つながった点と点...「しばらく界隈をうろつくな」西成マザーテレサ不審死事件【短期連載6】

TABLO / 2013年9月22日 12時0分

写真

「今日のインタビューは中止や。もうあいつには会えんで....。これが引き際ちゃうんか

 仲介者から電話が入り、突然取材ルートが遮断されてしまった。「あいつ」とは不審死した「西成のマザーテレサ」こと矢島祥子さんの自称元恋人だ。

 仲介者のサポートによって一度は会うことができたが、肝心なことは何一つ口を開かなかった。むしろ高額な謝礼を要求するなど、筆者に対しての敵愾心すら感じさせる態度だった。



――なぜ会えないんですか?

「俺が直々に言われたがな。そこの組長から」

――何処の組ですか?

「そんな事口が裂けても言える訳あらへんやろ」

――そこの組は貧困ビジネスに絡んでいますか?

「西成にある組は全部絡んどる」

――NPOに偽装して介入している組織もありますよね。

「それは知らん。西成で貧困ビジネスなんか数えられない位あるからな、種類が......」



 ここから先は仲介者に聞いた話をもとにした憶測の域を出ない。

 仲介者に警告してきた人物につながる組織は、福祉マンションや介護事業に進出している。西成の組織は人を殺すことなど何とも思わない連中ばかりである。覚せい剤などの違法薬物は取り締まりが厳しくなって、以前のようにシノギも楽ではない。

 そこに残ったのが貧困ビジネスだった。「アブレ手帳」といった偽造印紙をいちばん最初に始めたのも、あの喫茶店に現れた連中だった。彼らこそ貧困ビジネスには長けている組織、ということになる。

 西成で発祥した元祖貧困ビジネスといえば、この「アブレ手帳」である。簡単に説明すると、労働者が失業保険手帳「雇用保険日雇労働被保険者手帳」通称「白手帳」を交付すると、通称「アブレ手当」が支給されるようになった。

 この制度は2ヶ月に28日以上就労し、履用主に保険料印紙を手帳に貼付してもらうことで、仕事に就けなかった(あるいは就かなかった)日に対して「アブレ手当」を支治するもので、1ヶ月に13日分を受け取ることができる。

 しかし80年代以降、暴力団が経営する「手帳金融」が登場し「白手帳」を担保に高利で労働者に金を貸したり、「ヤミ印紙」を販売した。この偽造印紙を貼った「白手帳」を使って、労働者に不正に「アブレ手当」を受け取らせ、それを担保に借金させるといった手口である。
 この偽造と言う文字が引っかかった。偽造高速券、カードなどをシノギにしていた某組織の三次団体が西成にあることを思い出したのだ。しかも三次団体としては相当な力を持っている組織だった。

 これでつながった。

 「西成のマザーテレサ不審死事件」は、労働者を食い物にした貧困ビジネスをシノギにしている大きな闇が間違いなく関わっている。そして今までそれを問題視する人間は力の論理で排除され、妨害されてきた。西成区役所でさえ住民票を何千人も同じ住所に移しているのを黙認しているような土地柄である。



――しばらくは西成に顔出さないほうが良さそうですね。

「しばらくはこの界隈をうろつかない方がいいと思うで。何かあってもわしにもどうにもできへん時もあるからな」


 この事件はまだ解決もしていないし、遺族感情もあるので知り得た情報の多くは原稿にすることができなかった。そして詳細を明らかにすることはできないが、筆者の周辺では脅迫を含めた、大きな実害も出ている。普通の感覚では解決できない特殊な事件であるし、何か見えない大きな力が関わっているのは間違いない。

 矢島祥子さん殺害事件の早期解決と冥福を改めて祈ります。




Written Photo by 西郷正興

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング