1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

総合格闘家・平本蓮選手ロングインタビュー 「人に優しく生きようと思っている」 新生K—1の申し子から「格闘技の申し子」へ

TABLO / 2022年2月21日 9時0分

総合格闘家・平本蓮選手ロングインタビュー 「人に優しく生きようと思っている」 新生K—1の申し子から「格闘技の申し子」へ

雪辱を狙う平本選手。素鈴木千裕選手を相手に進化を見せるか。

昨年の大晦日前に続いて、一年越しのインタビュー。RIZINでの萩原京平選手との敗北の後、渡米し、ルーファスポーツジムにて修行を開始。渡米後、初の試合となるのが3月6日開催の「RIZIN LANDMARK vol.2」。相手は新進気鋭・キックボクシング出身の鈴木千裕選手。ストライカー同士の対決となり勝負論のあるマッチメイクと、平本選手の発信により、格闘技ファンはもとより、ファン以外の期待も高まっている。その平本選手は試合を1か月後に控えて、何を考えているのか―ー。

 

■去年の試合が終わったあと、自分は何がしたいんだろうって考えたんですよ

――以前、堀口恭司選手と那須川天心選手がYouTubeで共演していて「日本の格闘技界は遅れている」という話をされてたんですね。その理由が、ざっくり言うと「日本はまだチームで戦っていない。個人対個人になっている。アメリカはチームで作戦を立てている」ということだったんですが、アメリカに行ってみて、日本の格闘技界の風景に違和感はありました?

平本蓮選手(以下・平本選手) アメリカ人は年功序列という概念がないから、僕が例えば打撃が強かったら「それはどうやるんだ?」ってチャンピオンでも関係なくどんどん聞いてくれるんですよ。セルジオ・ペティス(Bellatorバンタム級王者)も色んな技術をたくさん聞いてくれて、僕も嬉しかったので色々話しました。
日本では僕は、ジムに行くとだいたい年下なんですよ。でも、そういうの関係なしにどんどん聞いてくる貪欲な人もいるんで、そういう人は練習の質が違うなって思います。無駄なプライドというか、チームとしての練習とか戦略も、もちろんあるんですけど、そもそもつまらないしきたりがないから(アメリカは)トレーニングの効率が良いんですよね。

――効率が良いということは、シンプルに考えたら強くなる近道ということですよね。渡米中のYouTubeも拝見していますけど、言葉の端々から何か違ってきていると感じました。

平本選手 2週間ぐらいで住んでいるところを追い出されちゃったんですよ。その次に泊まったホテルはコインランドリーが2キロぐらい先にしかなくて、毎日練習が終わったあと歩いて通ってたんですけど、そういう時間も自分を強くしてくれたなと思います。
小さい頃に戻った気分で、どこを歩いても初めて見る景色だから感動が違うというか。東京ってやっぱり凄いと思うんですよ、これだけ小さいのにいろんなものがあるし、逆にないものがない。僕がアメリカで行った場所は、そんなに都会でもなかった。現地の人の優しさをめちゃくちゃ感じたんですよね。これが誰かと行ってたら感じなかったと思うんですよ。
留学先で留学生としか遊ばないみたいなヤツって終わってるなと思うんですけど、1人で行ったからこそ向こうの人の優しさが心から沁みたんですよ。そういう部分で練習でも精力的にどんどん強くなって、教えてくれたみんなが喜ぶような形を見せてやりたいと思って。だからホントに努力する事が楽しかったんですよ。

――なるほど。それで言うと平本選手ってアンチがいるじゃないですか。

平本選手 はい。

――昨年インタビューした際、平本選手は「孤高でありたい」という主旨の言葉を使っていたのですが、アンチは「そんな事言っているけど色んな人と一緒に練習やってんじゃん」みたいなことを言うんですけど、違うんですよね。ツルむんじゃないんですよね。「いざとなったら1人でできる」っていうことだと思うんですよ。

平本選手 そうですそうです。

――同じ志の仲間はいるじゃないですか。どの業界でも。誰でも。けど孤高ってそれとは違う意味じゃないですか。だから今、アメリカのコインランドリーの話を聞いて、それも成長という意味だと感じました。

平本選手 確かに。だってアメリカでキツい練習してコインランドリーに行ってる状況ってどう考えてもネガティブな状況だと思うんですよ、ホントにキツいなって思う瞬間だと思うんですけど、それがすごい楽しかったんですよ。なんか身に沁みて生きてるって感じがあるんすよ。生きていることを実感できるというか。

