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「CDに焼いておいて」 もう誰も知らないビジネス用語について考えてみた

TABLO / 2022年6月15日 6時42分

「CDに焼いておいて」 もう誰も知らないビジネス用語について考えてみた

パソコンもCD-R差し込み口のある商品がなくなってきた(写真はイメージです)。

IT比較サイト「ストラテ」が、全国の15~29歳の男女300人を対象に行った「VHSに関する認知度調査」の結果を発表した。「VHSを知っていますか?」という質問に「VHSを知らない」「VHSを知っているが、使ったことはない」「VHSを知っており、実際に使ったことがある」の3つの選択肢で回答。

その結果、最も多かったのは「VHSを知らない」の68%。年代別では10代が86%、20代が50%だ。10代でもっとも年齢の高い19歳が誕生した年は2003年。この頃はすでにDVDがあり、録画や映画鑑賞にVHSを使うことはすでに稀だった。録画用にはハードディスクレコーダーもすでに使われていた。

そう考えると10代の86%が知らないというのも納得できるし、20代前半もそりゃ知らないだろう。ツイッターではこの手の話題が受ける傾向にある。創作も多いだろうが、若手社員に何か指示をしたり話を振ったところポカンとされるという「あるあるエピソード」だ。最近話題になったツイートの主旨はこんな感じだ。

〈オッサン社員が若手に「これ、フロッピーしといて」と言ったらポカンとしていたが、(もう少し若い)私が「CDに焼いといて、という意味だ」と伝えたらまたポカンとしていた〉

確かにフロッピーディスクなど、1.44MBしか入らないわけで、ヘタすりゃ写真1枚すら入れられない。こんなものが今の大容量時代に使い物になるわけがない。あとCD-Rにしても、640MBは入るものの、「焼き付ける」手間がかかるし、社外の人が相手の場合、バイク便を出したり自ら運びに行く必要がある。若者からすれば「共有するにしても、ストレージサービスで送っておけばいいじゃないですか」と言いたくなることだろう。

それにしても、WordやExcelの上の方にある「保存」を意味するアイコンの意味は若者にはチンプンカンプンだったのでは。このアイコンはフロッピーディスクを表しているが「なぜ、この変な模様のついた四角が『保存』を意味するんですか?」と言いたくなることだろう。

新入社員の皆さん 今飲んでいるのは「ビール」でしょうか 居酒屋で「とりあえずビール」が変わった日│中川淳一郎 | TABLO 

 

1997(平成9年)年に新入社員になった私にしても「ゼロックスしといて」や「テレックス送っといて」の意味はよく分からなかった。前者は「コピーしといて」の意味だが、コピーはコピーであり、当時のコピー機メーカーはキヤノンもリコーもあるわけだからピンとこない。テレックスは当時海外とやり取りする社員は使っていたが、ビジネスで使うものだからそれまで学生だった私にはコレもなんだか分からなかった。

あとは「Mac屋さん」も分からなかった。私が会社に入る数年前、部署内には「Mac屋さん」という外注従業員がおり、社員が手書きで書いた企画書をMacintoshの「クラリスワークス」という今でいうところのパワーポイントのようなソフトできれいに清書してくれていたのだという。

だが、1997年、全社員にPCが支給され、その直前に「Mac屋さん」は仕事を追われた。しかし、自らパワーポイントの資料を作れない50代社員は、「あぁ、昔はMac屋さんに頼めてラクだったのに……」と嘆息するのであった。

まぁ、2000年頃に定年退職し、後は仕事をしていない高齢者にしても令和の時代に当たり前なビジネス用語である「Slackでやり取りしよう」「ZoomのURL送るんで」「ドロップボックスに入れといて」「クラウドに上げといて」などは分からないかもしれない。

いずれにしても今の若手社員にしても、あと10年もすれば、その時の新入社員から訝し気な目で見られ「今の意味なんですか?」と聞かれることになるだろう。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)

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