この男の試合にハズレ無し! YA‐MAN選手ロングインタビュー 6.19「THE MATCH」の「裏メイン」の呼び声高し
TABLO / 2022年5月6日 16時25分
この眼光に引き込まれるファンも多いはず。
この1年で一気にの知名度を上げてきた選手がいる。それが埼玉県出身の「キング・オブ・ストリート」YA-MAN選手だ。あの神童・那須川天心選手が彼の試合を見て絶叫するほど、魅せるファイトをする。そのスタイルはひたすら殴り合うもの。彼が名を馳せたのは、本来MMAで使われるオープンフィンガーグローブマッチ。オープンフィンガーはグローブのように大きくなくブロッキングもしにくい。つまり、この試合は攻撃の応酬になるのが特徴だ。
YA-MAN選手の魅力の一つに、勝利後リング上で自分の決して幸せではない生い立ちを堂々と語り、「俺のような底辺からでも有名になれます!」というマイクアピールにもある。そして何より、試合前のフェイストゥフェイスでの、どの選手とも違う殺気が画面越しにも伝わってくる。この埼玉の元不良少年は歴史に残るであろう、6月19日東京ドームで行われる武尊vs天心戦の世紀の一戦「THE MATCH」に出場するまでになりあがった。そのYA-MAN選手がどのような言葉を発するのか―ー。YA-MAN選手の「(筆者が編集長を務めていた)『実話ナックルズ』は子供の頃読んでいました。あそこの地域は●●というチームが……」という、地元暴走族トークから始まり早速、本題へ入っていった。
●「自分の生い立ちとかストーリーで、今苦しい思いをしてる人に勇気を与えていきたい」
――RISEでは「人獣」中村寛戦、伊藤澄哉戦で一気にスターダムに乗ってきました。
YA-MAN選手 一番の転機となったのは山口侑馬戦(KO勝利)ですね。RISEのオープンフィンガーマッチに選ばれて、人生が変わりました。今までYA-MANを知らなかった人たちが「面白い試合するじゃん」って知るようになっていきました。そこからさらに跳ねたのが中村戦ですね。中村選手も当時すごい人気があって、それに勝ってさらに飛躍したと思います。
――中村戦は激しい打ち合いで『あしたのジョー』みたいな試合だったじゃないですか。解説の天心選手が「ヤーマーン!!」とひたすら絶叫&興奮しているという。
YA-MAN選手 まあ、殴り合いです(笑)。
――お互い一歩も引かない凄いファイトでした。殴り合っている最中はどういう心境なんですか。
YA-MAN選手 自分のなかでは楽しいしかなくて(笑顔)。あとは「ぶっこkrす」(註・編集部が表現を自粛)。自分が試合出るときって競技をやるつもりはなくて、ホントに相手をkrすつもりでやってるんですよ。
――具志堅用高さんにYouTubeで「テクニックあるじゃん」と言われていましたけど、テクニックがあるのにあえて、殴り合いに徹してる感じなんですか? カーフも蹴ったり実は攻撃は多彩なんですよね。
YA-MAN選手 面白い試合をしたいんですよ。例えば、野球でバントだけの試合観ても誰も面白くないじゃないですか。RISEの選手ってけっこうそれやっちゃうんですよ。自分は倒すことを意識しています。観に来る人の8割か9割は素人(プロ格闘家ではない)ですよね。だから、天心みたいに素人が観てもわかるようなテクニックだったら面白いと思うんですけど、その他の細かいを見せられても、「何が面白いの?」ってなっちゃうじゃないですか。
――なるほど。初めて観た人が「こんな殴り合いしてるんだ!」みたいなものを……。
YA-MAN選手 そういうことです。それが面白いと思うんで。
――そうでないとキックボクシングが世の中に広がっていかないという思いがありますか?
YA-MAN選手 そうです。観ている人がつまんないと感じたら、次また観たいとは思わない。例えば自分の試合を観たら、「キック面白いなあ」ってなると思うんですよ。その人が「キックボクシング面白いんだよ!」って他の人に伝えてくれるじゃないですか。だからプロだったら面白い試合をしなきゃいけないと思うんですよ。
――プロって、リングに上がる前からプロだと思うんですよ。曲も、入場の姿も、戦いも、マイクも。リングを降りるまでがプロだと思ってるんですけど、そのへんは意識されてますか?
