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「これをやらなきゃ看板倒れだ」警視庁公安部、中国・北朝鮮シフトの”本気度”

TABLO / 2021年3月24日 16時34分

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警視庁も厳しく指導を

警視庁は4月から、公安部の外事部門に朝鮮半島を担当する新たな課を設立し、現行の3課体制から4課体制に移行する。中国と北朝鮮への対応力を強化するとの触れ込みだが、最近の外事部門の実態を踏まえると、目論見通りに行くかどうか懸念もある。

警視庁公安部の外事部門はこれまで、外事1課がロシアなど欧州各国を、外事2課が中国と北朝鮮などアジアを、外事3課が国際テロ組織を担当してきた。4月からは北朝鮮担当部門が独立して外事3課となり、国際テロ担当は外事4課となる。

これに伴い、中国・北朝鮮担当はともに増員されるという。その目的について各メディアは、警視庁の発表に沿って「金正恩総書記体制になって以降、北朝鮮が国際的に孤立を深めていることから、今後、日本でのスパイ活動が活発になる可能性があること、中国の政治・経済的な脅威が高まっていること」(TBS)などと報じている。

「韓国情報を集めろ」

だが、北朝鮮情報に詳しい専門家の間に、金正恩体制が今後、対日スパイ活動を強化すると見る向きはほとんどいない。あるベテランジャーナリストが話す。

「北朝鮮が日本で活発に工作活動を行ったのは、2000年代の前半までだろう。精密機械などの戦略物資は、中国などの技術発展で、日本以外でも入手可能になった。外貨の獲得源だった覚醒剤の密輸も、今では止まっている。イメージ悪化と財政難で朝鮮総連の活動も停滞し、日本政界とのパイプも切れている。日朝国交正常化と経済支援の前提となる拉致問題の解決も難しいと知り、北朝鮮は日本に興味を失っている」

別の北朝鮮ウォッチャーも、次のように語る。

「経済制裁で日朝貿易が壊滅し、万景峰号の航路も閉ざされて人の往来が激減した。日本国内に、北朝鮮情報は枯渇している。日本の情報当局者たちからは『頼むから、万景峰の入港を再開させてくれ』という、情報とも本気ともつかない言葉をよく聞く(笑)」

そうした中、日本の情報当局が関心を寄せているのが韓国の文在寅政権の動向だという。「従軍慰安婦問題や徴用工問題など、日韓の間には北朝鮮にも増して懸案事項が多く、いずれも政治的に微妙な扱いをすべきマターだ。首相官邸が各情報当局に、『韓国情報を集めろ』とせっついているようだ」(前出のジャーナリスト)。

数年で人事異動

警視庁の組織再編については、その効果に疑問の声もある。

「警視庁に限らず、日本の情報当局の課題は語学力だ。朝鮮語(韓国語)の出来る専門要員がもっとたくさんいれば吸収できる情報の量は飛躍的に増える。しかし警察組織が、数年で人事異動する人材に本気で語学教育を施すとは思えない。語学力の強化策が伴わないのなら、再編は看板倒れに終わる」(前出・北朝鮮ウォッチャー)

一方、今回の再編は朝鮮半島よりも、中国シフトがメインだとの指摘もある。前出とは別のジャーナリストが話す。

「中国は2017年に制定した『国家情報法』で、国民や国内企業、団体に諜報活動への協力を義務づけています。中国当局はこれまでも、留学生や外国企業の社員から少しずつ情報を吸い上げる『諜報の人海戦術』を得意としてきましたが、それを露骨に強化している。こうした手法は違法行為の範囲が『広く、浅い』ため、相当綿密に監視しないと見つけられないのが特徴です」

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それならば中国担当の増員もうなずけるが、いずれにしても語学力の強化は必須だろう。警視庁は果たして、今回の再編にどこまで本気で取り組むのだろうか。(取材・文◎編集部)

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