するようになった。事件後は「上客全員のセキュリティチェックをすべきでは?」という議論も発生したが、さすがに乗車人数が多過ぎるためそれは現実的ではないということでこのような落としどころになったのだろう。
現在の「新しい生活様式」の状況が今後も定着していくかもしれない、と考えるのは上記のような状況が当たり前のように受け入れられているからだ。もう宴会は一生日陰者による悪事になってしまうのかもしれない。
となると、今後も何らかの事件・事故は発生するから人間に対する制限は次々と増えていくことだろう。「100年に一度の〇〇に備える必要がある」という注意喚起の前には「来ないかもしれないじゃん」や「費用対効果に見合うの?」という疑問は封殺される。お前は安全を軽視するのか? と。いや、それは「安心」であり「お気持ち」じゃないのか? という疑問はもはや許されない令和の時代になった。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)
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