YA-MAN選手 間違いないですね。ただ、今「入場からリング降りるまでがプロ」っておっしゃったじゃないですか。じゃなくて、私生活からプロなんですよ。常に見られてるじゃないですか。いまはSNSがあるんで自分のプライベートも発信できますし、自分がどういう人かって知ってもらわないと応援したくなくなるじゃないですか。ぶっちゃけ勝ち負けとかどうでもいいんですよ。勝ったほうがいいですけど、勝ったほうがいいのって自分の身内だけなんですよ。自分にそんなに深く関わってない人って、それよりも面白さを観たいんですよ。
――興行ですからお金を払ったお客さんにそれだけのものを見せるのがプロですよね。
YA-MAN選手 映画がつまんなかったとしても、それを撮った監督の家族は、「これは私の息子が撮った映画だから」って感動するじゃないですか。みんなが観たいのってノンフィクションのヒューマンドラマなんですよ。映画って台本があって構成がありますけど、自分たちはリアルの人間なんで、生い立ちがあって、ひとりひとりのストーリーがあるんですよ。そこで成り上がっていくストーリーをみんな観たいんですよ。
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――なるほど。マイク・タイソンなんか貧困でイジメられっ子だったっていうストーリーがあって、改めて試合を見ると違いますよね。
YA-MAN選手 ホントそのとおりでドラマなんですよ。エンタメなんで。そのなかに競技があるんですよ。競技と娯楽、エンタメが両立してるのがキックボクシングだと思うんで。ボクシングはどちらかというと競技寄りじゃないですか、強いヤツが偉い。でも、キックとか総合はストーリーじゃないですか、朝倉未来選手(総合格闘家)にしろ、少年院から出て総合で成り上がってあそこまでいって。そのストーリーがあるから「俺でもなれる」って見てる人は思いますし、勇気をもらうためにお金を払って観に来てくれるんですよ。
――そういうストーリーが、さらに人気につながるところがありますね。
YA-MAN選手 だからこそ、私生活からプロじゃないといけないと思ってるんですよ。自分の言動や行動のひとつひとつ、だからダサい格好で歩けないですし。「YA-MANメディアではいい格好してるけど街で見かけたら全身安物だったよ」とかなるじゃないですか(笑)。
――海外の選手は私服もカッコイイですよね。
YA-MAN選手 多いです。そういうUFCとかの選手を見習ってやっていかないとプロじゃないっすね。
――その、ストーリーという事で言うと中村戦後のマイクはビックリしました。「俺のお父さんは薬物中毒で刑務所に入って」って、そんなパワーワード出す?みたいな。
YA-MAN選手 あの試合は中村寛という有名で強い選手に勝ったという自分の実力を証明した試合だと思うんですよ。自分のお母さんはすごく苦労してるんで、お父さんが薬物中毒で離婚して。お父さんの実家がお金持ちだったんで養育費を3000万ぐらいもらって、その養育費を母方のおじいちゃんとおばあちゃんに預けてたら、おじいちゃんとおばあちゃんが夜逃げしたっていう。だから苦労してるんで。
――YA-MAN選手にはそういったストーリーがあるんですよね。ファンのみなさんはそこに想いを投影しますよね。
YA-MAN選手 自分みたいな底辺のヤツでも努力すればこうやって成り上がれるんだっていうのを伝えていきたいなっていうのが、今自分がキックボクシングをやってる原動力なんで。
――そこなんですね。プロなら観てる人の琴線に触れるものが自分の試合で出すという。
YA-MAN選手 ですね。勝ち負けよりも面白い試合、自分の生い立ちとかストーリーで今、苦しい思いをしてる人に勇気を与えていければという思いです。
――YA-MAN選手はそういう人生を歩いてるからこそ、人の気持ちが分かるところがあるんでしょうか。
YA-MAN選手 今、1人親世帯が多くなってるじゃないですか。子供たちの寂しい思いも分かります。裕福な家庭ではなかったので、そのお母さんの気持ちも、自分は体験してないですけど分かるつもりではいるんで。そういう人たちに何か与えられたらとは思いますね。
――だからなのか、YA-MAN選手の試合って観てて「どこか違う」んですよね。
YA-MAN選手 ハハハハ、ホントですか?
