そろそろ悪夢のような「確定申告」 プロが教える、コレさえやっておけば良い3つのこと
TABLO / 2018年12月10日 11時38分
図解いちばん親切な税金の本18-19年版
まあ聞かずとも答えはわかりますけどね。「やらないし興味ない42%、嫌い55%、好き3%」くらいなもんです。きっと。ちなみに私も個人的には嫌い側です。税金払うのいやですし。
とはいえ、そういった作業をメシの種にしているものとして考えると、「何もそこまで嫌われなくても良いのではないか」とも思います。「確定申告とか税金キライ」という風潮が強くなると私たち税理士も「なんかイヤなことやっている奴ら」というイメージで見られてしまいます。「税理士を名乗るだけでモテる世の中に!」をスローガンに日々仕事をしている私としては死活問題です。
そこで、皆さんが税理士の何が嫌いかを考えてみました。
まずは「税金を取られる」という点ですよね。でもまあそこはある意味仕方がない。ほら、憲法でも義務って言っているし。
しかも所得税の税率はそれほど高くありません。「最高税率45%なんて!」という方のほとんどはそこまで稼いでないですからね。
たとえば給料額面が40万だったら所得税の率は3%くらいなもの。月収120万円だって所得税率は15%まではいきません。
フリーランスの方ですと、
・利益100万円 税率3%ほど
・利益300万円 税率5%ほど
・利益500万円 税率10%ほど
・利益1000万円 税率16%ほど
となっています(控除ゼロとしたときの割合です)ので、庶民にとっては所得税はそれほど高くありません。
それに引き替えサラリーマンの社会保険料は額面の15%。嫌うならまずこっちからですよ!
「税金が重いから嫌い」というのは冤罪だとして、他に原因があるとするとそれは「わかりづらさ」なのだと思います。何から手をつけたらいいかわからない方が多いでしょうし、そんなものを好ましく思えるわけがない。
これは私たち税理士の努力不足なのか、あえてわかりづらくするお国の策略なのか、そこはもうよくわかりませんが、とりあえずどこから手をつけたら良いのかということをまずは知っていただけたらと思います。
というわけでようやく本題です。
今回は「確定申告とはなんぞや!」などということはさておき、作業として何をしていくべきかという点に絞ってご紹介していきます。流れがわかればスムーズに作業を進められますし、スムーズにすすめば嫌いにはならないはずですからね(たぶん)。
<年間通してやっておくべきこと>
最も望ましいのは1年を通じて請求書や領収書、レシートなどを取っておき、それをもとにちゃんと帳簿や会計データを作成していることです。最近ではマネーフォワードやfreeeといったクラウドサービスもありますのでお手軽になったとは言えます。
が、皆さんはそれができないからこの文章を読んでいるわけです、きっと。ではそこまでできない人は何をしたら良いか。最低限やっておいてほしいことは2つ。
① 領収書、レシートなどを取っておくこと
② 通帳をちゃんと記帳しておくこと
レシートなどの資料がなければ困るのは当然として、通帳です。長い間記帳しないでいると、その間の取引が合計で印字されてしまい、内容を知るためには銀行に問い合わせないといけなくなってしまいます。そうこうしている間にやる気はどんどん減退しますので、そうならないためにも最低限これくらいはやっておきましょう。
<年末近くにやっておくべきこと>
年末になると(一部は年始になりますが)確定申告で使用する書類が郵便で届くようになります。保険会社や役所からの封筒はなかなか積極的に開ける気にはならないものですが、なくすと作業が進まなくなりますので頑張りましょう。
届く書類の代表格は以下ものです。
・社会保険料(国民年金)控除証明書
・生命保険控除証明書
・地震保険控除証明書
・寄付金受領証明書(ふるさと納税など)
・住宅借入金等年末残高明書
・源泉徴収票
・支払調書
・株式やFXの計算書
上の5つは控除を受けるために必要な書類です。これらの書類があることによって税金が減ることになります。
下の3つは収入の証明です。利益の計算をする際にはこれらは必須です。
フリーランスにもっとも縁があるのは支払調書ですね。たまに「支払調書なくしちゃったけど売上は通帳で把握できるから大丈夫」という方もいますが、支払調書には売上よりも重要な情報が載っています。それが源泉徴収税額です。これは売上から10%ほど天引きされ、先に国に支払われていた所得税です。もし確定申告による税率が4%であれば差額の6%が還付されるわけですが、支払調書はその証明になるものです。とても大事ですよ!
税金を減らしたり還付金を増やすためにはこういう書類が必須ですので、一度自分の状況を顧みて、「自分のところにはどんなものがくるだろうか」ということを把握しておいても良いかもしれません。(文◎高橋創[税理士])
資格予備校講師(所得税法)、会計事務所勤務を経て、
2007年に新宿二丁目で独立開業。
著書に『税務ビギナーのための税法・判例リサーチナビ』(中央経済社)
『図解 いちばん親切な税金の本18-19年版』(ナツメ社)。
事務所URLは、http://namahage-tax.jp/
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