――去年言っていた「孤高」という言葉とつながる部分がありますね。

平本選手 そうですね。自分は何で生きているんだってちゃんと考えたときに、人はいつか絶対死ぬじゃないですか。いつか死ぬっていうのを心に刻んで、人生変えるなんていつかじゃなくて、今変えるしかないんですよ。今日練習行くのもそうだし。

去年の試合が終わったあと、自分は何がしたいんだろうって考えたんですよ。大晦日の敗戦の傷や痛みはあるわけじゃないですか。でもそれに対して、僕は立ち向かってきたと思うんですよ。俺は絶対逃げないですし。今後、負けることがあろうが折れることはないし。去年の痛みのおかげで1年ホントにやってやるって思いにさせてくれたというか。
だからめっちゃ楽しくやってこられたんですよ。あそこで勝っちゃっていたらこういう感情にはならなかったと思います。そう思わせてくれたデビュー戦でした。戦いは続いてると思うし、自分の次の勝負で見せればいいだけなので。自分は何がしたいんだと思ったときに、人間関係もだいぶ整理したんですよ。

――わかります。人間関係の断捨離みたいな感じですよね。

平本選手 そうです。断捨離みたいな感じで「こいつは付き合う、付き合わない」みたいな。自分の生きる一本道を貫こうと思いました。それで会う人は少なくなったんですけど、でも今すごい幸せだし、1人の時間が一番多かった1年だったんですけど、一番楽しかったです。それはいつか死ぬから、今やるしかないと思って。それは格闘技のせいもあると思うんですけど、自分はこの歳でここまで自分の哲学を持てたのが、今後負けねえぞってポイントなのかもしれないですね。

――ある種の覚悟が出来たみたいな感じですか?

平本選手 そうですね。16歳でキックボクシングでデビューして、全部を格闘技に集中できていない自分もいたんですね。そういう自分が好きじゃないなと思いながらやってたんですけど、でもそういうのってきっかけがないと気づかないものですよね。つまんないプライドですよね。K-1で培ったプライドとかもRIZINのデビュー戦で一気にぶっ壊されて自己破壊できたというか。今この気持ちを手に入れられた自分が一番好きです。

――記者会見でも「自己破壊」とおっしゃってましたね。

平本選手 今は、つまらない自分がいないんですよ。ホントに自分が好きだし、それは毎日努力している自分が好きなんですよ。変態なのかもしれないですけど(笑)。

――「ドM」とか言っていました。

平本選手 スパーリングとか試合は殺してやるって気持ちで戦うんですけど、自分の力の極限まで突き詰めるのが楽しいんですよね。自分の可能性がどこまであるのかシンプルに気になるじゃないですか。僕は格闘技の才能はあると思うし、練習しててグラップリングが強くなっている自信があるんですよ。それも中途半端にやって負けちゃうのは嫌なんですよ。
この先、本気でやって負けるのは別に良いと思うんですよ。もちろん勝ちますけど。そう思えるように日頃から勝負なんですよね。日々節制とかも楽しいし。逆に筋肉つけて増量してるし。毎日100パーセントできたっていうか。80パーセントでも90パーセントでもなく、その日にできる100パーセントで1日を過ごせてるので、自分にとってすごくいい1年でした。

――ところで入場・試合・マイク・記者会見まで客を引き付けるのがプロの選手であり、アマチュアとの一番の違いだと思っています。で、平本選手のK-1とBELLATOR JAPANのときの入場シーンを見直してみました。THE BLUE HEARTSで入場しているYouTubeを見たのですが、コメントは「やっぱ平本はブルハだよな」って結構あるんですね。卑近な例で申し訳ないのですが、僕は暴力について考察した本を出版した事があるのですけど、結局「いざとなると1人で動く人間が強い」。そして「強い人は優しい」という結論に至っていまして、実際会ってみて「強い」と思ってる人はだいたい「優しい人」なんですよ。そういう事って考えたことはありませんか?

