ミリオタ・航空機マニア歓喜! 「バイデンよりもエアフォースワンでしょ」 横田基地祭に合わせたバイデン大統領来日
TABLO / 2022年5月24日 8時0分
エアフォースワンにマニアも一般人も歓喜。
アメリカのバイデン大統領が就任後、初めて来日した。5月22日(日)の午後5時すぎ、大統領専用機エアフォース・ワン(VC-25A、28000)が横田基地の滑走路に着陸したのだ。普段の来日であれば、滑走路の遠くからミリタリーマニア、航空機マニアが望遠レンズを使って、遠くから撮影する程度。見ている人の数は限られている。
しかし今回は全く違っていて、まるでスタジアムクラスのロックコンサートを見ているような熱狂ぶりがあった。何万もの群集が滑走路のすぐそばにまで接近し、そのほとんどがスマホをかざして撮影を試みていたのだ。
そもそもなぜ群衆がいたのか。彼らが着陸を間近で見れたのか――というのもその日、普段は中に入れない横田基地が開放される、年に一回の祭の日だったからだ。その場に居合わせた僕も、そうした群集のひとりだった。
22日の昼、東京郊外の横田基地に出かけると、そこはにぎにぎしく、楽しい雰囲気に包まれていた。オスプレイや無人偵察機、輸送機やF35などといった様々な軍用機を近くで見たり、または機内に入って見学したり。パラシュート降下やオスプレイの飛行といった実演を眺めたり。屋台のサーロインステーキや巨大ピザを食べたり、バンド演奏を楽しんだり。来場者はおのおの、様々なイベントや食事を楽しんでいた。
本当に来るのかどうか、半信半疑だった。今回、友好祭が開かれているのだ。何万もの人が訪れている中で、エアフォースワンを着陸させるのは、通常よりもずっと危険にさらすということではないか。安全面を考えると、横田はありえない。そういう思いが払拭できなかったのだ。
ところが、午後4時を過ぎるとだんだん様子が変わってきた。
「軍用機展示エリアの開放時間を午後5時から6時に変更する」と何度もアナウンスが入ったり、妨害電波が出ているのかスマホがときどき繋がらなくなったりした。
そして午後4時50分頃、空中に巨大なライトが輝きはじめた。音もなくどんどん大きくなり、そのうちそれが、飛行機の形をしていることがわかった。すると来場者は、その光の方向へと釘付けとなった。
前方が水色という特徴的な機体が識別出来るようになると、息つく間もなく、着陸となった。その瞬間、何千、いや万単位の人がスマホを掲げていた。またとない機会を逃すまいと、おのおのか撮影を試みていたのだ。その大多数はミリタリーマニアではない、一般の人々。中には幼児を肩車する親子もいた。そうしたごく普通の人たちが、滑走路のすぐそばに殺到し、着陸の様子を固唾をのんで、待ち構えていたのだ。
着陸を終えて、機体が止まるころには、群集の中から、誰と元もなく、拍手の音があちこちで聞こえてきた。しかし僕は拍手したい気にはならなかった。アメリカに敗けてから77年が経った今も、アメリカの米軍基地は残り続けている。羽田という正式な玄関口を使わず、アメリカの大統領が着陸する。こうしたアメリカの態度が屈辱的だと思えてならないからだ。
かといって基地絶対反対とも思っていない。ウクライナを侵略するロシア、台湾侵攻の野望を隠そうともしない中国、ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮と、危険な国に囲まれているからだ。特に中国に関しては、ここ30年で世界の軍事費のシェア1%から14%へと激増している。こんな状態で、これでアメリカが撤退してしまえば、これら3カ国の思うつぼだ。
僕が米軍基地を否定しないのは、曲がりなりに街の治安を守っていたヤクザをやむなしと思う気持ちと同じなのかも知れない。
にしても今回、セキュリティ的には確かに難しい挑戦だったかもしれない。だけど、こうして大統領の飛行機が着陸する様子を、スタジアムクラスのロックコンサートのように盛り上げてショーとして見せてしまう、アメリカのやり方はさすがエンターテイメントの本場だと舌を巻いた。
大統領来日をエンターテイメント化することで、親米的な気持ちを持ってもらい、SNSでそれをどんどん拡散してもらう。そうすると、日本人の在日米軍への親近感がますます拡散されていく。一方で「日本の国以外の人間に対しては、東京に米軍基地があって日本をしっかり守っている。これは侮れない」という気持ちを特に中国などには起こさせたのではないか。
一石二鳥だ。いや、すごいアピールだ。
気になったのは、アメリカ兵の大部分は、誰もマスクしてなかったということだ。エアフォース・ワンを見て興奮に包まれたついでにコロナを拾ってきたんじゃ、洒落にならない。僕はワクチン3回打ってるからいいけども。(文・写真@西牟田靖)
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