日本人はなぜ小室圭氏をバッシングし続けるのか
TABLO / 2021年11月21日 6時0分
写真はイメージです(撮影@編集部)
ようやく小室圭さんと小室眞子さんをめぐる大バッシングが2人の渡米により少し沈静化した。とにかく2017年末の小室さんの母・佳代さんと「元婚約者」をめぐる金銭トラブル以降、小室圭さんはネット炎上の主役であり続けた。
恐らく、2月に行われるニューヨーク州の司法試験の結果が出た時、そして2人に子供が生まれた時に再び2人は炎上をすることだろう。落ちたら「ざまーみろ」となり、受かったら「ロイヤル特権」を使った、となる。子供が生まれた場合は「KK(小室圭)の遺伝子が崇高なる皇室に入るのは許しがたい」などと書かれることはすでに想像できる。
ここでは、「皇室バッシング」についての平成の状態を振り返ってみる。天皇制については、日本共産党を含め、左派が反対をし、毎年8月15日の終戦記念日(左派は『敗戦記念日と呼べ!』と主張する)に、「反天連」が靖国神社に向けてデモをするなど反対派も多い。
しかし、保守派も平成以降、天皇家に対しては批判を寄せ続けた。多かったのは、雅子妃が「適応障害」により、公務に出席しなかった件である。週刊誌の批判報道が多かったのだが、箇条書きにするとこのような点が批判の対象となった。
・皇室費をもらっているにもかかわらず公式行事に出ない
・皇太子に公務を押し付け、自分はのうのうと暮らしている
・こんなに公務をしない女ではなく、別の妻を皇太子は娶るべきだった
・なんで何年も「適応障害」で仕事をさぼり続け、税金で生き続けているのだ
さらに「将来の天皇たる男児を産まない」という点も保守派からの批判に繋がった。これは明らかにやり過ぎである。男児が生まれるか、女児が生まれるか、さらには生まれない、ということは、夫婦の間では、批判の対象になるべきことでは一切ない。
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そして、愛子さまに対しても同じような批判が起きた。雅子妃への批判の延長だ。
・不登校を続けるのはよくない。雅子妃もそれを容認するのは天皇家としてはおかしい
・突然細くなり過ぎた拒食症なのではないか。育ち盛りのダイエットはやめた方がいい
・表情が暗い。子供なのであれば、もっと明るく快活な表情であるべきだ。
結局天皇制については、かつては側室もあり、男児を生む可能性は高かったから続いているが、近代で側室というものは馴染まない。だから、雅子妃の場合は、女児(愛子さま)1人だけを生む、という結果になったのだが、これに対し、批判が巻き起こったのだ。
天皇家をめぐる専門家やネットの議論の対象は「男性しか天皇になれない」「女性宮家も認めよ」「女性天皇も認めよ」といったところにある。いずれも天皇家とは別で天皇の研究家や歴史学者、そしてメディア、保守派・リベラル等政治的思想を持つ人々が場外でその是非を勝手に議論しているだけなのだ。
小室夫妻についても、結局は、税金が使われるかどうか、日本国民の象徴としての天皇家に小室圭さんがふさわしいのか……といった感情面でのバトルだらけだった。
過去、「雅子」と呼び捨てにした『噂の真相』編集部に右翼団体の構成員がやってきて岡留編集長と川端副編集長らに暴力行為をふるった際、天皇家について言及するタブーが改めて明らかになったが、それ以来、「生粋の天皇家」以外はバッシングをしてもいい、という空気になった。
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それが雅子妃であり、小室圭氏なのである。
果たして小室夫妻をめぐる騒動はこれからどうなるのか? 恐らく日本社会は2人の失敗を求める空気が強くなるだろう。自分と関係のない人々の失敗を求める惨めな性根の日本人、心底オレは嫌いだ。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)
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