平本選手 それは自分のテーマですね。この1年、人に優しく生きようってすごい思ったんですよ。人に優しく出来ないイライラした性格のヤツって可哀そうだなと思うんですよ。優しい接し方とか誰も教えてくれないんだろうし、そういう考えしか出来ないヤツって哀れだなって思うんですよ。

例えば自分が人に優しくして、その人に優しくされなかったとしても、こいつに優しく出来て、自分を誇りに思えるじゃないですか。それはすごく「気持ちいいな」と思うんですよ。押しつけがましい優しさじゃなくて何気ない優しさですよ。
そういうことを思いながらアメリカに行ったらデカい人がいっぱいいて、ヘビー級並みの強そうな人がゴロゴロいるんですよ。自分が見てきた世界ってホントちっちゃいなと思ったんですよ。
あと、僕が住んでたところは治安が悪かったんでけっこうスリルがあったんですよ。夕方以降はこの辺りは歩くなってトレーナーに言われて、送り迎えしてくれた友達がいたんですけど夜中に銃声で目覚めて(苦笑)。
家の真下で銃声が聞こえるんですよ、それも毎晩。これ本当の話ですけど、夜中、バルコニーでNetflix観てたら薬物中毒みたいな人が、家の門の目の前で叫んでるんですよ。門から先には入ってこないんですけど、気味悪いじゃないですか、めちゃくちゃ近くにいるんで。だから僕、幽霊の振りしようと思って(笑)。

―ーえ? 幽霊?(笑)

平本選手 ジャングルで動物と会ったときみたいな感じですよ(笑)。何言われてもそいつのほう振り向かずにこうやってたら(※ダランと弛緩する動作。ゾンビみたいな感じ)、そいつがだんだん勘ぐってきて、バーッて走ってどっか行ったんですよ。そういう経験もすべて楽しくて。だから帰ってきて余裕が出来たのかもしれないです。

 

■今回は自分の力を証明する試合だなと思ってます。

――試合ですが、今はCAVEで練習されています。個人的に石渡伸太郎さん(元総合格闘家)は選手としての実績も凄いし、引退されてからの解説もわかりやすくて、クレバーな方だと思っています。YouTubeも面白いですし。今の環境はどうですか?

平本選手 お互い思ってる事なんですけど、石渡さんとはめちゃくちゃ相性良いって実感してるんですよ。アメリカで出来た宿題を、石渡さんが細かく説明してくれるんで、体の使い方がしっかりしてる人だし練習のリズムがいいんですよ。いい練習したっていう充実感も凄いし、いいトレーニングができてます。

――そう言えば三日月蹴りしてる動画を観ました。

平本選手 ハハハハハハ! 新作撮ったんで観てください。

――今度対戦する鈴木千裕選手はぶん回し系じゃないですか。僕はゴンナパー・ウィラサクレック戦もゲーオ・ウィラサクレック戦も佐々木大蔵戦も他の試合も観てますけど、平本さんて打ち合いにめちゃめちゃ強いじゃないですか。で、その選手と今回はどんな展開なるか、想像が膨らみます。

平本選手 総合デビュー戦のときは打撃で倒すしかなかったんで一発狙いのところがあって、距離を作ってカウンターを狙うしかなかったんですけど、僕の本来の強さって近い距離での打ち合いなんですよね。
僕はもらわないし、もらっても打たれ強さが僕の売りなんで。鈴木のパンチが一発当たるスピードで僕は三発打てるので。でも、それって組みが強くないと近い距離での殴り合いが使えないっていうのが難点だったからデビュー戦では出せなかったんですけど、いま僕は組んでも強いから楽しみにしています。
向こうはいきなり打撃で来るのかな、来ないのかな。まあ、どう来てもいいんですけど、僕がそれに合わせてカウンターを狙うことになると思うし、当然組みを混ぜながら来ると思うんですけど、あの局面になっても、この局面になってもっていうのをすげえ準備してるので、今回は自分の実力を試す試合ですね、ぶちのめすとかじゃなくて。自分を証明する試合だなと思ってます。

――平本選手がフェザー戦線に出てくるとかなり風景が変わると思うんですよ。ご自分でもそう思いません?

平本選手 一本の線が見えますね、勝ち進んでいく流れが。明日が明るいです。そういう意味では自分が変えるんだとは思わないですけど、現状のRIZINの構造というか、自分の力で破壊したいですね。盛り上げるとかじゃなく、俺が勝てばスターになるでしょ(笑)。

――ですから、去年お話をうかがったときと、また見えてる風景が違う気がするんですよ。

平本選手 確かにそうですね。あのときは完璧なキャリアを求めてバーッと駆け上がって行きたいっていうのがあったんですけど、もうとっくに自分を壊したから完璧じゃなくていいし。ただどうなろうが必ず頂点をつかみ取ってやるっていう自分に対しての逆襲心がすごい強くて。この試合に関して自信があるのは、どこで強いポイントを見せるかとかじゃなくて、多分、どんな苦しい展開になっても必ず自分は勝てる、自分はその逆境をプラスに変えられると思うんですよ。

――もともと大舞台を10代から経験して、メンタルも強い選手だと思うんですが、アメリカでさらに鍛えられたっていうことですよね。

平本選手 そうですね。

――それは技術もつながってるってことですか?

