酷すぎる那須川天心選手の扱い RIZINは何を考えているのか 高田延彦氏の心ない解説にも注目
TABLO / 2019年1月1日 18時3分
こんな試合があってはいけない、こんな試合を組んではいけない、こんな試合を評価してはいけない。
RIZIN大晦日「那須川天心対フロイド・メイウェザー」です。那須川選手がいいように遊ばれ、1R、TKO負け。
まずはこんなバカげた対戦を受けて、堂々と戦った那須川天心選手に敬意を表します。
この試合が組まれた時、僕はツイートやニコ生でも「あり得ない。運営は何を考えているのか」と言ってきました。何も夢がない。ドラマもない。後世まで語りつがれるロマンもない。
語り継がれる試合というのは、「辰吉丈一郎 対 薬師寺保栄」だったり「畑山隆則 対 坂本博之」だったり「魔裟斗 対 山本KID」だったりします。そこには鍛え上げた肉体と気力で打ち合う格闘家の魂が感じられました。
だからこそ、ファンは格闘家に敬意を払います。僕もMMAの道場に通って七年くらいになるのですが、プロの選手たちの真剣さをたまにジムで見ます。リングに上がる事自体、リスペクトしています。
体重や環境を同じにして、ルールを明確にして、初めて興行が成立するのです。そして名勝負が生まれます。
格闘先進国アメリカだったらこんなバカな試合は組まれません。ウェルター級のメイウェザーと軽量級の那須川選手。海外から笑われます。しかもメイウェザーは引退した選手です。
メイウェザーからすれば、「たまには正月を日本で過ごすのもいいか。9分(3R)のエキシビジョンマッチ(スパーリングですよ、彼からすれば)で10億円のギャラ。美味しい」ぐらいでしょう。
その証拠にメイウェザーが来日したのは試合2~3日前。試合会場に入ったのも開始一時間前くらいだったでしょうか。
見る方のレベルが低い日本
それとメイウェザーが来てくれただけで感激という人。メイウェザーは確かにアメリカ史上に残るスーパースターです。誰もそこに文句はつけません。しかし、「来てくれただけで良かった」などという、意識の低さ。海外のファン、メディアからバカにされます。
格闘技ファンというのは前述したように、魂と魂の殴り合い、技の掛け合い、戦いを見たいものではないのでしょうか。メイウェザーのエキシビジョンなら練習を見ていればよいでしょう。練習風景ならYouTubeでたくさん転がっています。
実行委員長の榊原信行という人も何を考えているのでしょう。「アリ・猪木戦のようになる」主旨の発言の責任を取って頂きたい。なるはずがないじゃないですか。あれはキック有り、ラウンドも15ラウンド。体重もヘビー級同士でした。
ボクシングは500g、1kg単位で階級が区切られている繊細な格闘技・スポーツです。格闘技を、ボクシングを、選手をナメているのでしょうか。いやファンをナメているのでしょうか。
また、高田延彦氏の解説が明らかに呂律と滑舌がおかしかったのは真剣に心配ですが、内容は全く技術解説できないうえに、サッカーの松木安太郎氏のような賑やかしにもなっていませんでした。そして試合後は「体重差があるからしょうがない」とのコメント。これは酷い。酷いとは、もちろん那須川選手に対してです。
全力を出して負けた選手に、というよりこんな無茶なマッチメイクを受けた那須川選手にかける言葉でしょうか。あなたたちが組んだマッチメイクですよ。興行の責任を取って頂きたいと思います。
ニュースサイト「THE PAGE」が海外メディアの反応を報じていますが、一部を引用してみます。
【米国のスポーツ専門メディアのESPNは「メイウェザー対天心は『馬鹿馬鹿しいイベント』」との見出し記事を発信。
「もし本当のボクシングマッチに向けて整えるいつものような究極のコンディションとはとても言えない41歳のメイウェザーが、20歳のボクシング未経験選手をわずか2分余りで負かすエンターテインメントを見せたとすれば、おめでとう、と言うしかない。(それはそれで)もしかしたら私たちを楽しませてくれたかもしれない」との印象を記した。】
全く同感です。もし心ある格闘メディア、格闘ライターがいるのならこのような評価を下すべきです。
そして、試合前にこれを煽った、「素晴らしい」「期待している」と言ったり、書いたりしていた格闘家、格闘ライターを僕は一切信用しません。(文◎久田将義)
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