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「隠れキリシタン」の名宝が東京近郊にもあった!? どうやって作ったのか分からない謎の遺作たち!

TABLO / 2018年12月28日 11時15分

 今年7月、長崎県の五島列島に点在する「潜伏キリシタン」に関する諸施設が、世界遺産に認定され話題となりました。学校で教わった歴史でも、潜伏キリシタン/隠れキリシタンは長崎の出来事だと教わりました。

 しかし、東京からほど近い場所でも隠れキリシタンの残したものが見られる場所があるのです。

 夏になると、サーファーや海水浴客でごった返す神奈川県の大磯町。きらめく美しい海をのぞむ小高い丘になった場所に、今回ご紹介する「澤田美喜記念館」があります。

 ノアの方舟をイメージした長六角形の特徴的な建築。階段には十字架の形をした手すりが26本並んでおり、これは豊臣秀吉のキリシタン禁止令により殉教した26聖人を偲んでつくられたものです。まずは澤田美喜とは一体誰なのか、この施設はなんなのかからご説明いたします。館内に入ってすぐ、澤田美喜の肖像画掲げられています。

 三菱財閥の創業者である岩崎弥太郎の孫として生まれた美喜は、クリスチャンの外交官澤田廉三と結婚。戦後に、混血孤児を2000人以上救った人物です。その傍ら、結婚を機にキリスト教へ改宗した美喜は、隠れキリシタンの遺物を蒐集していました。そのコレクションを展示しているのが、この記念館です。

 館内に入ると、美喜が集めた隠れキリシタンのコレクションがズラリと並んでいます。

 こちらは如来像。結んだ印の形から阿弥陀如来像であることがわかります。一見するとなんの変哲も無いのですが、後ろへ回ってみるとこれが仏教の像でないことがわかります。

 背中の一部を開いてみると、そこには十字架に架けられたキリストの姿があるのです。キリスト教が弾圧された時代、それとわかる物を所持していると弾圧され、殺されることさえ珍しくありませんでした。それでも信仰を捨てなかった信者は、このようにして自らの信仰の対象を隠したのです。

 こちらは薬壷を手にしている姿から、薬師如来の像だとわかります。しかし、台座と像を離してみると、なかから十字架が現れるのです。仏像に手を合わせるふりをして、その向こうのキリストの姿や十字架に祈りを捧げていた隠れキリシタンの、秘密で敬虔な心が見えてきます。

 こちらは、正面から見れば韋駄天像ですが、背中にキリストの姿を背負っています。この韋駄天はもちろん、これまでご紹介したものは、仏像として素晴らしい作品です。ここでよく考えてみましょう。隠れキリシタンの祈りの対象となるものなので、これを製作したのは当然、仏像を作る仏師ではなくキリスト教徒なのです。仏像製作のノウハウなど持ち合わせているはずのない、キリスト教徒が丁寧に仏像を彫り、さらにキリスト教のモチーフをたくみに隠すという、とてつもない技術でつくられているのです。

 そうした、隠れキリシタンの遺した品々の中でももっとも驚くべきものが、この記念館には所蔵されています。

 直径30センチほどの鏡。とくに違和感はありません。しかしこの鏡「魔鏡」と呼ばれているのです。その所以は、鏡に光を当てると見えてきます。

 なんと、反射した光が十字架に架けられたキリストの模様として浮かび上がるのです。鏡をどんなに覗き込んでも、そうした模様は見えません。記念館の方いわく、現代の科学をもってしても、この魔鏡の作り方はわかっていないということでした。

 2018年夏、長崎・天草の潜伏キリシタンの遺産群が世界遺産に登録されました。たしかに素晴らしい教会や信仰の痕跡が残っています。ただ、「正直言って交通の便が悪くて、そこまでは」という方もいらっしゃるでしょう。

 しかし、都心から約1時間で、これほど素晴らしい作品群が見られる場所があるのです。(Mr.tsubaking連載 『どうした!?ウォーカー』 第24回)


■澤田美喜記念館
神奈川県中郡大磯町大磯1152
開館時間:10時~16時
休館日:月曜日(ただし祝祭日は開館、その場合翌日火曜日休館)、年末年始


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