平本選手 技術に自信がなかった頃は多少焦ってたんですけど、いまは自信を持たせてくれる武器があるんですよね。だから自分は強いんだっていうのを見せられるっていう気持ちすね。技術もそうですけど、「型にはまってない」っていうのが一番かもしれないです。

――それと鈴木選手とキャラが全然違うじゃないですか、記者会見でちょっと笑っちゃったんですけど、ものすごく明るい鈴木選手がマイクで挨拶している時、「長いよ」って言ったら、鈴木選手が「はい」て返事しちゃったんですよね。それもまた、鈴木選手の面白いキャラだと思いました。

平本選手 あいつがその前に出てたTRIGGERでの試合がめっちゃつまんなかったんですよ。でも試合後のマイクがめっちゃ長かったんですよね(笑)。これを記者会見でやられたらキツいなと思って、長くなりそうだったから早めに切ったんですよ。どうでもいいことばっかり言うから、裏でやれやっていう話をやってるんで。

――あ。それはあの場の空気を感じて「長いよ」発言ですか。

平本選手 そうです。記者の皆さんに気を遣ったんです(笑)。

――あと1ヶ月ちょっとですけど、入場から試合まで(恐らく)メインになるであろう責任と楽しみがありますよね。

平本選手 面白いジンクスがあって、K-1のときからなんですけど、入場曲で甲本ヒロト以外を使うと負けるんですよ。

――そうなんですか!

平本選手 甲本ヒロトの曲を使って負けたのが世界トーナメントの決勝戦で、2-1で勝ったかなと思った試合だったんですよ。それでも準優勝だったんですけど。面白いぐらいに甲本ヒロト以外の曲で試合すると……作ってもらったんで申し訳ないんですけど、甲本ヒロト以外の曲で出ると負けるんですよね。試合の気持ちの乗り方が変わるのかもしれないですね。

――「優しさ」が平本選手の人生のテーマですもんね。

平本選手 僕が人に優しくすることを心がけてるって言うと、「いやおまえTwitterでいろいろ悪口言ってるじゃねえか」って言われるんですけど、それを優しくないと履き違えてる中学生が多いなと思うんですよ。優しいってそういうことじゃないんだよって全中学生に言いたいですね。あ。中にはオッサンもいると思うんですけど(笑)。そういうヤツって中学から中身変わってないですからね。
ウーパールーパーって体が大人にならないんですよ。だからあの白いままなんですけど、たまに陸型というか脱皮して黒くなって体も大人になるタイプのウーパールーパーもいるんですよ。人間も同じで、ただ体が大きくなっただけで心が子供のままのヤツって永遠に子供じゃないですか、中学生から頭変わらないヤツって。でも変わるヤツっていくつになってもパッと変われるじゃないですか。まあ大半変わらないヤツばっかりなんですけど。

 

●朝倉未来選手と萩原京平選手

――ところで現在の格闘技ってPRIDEとK-1時代と違ってYouTube、ツイッター、インスタ、TIKTOKを見て「格闘技を知らないけど誰誰のファンです」と言う人も増えました。格闘家がメッセージを発信したり企画しています。

平本選手 でもブランディングというか、どこのファンに何を見せたいかわかってないですよね。僕は自分のファンにこういうものを見せたいなとかテーマを持って自分の発言とか行動をしてるんですけど、わかってないヤツらってとりあえず自分の知名度を上げることしか考えてないから、深さを届けようとしないんですよね。
広がるようにだけで動画を作ってるから、『ぼったくりバーに潜入!』みたいなタイトルにして人を呼ぼうとする んですけど、そこでやり取りしている自分を見せてどこの誰に自分のそこをカッコいいと思わせる必要があるんだと思うんですよ、マジで。
そんなのは僕に必要ないし、僕は自分のファンに何を伝えるのかっていうことを考えてます。それがわかっていない選手がほとんどですよ。盛り上げるとか言っておきながら、じゃあ自分は何をしてるんだって話なんですよ。試合頑張るって、そりゃみんな頑張るんですよ。例えば日頃の発言とか、今みんな出来る時代じゃないですか。声をあげる選手がもっといたら面白いけど、あげる選手ってあんまりいないんですよ。日本人って同調圧力がすごいから、自分が思っている正義が強すぎて、「何でちゃんとしてねえんだよ」とか、自分がやってることがちゃんとしてることだって勘違いしてるんですよ。