――初めて見て、一気に引き込まれました。天心選手がエキサイトするはずです。僕だけじゃなく会場のお客さんも、でしょう。あと、これは僕個人の取材体験から言うと、面構えがいかにも埼玉の不良少年という感じです(苦笑)。
YA-MAN選手 ありがとうございます(笑)。
――技術が上手い選手はいっぱいいますけど、人間味のあるファイトというか、そういう感じがするんですよね。アメリカでは「ピープルズチャンピオン」という言い方をしますが、庶民から出てきた「俺たちのチャンピオン」というざっくりとした意味です。YA-MAN選手がベルトを取ったらそういう呼ばれ方をするかも知れないですね。
YA-MAN選手 自分自身、才能がある選手ではないんで。才能がなくてもここまでできるんだっていうことを伝えていきたいですね。自分は他の選手と比べて親近感あると思うんですよ。天心とかって親近感ないじゃないですか、神童ですから(笑)。僕は「え、YA-MANでもなれるんだったら俺でもイケんじゃね?」って思ってもらえたらすごくうれしいんですよ。
――「YA-MAN」という名前は本名の「杉山」からきてるんですか?
YA-MAN選手 そうです。僕がこのジムに入った日に会長が、「おまえは今日からYA-MANだ」って。
――すごく、良いネーミングですよね。
YA-MAN選手 はい、このおかげで覚えてもらえて、みんなが「YA-MAN」って呼んでくれるので(笑)。
――そう言えば、天心選手とのコラボYouTubeも観たんですけど、路上に座っていたYA-MAN選手を見て「あれって野性のYA-MANじゃね?」っていうフレーズがずっと残っていて。「YA-MAN」というゲームのキャラみたいになっていましたね。
YA-MAN ハハハハハハ! ありましたね。あれは天心が面白かったですね。
●「金太郎選手とやったら面白いと思いました」
――で、6月19日の大会は天心vs武尊のビッグイベントで最前列が300万円っていうのが話題になっていますけど、興味ない人でもテレビを付けたら思わず、見入ってしまう。そういう試合がいいですよね。
YA-MAN選手 そうですね、まったく興味ない人でも観ると思うんで。ここでキックが衰退するか、さらに伸びるか、業界の分かれどころだと思うんですよ。なのでアンダーカードの自分たちが存在を知らしめないといけないんですよ。
――地上波でやりますからね。
YA-MAN選手 地上波はメインだけですが、もしかしたら録画放送があるかもしれないですけど、基本はABEMAのPPVだけって聞いてます。
――出場されますよね。
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YA-MAN選手 明日会見で発表です。芦澤竜誠戦です。<註・翌日の記者会見で芦澤選手とトラッシュトークの末、乱闘騒ぎに>
――やりたくないって言ってたじゃないですか(笑)。
YA-MAN選手 そうですね、でも決まっちゃったんで。
――やりたくなかった理由はなんだったんですか?
YA-MAN選手 レベルが違うと思ってるんですよ(註・62キロでオープンフィンガマッチ)。でも向こうもアウトロー出身って言ってるんで、アウトロー対決になるんじゃないかと思いますね。
ーー芦澤選手も背中にガッツリ刺青入ってますし、K-1の暴れん坊ですね。
YA-MAN選手 面白い試合になるとは思うんですけど、やりたくないって言っていた理由は、やっぱり自分は強い相手とやりたいんですよ。「YA-MANじゃ絶対勝てないだろ」ってヤツとやりたくて。中村戦もそうですし。皇治選手も勝てるかわかんなかったんで。格上に挑みたいんですよ。芦澤選手って自分が対戦してきた選手たちと比べたらそんなに実力ないと思ってるんで、それとやってもなあって。
――逆にやりたかった選手っていました?
YA-MAN選手 金太郎選手は面白いかなと思ったんですけど。
――ああ! 面白いでしょうね。バッチバチでしょう! 金太郎選手は合うでしょうね。
YA-MAN選手 なのでやってみたいなと思ってて。それくらいですかね。
――芦澤選手って暴れん坊のように見えるけど試合では冷静でテクニシャンですよね。
YA-MAN選手 そうですね、アウトボクシングするんで。
――対戦まで1ヶ月強ですけど、戦いのイメージは湧いてますか?
YA-MAN選手 打ち合うしかないですよね。打ち合ったら絶対負けないんで。
――芦澤選手はけっこう脚使いますよね。
YA-MAN選手 使いますね。でもそんなにうまくないんで。自分のほうが脚の使い方うまいんで。ちゃんと距離感を保って詰めればぜんぜん問題ないと思います。ちょっと不規則ではあるんで、そこだけ怖いなと思うんですけど。そこだけ気をつければ大丈夫かなと思っています。
――YA-MAN選手ってぶん回しみたいに見えるけど、ノーモーション気味の右やアッパーが当たりますよね。あれけっこう武器じゃないですか?
YA-MAN選手 あれは武器ですね。
――ですよね。シュッと出てくるんですよね。
YA-MAN選手 2年ぐらいずっとボクシングの練習では、内山高志(元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者)さんと井岡ボクシングジムにも通っていて、そのふたつのジムで2年間毎週パーソナルでボクシングやって、ボクサーとのスパーリングもけっこうやってるんですよ。なのでボクシングテクニックには自信があるし被弾は少ないんで。
――ボクシングと言えば、具志堅用高さんがゲストのYouTubeで参考になるものはありました?
YA-MAN選手 ありましたね。ボクシング界のトップの方ってトップになる理由があるんですよ。それを聞けたのはすごく勉強になりましたね。
●「僕が育った街はウチも合わせて母子家庭がたくさんありましたね」
――ところで「人間YA-MAN」について深堀りしたいのですが、地元埼玉ではYA-MAN選手の世代は暴走族ありました?
YA-MAN選手 あったんですけど、ほぼ暴走族じゃないですね、ケンカもしないですし。自分たちはケンカもほとんどなかったです。
――少子化だからっていうのはありますよね。
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YA-MAN選手 一番の原因は警察の取締がキツくなったからじゃないですかね。自分の3つ上ぐらいまではカラーギャングみたいなのが流行ってた時代で、そこから一気に愚連隊とかカラーギャングとかなくなりましたね。
――昔、東松山に事件を起こした「A」というグループがあったと思うんですけど。
YA-MAN選手 ああ、赤ギャンですね。あれはちょうど自分たち世代ですね。
――その世代ですか。
YA-MAN選手 その世代です。
――地元と近いんですか?
YA-MAN 近くはないですけど、自分が高校生の頃にはもう「A」はなかったですね。中学校3年生のときにその殺しちゃった事件がニュースになって解散で。限度を知らないって感じで殺しちゃったんで。
――暴走族に入ってると縦社会がしっかりしてるんでそこまでしないんですよね。中途半端なマイルドヤンキーみたいなのがいたら、総長が「地元で何やってんだ」って来るはずなんですよ。
YA-MAN選手 ヤンキーのなかには縦社会はちゃんとありましたね。確かに限度を知らなかったですね、金属バットで頭フルスイングしちゃって半身不随にさせちゃったりとかは周りでありましたね。頭に障害残っちゃって。自分の周りだけで3件ぐらいあって。昔はそういうのないじゃないですか。殴っても頭フルスイングとかないじゃないですか。
――そうですね、ないですね。
YA-MAN選手 バイクで引きずり回すとかはあったかもしれないですけど、障害が残ったり死ぬようなことはそんなになかったって親世代の人たちは言うんで。「いまの子たちはちょっとおかしい」って言われますね。
――お母さんもレディースだったんですか?
YA-MAN選手 レディースだったんですかね(笑)。
――でもちゃんとお子さんを育てて、お仕事もされて。スナックですよね。
YA-MAN選手 はい、富士見市で。朝起きたら怖い人たちが麻雀やってたり(笑)。徹マンしてるんですよ、背中にガッツリ入ってる人たちが。そのなかで支度して学校行って。
――そういう環境で育っていったんですね。
YA-MAN選手 そうです。
――YouTubeには地元の友達も出られてましたね。
YA-MAN選手 そうですね、あれはホント地元の友達で。
――ガッツリ墨が入ってましたねー。
YA-MAN選手 ガッツリ(笑)。でも反社ではないんで。
――そのほうがいいですよ。地方って地域が狭いから暴走族とヤクザの距離が近いんですよね。
YA-MAN選手 昔はヤクザと暴走族ってあんまり仲良くなかったんですよ。でも今は街中をバイクで走ってるとヤクザに止められて、「ヤクザやらないか」って誘われてヤクザになるみたいな感じなんですよ。
――お友達もドンブリ(全身刺青の意味)っぽく刺青が入ってたんで。僕の取材先のヤクザもドンブリで刺青入れてるんですけど、「自己満足ですから」って絶対見せないんですよね。そういう意味では出してたんで、ヤクザじゃないんだなと思いながら安心した観ててました。
YA-MAN選手 良かったです(笑)。
――富士見市って駅でいうとみずほ台になるんですか?
YA-MAN選手 みずほ台、鶴瀬ですね。
――鶴瀬も荒っぽかったなあ。
YA-MAN選手 そうですね。親世代ってちょっとイキがってる人は全員暴走族じゃないですか。入ってないとイキがれないっていう時代だと思うんで。
――富士見市ってどういう街ですか? 住宅街なんですか?
YA-MAN選手 団地も多いですし、母子家庭がめちゃめちゃ多かったですね。友達10人いたら8人母子家庭みたいな感じでした。だからみんな夜は親がいないんで遊びに行くみたいな感じでしたね。
――YA-MAN選手は何歳ぐらいで悪いことをし始めたんですか?
YA-MAN選手 中学生ぐらいですね。高校入ってからは野球をやってたんで高2までは落ち着いていて、高校2年の途中からバイクとか乗るようになって、高3は受験勉強してたんでホントすごい成績悪かったんで勉強して、1年でなんとか入れて。
――その努力はすごいですね。
YA-MAN選手 なので高3はそんなに遊んでないです。バイクに乗ってたのは高2で、ケンカとかめちゃめちゃしてたのは中学生のときですね。
――チームとか入ってなかったんですか?
YA-MAN選手 自分たちの時代はチームがほぼなくて。
――YouTubeではお友達が、YA-MAN選手は「どんな多人数やどんなデカい人にも向かっていっちゃう」みたいなことを言っていました。
YA-MAN選手 はい(笑)。
――そういうときの精神状態はどうなってるんですか?
YA-MAN選手 自分は絶対負けないと思ってるんで。相手が気合い入ってないの知ってるんで、一番強いヤツをやっちゃえばみんなビビると思ってたんですよ。
――その時の相手は多かったんですか?
YA-MAN選手 そうですね、20対5ぐらいで。今の子たちってみんな気合い入ってないんで、1回バコーンとやっちゃえばみんなビビるんですよ。「俺はちょっと……」みたいな。昔だったらワーッとなってたと思うんですけど。
――漫画『クローズ』みたいな感じではないんですね。
YA-MAN選手 そうですね。昔は竹槍の先にナイフつけて抗争とかやってましたもんね(苦笑)。
――僕が聞いたのは鍬とか持っている人いましたからね。
YA-MAN選手 だから時代ですよね。いまの子たちはケンカとかしない環境で育ってるんで。だから有名になるの簡単でしたね。
――唐突ですが、強さについて考えたことってありますか?
YA-MAN選手 強さっていっぱいあると思うんです、経済的な強さ、武力的な強さ、知力的な強さ、いっぱいあると思うんですけど。……うーん……。
●「芦澤選手って『さらう』とか言いますけどどこにさらうんですかね(笑)」
――体力的には絶対に弱いような人に恐怖を感じることもあるじゃないですか、人間が醸し出すオーラみたいなものに気圧されることもあると思うんですけど。そういうものについて考えたことはありますか?
YA-MAN選手 オーラみたいなことですよね。やっぱり強い人は優しいと思いますよ。仲間に優しいですよね。人間って1人では弱いじゃないですか。人間って1人じゃ何もできないんで、集団で初めて力を発揮すると思うんですよ。その中で強い人って人がついてくる人だと思うんですよ。
どんな人についていきたいかって考えたら、仲間内に優しくなかったら絶対に人なんかついてこないですし。そういう意味では人間の強さと優しさは比例するんじゃないですかね。普段めちゃめちゃ厳しくてもどこかしら心の底に優しさがあったらわかるじゃないですか。じゃなきゃついて行きたくないと思うんで。
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――すごい合点がいきました。YA-MAN選手ってクレバーですよね。本とかけっこう読みます?
