「田中容疑者は忠犬ハチ公のよう」と高須院長 リコール不正署名事件『バイキングMORE』でのコメンテーター達の内容をまた精査してみた
TABLO / 2021年5月27日 7時35分
テレビ局にとってスポンサーは大事(撮影・編集部)
26日放送の『バイキングMORE』(FNN系)で露骨な高須克弥院長(元リコールの会会長)の擁護が再度見られました。最早、寸劇のようでした。
簡単に言ってしまえば、
・田中事務局長がとにかくやった
・で、田中事務局長の人となりを貶める
更に
・田中一家ってどうなの
そして
・高須院長は潔い
この4点を強調するコーナーでした。一時間近く使っていました。まずは物分かりの良い、コメンテーター達だなと思いました。台本を見て、何も感じなかったのでしょうか。
ネタバレから言うと、田中容疑者がそのような事をした動機は「次の衆院選に出るため高須マネーが必要だった」とのこと。確かに、そうかも知れません。結局これがオチでした。
番組冒頭、「前代未聞の署名偽造事件、その手口の一端が明らかになってきた!」との大袈裟なナレーション。ナレーターの方もご苦労様です。田中孝博容疑者(元事務局長)がなぜ悪事に手を染めたのか(が、26日現在、容疑者である事は明記しておく)。リコール活動の模様とまた田中容疑者の逮捕前インタビューに答える様子を放送。
合間合間に高須院長の電話インタビューの声が挟まってきます。
「(田中容疑者は)一生懸命僕にくっついて本当にガードマン兼街宣の手伝いをやる。本当に涙ぐましいぐらい僕に献身的ですので」との事。
続いて
「忠犬ハチ公みたいですから」
とペット扱い。
愛知県知事リコール署名偽造事件で醜い責任の押し付け合い コメンテーター達の発言をチェックしてみた | TABLO
「僕が倒れそうになると本当に体を張って僕を守ってくれていますから」
とバカにしているのか、庇っているのかよく分からないコメント。
また、高須院長のコメントは相変わらずブレブレでした。
「田中容疑者が河村市長に指名されていてそれから僕はいつの間にやら会長ってことになっちゃって」と「神輿です」アピール。で、その後に男らしい事を言うのがこの人の常ですが、やはり、
「でもこれは男の筋ですから、いっぺん引き受けたからにきは全責任は僕が取ります」
だそうです。出た「男の筋」。何ですかね、「男の筋」って。哲学的にも難しい解答です。
全責任を取るのなら、自らが身代わりで逮捕されればいかがと思いました。会長職にあった人なのだから。あるいは、ゴルフや相撲を見にいっているのならその時間、ボランティアや投票した人(少ないでしょうから)に謝罪行脚してはどうでしょう。もちろん、河村市長もです。が、彼は「監督責任はない」と開き直っているので、ある意味、高須院長より小利口なのかも知れません。
さて、そこからコメンテーター達に坂上忍さんが振っていきます。
まずとカンニング竹山さん。
「高須さんと河村さんが知らない所で下の人たちがワッとやった事なんでしょうけど高須さんは私人だから良いとしても河村さんていうのは大きな行政の組長で、市長がリコール運動に参加する意味ってすごく大きい(略)。知らなかったとしても河村市長の場合、何かしらの責任は僕はあると思うんですよね」
と、公人・私人論にもっていきました。河村市長は確かに、公人です。で、高須院長は私人かと言うと恐らく、かなりの確率で裁判所は(提訴などになった場合)は、準公人・みなし公人と見るはずです。なので、この論は成り立ちません。もちろん河村市長も責任をとるべきというのは賛成ですが。それと「知らないところでワッとやった事」なのでしょうか。今、まさにそれが恐らく愛知県警の捜査と田中容疑者への取り調べの争点となっていると思われますが、断言しちゃっています、竹山さん。大丈夫でしょうか。
続いて坂上さんの自論。
「高須さんは何があったって僕に責任はあるんだって終始言っている。でも河村さんは責任は感じております。でも『監督責任はないんですから』って」
だから、その責任の中身はどうなのかを皆さんが問うているのです。
「背景にあるのは河村さんと大村さんの政治的背景。ここの対立がそもそもある」
と鈴木哲夫さん。政治的背景を見る事も大事ですが高須・河村両氏の関わりが今、も問題になっているのです。また番組では高須院長に「責任の取り方」を聞いています。
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「このリコール運動で1円でも損失をこうむった人には全部それ補填します」との事です。が、それには損失が生じた事の立証が必要になります。そちら側が立証すべきでしょうか。
続いて
「秘書や田中容疑者が孤立無援で絶望を感じているのなら僕は暖かく保護しようと思っています(略)僕は見捨てない」
との発言。まるで他人事です。自らが当事者である事を放棄しているのか、忘れているのか、支持者を増やそうとわざと言っているのか。どちらなのかと思っていましたが、横粂弁護士。
「らしい、懐が深いなと。高須院長の方は道義的責任に真っ向から向き合われていて(略)ポスターに高須院長と河村市長のどちらかが始めたのか主導とか関係なく組織の中枢で不正が行われた。それに対して真っ正面から向き合っている」
いやいや。高須院長と河村市長の言い分は真っ向から食い違っています。どちらも言い出しっぺは高須院長・あるいは河村市長と言い合っているのですから。つまりどちらかが嘘をついている訳です。百歩譲って忘れているとも言えますが。とは言え両者とも断言しているので、やはりどちらかが嘘をついているように見えます。で、既に前記しましたが田中容疑者の不正の動機は県議への返り咲き。あるいは国政進出というものというオチでした。
この問題において、多分『バイキングMORE』ほど世間ずれしている番組はないのではないでしょうか。(文@編集部)
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