――そういう動画で火傷しないかと心配しています(※因みに奇しくも、このインタビュー直後、週刊文春オンライン2020年2月10日の記事で元K-1王者・安保瑠輝也選手のYouTubeでの金銭トラブルが報じられる。安保選手は謝罪動画をアップした)。

平本選手 そういうヤツって空っぽなんですよ、生きる理念を持ってないというか、哲学がないからどうでもいいんですよ。だからまともっぽい服を着て、まともっぽい音楽を聴いて、まともっぽいものを見て、何でもまともになろうとするじゃないですかそういうのも含めて自分でぶっ壊して、こういう存在がいるんだよっていうのを格闘技界じゃなくて日本全体っていうか世界に発信していきたいと思うんですけど、自分みたいなヤツがこんなふうに言ってこんなふうに戦ってこんなふうに勝つっていうのを見せられれば格闘技界は変わると思うんで。脳と心臓が動いてるだけで生きてるようで死んでるようなヤツっていっぱいいるじゃないですか。そういうヤツらに、「おまえも早く気づけ」って、自分の試合を見せて気づかせたいんです。

――平本選手は、1年間試合をしていないのにこれだけ話題になっているのは驚きです。

平本選手 僕のファンはすごく深いというか、ホントに僕を好きでいてくれてるって感じるので、それがすごく嬉しいし。負けてあのまま消えれば、多分めちゃくちゃ楽だったんです。でもそこで立ち向かってこそ人生だと思って、逃げなかったし。だから次の試合でこんなに変わったっていうのを見せて、アンチの奴にも「俺も明日から何か始めようかな」って思うきっかけになりたいすね。

――それでも、今までそういう試合をやってこられたと思ってます。競技は違えど、10代でゴンナパーとゲーオ(ウィラサクレック。当時日本人で彼を倒した選手はいなかった)を倒すってヤバいですよ。

平本選手 そう言えばゴンナパーとやる前に休憩が入ったんですけど、(ゲスト解説の)関根勤が関係者に 「次、平本くん公開処刑でしょ」って言ってたんですよ。俺はこいつ一生嫌いでいようと思ってホントにムカついたんですよ(苦笑)。で、入場のときに声援を聞いて、初めて応援の大切さが身に沁みたんですよね。声援が聞こえた瞬間そんな気持ちがブチ飛んで、「試合、やろう」ってなりました。
K-1ルールだから死にはしないかもしれないですけど、それでも江戸時代に強い侍がいていきなり刀で殺し合いが始まる時ってたぶんこういう感じなんだろうなっていう、ホント勝負するって気持ちになったんですよ。

――そこまでの恐怖を10代で克服してきてたんですよね。

平本選手 で、ああいう結果(※KO勝利)が出せたんですけど。ああいうふうに無理だ無理だって言われても覆してきた自分が、「おまえなら出来る」って今の自分の後押しをしてくれている感じがあります。

――僕はUFCだとヴァレンティーナ・シェフチェンコ選手が好きでして。というのはキックボクサー出身はMMAで大成しないと誰かが言っていたのでーーミルコ・クロコップ選手とかアリスター・オーフレイム選手とかいましすし―ームエタイファンとしては一概に彼女の例を見てもそうは言えないんじゃないのと思っているんです。平本選手も立ち技出身のMMAファイターとしてどんな感じの進化をしたのかをファンが観たいと思うんですよね。

平本選手 自分の武器ももちろんあるから、楽しみにしててください。完全に別人です。

――ホントに3月6日の試合、楽しみです(と一旦レコーダーを停めると平本選手から「あ。一言」というリクエストが)。

平本選手 これ、書いてもらっていいですか?

――お願いします。

平本選手 朝倉未来(総合格闘家・YouTuber。同じフェザー級戦線のトップファイター)は俺に「試合負ける」「まだ弱い」とか言ってみたりしておいて「いや強くなっているかも」とか「平本はいずれ強くなる」とかずっと俺に保険掛けてるんですよ。「やっぱ未来は当たってた!」みたいなのを待ってるから。自分の発言に保険掛けてんじゃねえよって思います(笑)。
萩原京平(総合格闘家・デビュー戦で平本選手に勝利)に関しては「次の俺の試合見せたら萩原は恐怖で絶対俺との対戦を避けるから、萩原に勝つであろうドミネーターとやれればいいかな」って付け足してください。

―ー有難うございました!(笑)
(インタビュー@久田将義 Photo@インベカオリ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください