伝説の超武闘派暴走族「極悪」メンバーに怒られました テレビ番組での格付けランキングに「俺たちが５位だと！」

東京下町の少年達が作った喧嘩集団「極悪」(YouTubeより)

前回は不良少年史の取材の難しさや、不良少年史に残る暴走族「極悪」が果たした役割を解説してみました。また、彼らが起こした事件の中で最も記憶に残るであろう「大井ふ頭事件」について、初代築地極悪、月島極悪、深川極悪と二代目のメンバーたち数人にインタビューした時の声を掲載してみました。

「極悪」の初代は築地、月島、板橋、北千住の四つからなっていましたが、すぐに荒川を中心とした町屋極悪、足立区の梅島極悪。そして台東区浅草を中心とした三ノ輪極悪が出来ました。個人的な事で恐縮ですが、僕が通っていた明大中野高校(中学から)の同級生も浅草の人間で三ノ輪極悪メンバーでした。

BSスカパー「BAZOOKA!!!」と言う番組が放送されていました。数回出演した事があるのですが、率直に言って非常に面白い番組でした。何と言ってもディレクターや放送作家の人たちが少しヤンチャで、よくありがちな「テレビの方が紙媒体より偉い」的な態度を取りません。打合せも楽しい、というより有意義なものでした。こたらが勉強させて頂くという感じでした。

メインMCは小藪千豊さん、真木蔵人さん。お二人も非常に感じが良く頭の回転が早い人だな、という印象でした。
で、ある回の時に「暴走族ランキング」というものが放送されました。僕がそれを解説するというものでしたが、まるで僕がランキングを作ったかのように見えてしまいました。

と、というより不良少年のグループにランキングする事自体、無茶であり、この手の取材をしている人であれば「止めておけ」と言うでしょう。僕もそうでした。

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暴走族の構成人数でランキングを付けるのか。それでも何人いるのかは、警察でも把握しきれないでしょう。記憶が定かではないのですが、ずるずると収録日(確か生放送)になってしまいました。
「暴走族ベスト10」が発表されてしまう日が来ました。ほぼ憶えていないのですがベスト10のうち10位は憶えています。大田区を中心とした巨大暴走族「ZERO」でした。根拠不明でしたので、何度も焦って「これは僕がランキングしたものではありません」と断りを入れ、小藪さんも「番組の方で勝手にランキングしたものです」とフォローを入れて頂いたのは記憶しています。大変優しい方です。
そのうち、友人のいる「極悪」が登場しました。確か、5位あたりだったはずです。この根拠も分からないですが、初代築地、月島極悪のメンバーの人達とは未だに連絡をしている間柄でしたし、何より高校時代の友人がいるチームです。1位も忘れましたが、『スペクター』か『ブラックエンペラー』だったはずです。
「この番組、『極悪』のメンバーが見ていなければいいな」と思っていたのですが、期待は外れました。放送日から一年くらい経ったと思います。浅草では下谷祭り、鳥越祭り、そして三社祭りが行われます。祭りと暴走族は密接な関係にあり、友人も浅草の祭りの会に入っていました。誘われて祭りに行ったのですが、二次会でとうとう絡まれてしまいました。いや、誰が悪いのでもなく軽々に番出演を引き受けてしまった自分が愚かなのです。
三ノ輪極悪OBだけでなく、山谷連合か山谷ロッカーズOBもいました。地区が近いため交流があるのです。酔った極悪のメンバーが、

「おいおい見たよ、番組。何で俺たちが5位なんだよ!」

僕「ランキングは番組が付けたもの何だよ」
と言っても血の気が多く、酔った『極悪』OBには通じません。

極悪OB「で?　1位はどこ何だよ!?」と聞きます。

僕「確か、スペクターかエンペラーだったかな」

極悪OB「おいおい、俺たちが下か!?」

と更に血の気が増したような気がしました。勿論、メンバーは本気ではなく半分冗談で言っているのは分かりますが、言葉一つで激昂する事も感じていましたので、なるだけ話を聞く事に徹していました。下手に言葉を紡いでも、彼ら不良少年は頭の回転が早いので突っ込まれてしまいます。

段々、僕をいじる事に飽きてきたのか、ようやく解放されましたが、その後、「BAZOOKA!!!」のプロデューサーに冗談交じりではありますが、電話で「散々、言われましたよ。勘弁してくださいよ」と文句を言っておきました。

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とは言え、企画自体は番組に責任は無く、再度言いますが軽く出演をOKした自分が愚かだった訳です。因みに、「チーマーランキング」をやろうという企画もあったのですが、幻に終わりました。当然と言えば当然です。不良というカテゴリーにランキングを付けるのはくれぐれも止めましょう。(文＠久田将義)