YA-MAN選手 本はけっこう読みますね。
――ボキャブラリーが豊富だなと思ってたんですよ。
YA-MAN選手 ありがとうございます(笑)。
――リング上でのマイクパフォーマンス。「俺のファイトを観てみんなも頑張ろうよ」みたいなことは富士見市での環境から出てきたことなんですかね。
YA-MAN選手 そうですね。自分みたいな環境で育った子って希望がないんですよね。お金もないしこの先どうなるんだろうって自分は子供の頃から不安に思っていて。大学行けるのかなとか、お金がないからこのまま地元でくすぶるのかなとか、子供の頃から考えていたんですよ。「指標」とするものもなかったですし、そういう子たちに、おまえらみたいな環境で育っても俺みたいに成り上がれるんだぞっていうのを伝えたくて出てきましたね。
――「指標」になりたいってことですね。
YA-MAN選手 はい。
――みんながYA-MAN選手の戦いに自分のストーリーを投影するんでしょうね。
YA-MAN選手 だから格闘技っていいですよね。拳以外何もいらないんで。拳ひとつで成り上がれるので。
――あと聞きたかったのが、YA-MAN選手のフェイストゥフェイスの視線、ホントに絵になるんですよ。そのときもktすって感じなんですか?
YA-MAN ああ、もうホントkr殺すしかないです。自分、試合前に頭の中でずっと唱えてるんですよ。
――どの時点で、スイッチが入るかですか?
YA-MAN選手 入場前ですね。
――そろそろ出番ぐらいのときですか?
YA-MAN選手 そうです。前の試合やってるときに控えてるんですけど、そのときに寝転がってずっと「krすkrす……」って唱えるんですよ。そうすると頭が切り替わるんですよ、あいつは殺さないといけないヤツだって。なんの恨みもない人を殴るんで、それくらい気持ちが乗らないとできなんですよね。俺はあいつをぶち殺して絶対成り上がるんだってずっと唱えてて。
――芦澤選手にも思えます?
YA-MAN選手 リングに立っちゃえば関係ないんで。いまから本気で殺すつもりでいきますね。
――いつものファイトで?
YA-MAN選手 いつものファイトで。相手もそう来ると思うんで。
――そうですよね。明日の会見、芦澤選手もすごいでしょうね。
YA-MAN選手 口ゲンカ強いですからね。(註・その通りの展開になり芦澤選手と乱闘に発展)
――ラッパーですからね。あの選手も面白いなと思ったんですよね。「さらうぞ!」とか言うじゃないですか。
YA-MAN選手 どこにさらうんですかね。明日聞いてみます、どこにさらうのか(笑)。
●「6月19日を頂点にしてはいけない。これからがキック界でどうなるか試される」
――最近は道を歩いてて声掛けられます?
YA-MAN選手 1日1回は絶対声掛けられますね。
――ABEMAしかやってなかったのにすごいですよね。ABEMAって格闘技を観ようと思ってる人だけが観てるので、それでも声掛けられるのはすごいですよね。
YA-MAN選手 皇治戦を地上波でやったのはデカかったです。あそこでけっこう広がりました。ああいう発言してると負けてほしいと思われると思うんですよ。負けるところを見たいから皇治さんを観る、みたいな。メイウェザーと一緒ですよね。
――なるほど!
YA-MAN選手 そういう意味で勝ち負けなんか関係ない。プロなんで、アマじゃないんでどうやってお金が流れてるかみんなちゃんと把握したほうがいいですよね。
――ここからキック界を盛り上げるマインドがYA-MAN選手にはある。
YA-MAN選手 自分はそれしかないです。ぶっちゃけ総合格闘技界は変わらないと思うんですよ、RIZINがあるし、朝倉未来選手がいるんで。ただキックボクシング市場がどうなるかっていう話なんですよね。このまま何もしなかったら本音では下がることがわかりきっている。天心vs武尊戦がマックスになってしまうのは分かりきってるので。だから今いる選手が今回の試合で頑張らないと下がるだけです。見えているものを何もしないのかって。天心、武尊に替わる選手が出てこないと下がるだけです。
――頂点までいっちゃうとそのあと大変ですよね。
YA-MAN選手 今までって武尊、天心の二強じゃないですか。歴史にたとえると中国で有名なのって三国志じゃないですか。あのときって曹操、劉備、孫権の3人がいて、他にもいっぱいいるじゃないですか、孔明とか関羽とか張飛とか。3人の下にいっぱいいる、みたいな。で、今でも語り継がれてる。次からの時代ってそうだと思うんですよ。1人1人が光っていく時代にしないといけないんですよ。
――三国志は結局そうでしたね。それくらいの意識持ってる方ってなかなかいらっしゃらない感じがしますね。「強ければいいんだろ」みたいな感じじゃなくて、ちゃんとエンターテインメントのところも考えてこそのプロみたいな。
YA-MAN選手 自分はそう思ってます。だって観てくれないとお金、入ってこないですから。お金払って試合をするのかお金もらって試合するのか。格闘家なんで、しょうがないんですけど、みんなお金の流れとか気にしてないと思うんで。
――格闘家のみなさんマネタイズに苦戦してらっしゃる方もいらっしゃるので、ホントに報われてほしいですよね、命懸けて体張ってやってるんですから。コミッショナーを作ったりでもいいんですけど、そういうのを例えば政治家が働いても良いかなと思ったりもします。
YA-MAN選手 RIZINが成功してるんで真似すればいいんですけどね。
――今回はRISEとK-1の対抗戦の図式になるんですかね。
YA-MAN選手 そうですね。
――じゃあキックだけですね。
YA-MAN選手 今回はキックだけです。
――これを読んでる方に向けて、この選手面白いんじゃない? みたいなのはありますか? 天心選手が「YA-MAN面白いな」って言うみたいな感じで。
YA-MAN選手 それでいうと中村寛選手じゃないですかね。
――中村選手はツラ構えがいいですね。
YA-MAN選手 ツラ構えがいいし、彼もエンタメをわかってるんでちゃんと盛り上げてくれるじゃないですか。
――そうですね。
YA-MAN選手 試合も面白いですし。一番面白いのは中村選手じゃないですかね。
――注目ですね。対戦相手は決まってるんですか?
YA-MAN選手 レオナ・ペタス選手です。
――おっ、これは見ものですねえ!
YA-MAN めちゃめちゃ盛り上がりますよ(笑)。
――YA-MAN選手の予想は?
YA-MAN選手 中村寛かなと思いますね。
ーー決め手はパンチですか?
YA-MAN選手 そうですね。あとは中村選手は距離感が遠いんで、近い距離も……いやどうだろうな? レオナ選手ともスパーリングやったことあるんですけど、中村選手が勝つかなと思いますね。
――ホントに気持ちが強い同士でバチバチって感じの予想ですよね。僕はYA-MAN選手と芦澤選手の記者会見から注目してます。
YA-MAN選手 頑張ります!
と、このまま冷静なままインタビューは終了したのだが、翌日の会見では芦澤竜誠選手と「あともう一歩で喧嘩」になる、現在では珍しい「見せる乱闘」ではなく「本当の喧嘩」になる様相だった。そこで改めてYA-MAN選手の会見後の気持ちを聞いてみた。
※
―ーオープンフィンガーはその場で決まったのでしょうか?オープンフィンガーにすると、YA-MAN選手のメリットはどこにありますでしょうか?
YA-MAN選手 その場で決まりました。オープンフィンガーになると自然と距離が近くなり、撃ち合いになることが多いので、自分が有利になります。
―ーオープンフィンガーを決めた芦澤選手へはリスペクトはありますか?
YA-MAN選手 気合いと根性は認めてます。
―ー会見で、飛びかかったトリガーとなる芦澤選手の言葉、態度があったのでしょうか?
YA-MAN選手 試合前からムカついていて、会見で芦澤が喋る度にフラストレーションが溜まっていって、我慢の限界がきた感じです。特にこの言葉、態度などはございません。
―ー脇役になるとインタビューで仰っていましたが、世紀の喧嘩になる予感があります。脇役とかは関係ないという精神状態でしょうか。
YA-MAN選手 世紀の一戦とかはもうどうでもよくて、どっちが喧嘩強いか、皆見とけよって感じです。
―ー五万人入ると言われている東京ドーム。観客、ppv客、ファンに向けて会見をうけての意気込みをお願い出来ますでしょうか
YA-MAN選手 芦澤の泣きっ面をお楽しみに。
(文@久田将義 Photo@インベカヲリ)
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