【防げた事件ではなかったのか】安倍元総理銃撃事件 「銃声の種類など関係ない。テロに対する意識の欠如が問題」(現役警察官)
TABLO / 2022年7月20日 17時21分
防げた事件ではなかったのか。
こんな事があってはいけない。
安倍晋三元総理が銃撃された7月8日。安倍元総理に批判的だった僕も、愕然としました。
こんな事が、先進国と言われる国で(そうでない国でも)あってはいけないのです。今の時点で、この事件の真相は山上徹也容疑者の自供を待たなければなりません。が、3つの事象で構成されている事件のように映ります。
まずは動機です。これは山上容疑者の自供と、裁判の過程で明らかになっていくことでしょう。旧統一教会(註・以下分かりやすいように「統一教会」とする)に家庭を壊され、自身の生活も立ちゆかなくなった。その憎き宗教団体に応援メッセージを送る、あるいは協力の姿勢を見せる安倍元総理が標的とされていった―ー。もう凍結されていますが、山上容疑者のツイートからそのように読み取れます。
もう一つは統一教会と日本政界との癒着。統一教会とのつながりは岸信介元首相のころまで遡り、現在まで続いています。このつながりを掘り下げると、僕は裏社会を含めた「危険領域」まで行くと見ています。こま解明は少し時間がかかるでしょう。
上記2つの事件を構成する要素は時間の経過を見なければなりません。が、3つの事象のうち明らかにされていることがあります。
奈良県警および警視庁SPの大失態です。これに対してSNSでは手製の銃での音と市販の銃の音は聞きわけられないから、という意見が散見されました。
果たしてそうでしょうか。
この論の代表的な例として、売れっ子コメンテーターのひろゆき氏のツイートを例に挙げてみます。主旨が曲がらないよう正確に引用します。
「なぜこの時期に」右翼関係者らに直撃するも首をかしげる 安倍元首相、背後から撃たれ心肺停止 SPの動きに不審 | TABLO
【44マグナムを撃ったり、銃口向けられたりしたことあるおいらです。
安倍元首相の暗殺現場で起きた手製の散弾銃の“銃声”は市販される銃の発砲音とは違う音です。
素人が「最初の銃声を聞いたら動ける」とか言いますが、銃声と断定してるのはただの結果論です。】(2022年7月10日)
素人の僕らよりも、プロである現役の警察官に聞くのが手っ取り早いので、10年来の取材対象者である現役の私服警察官に、この事件の印象を聞いてみました。情報源の秘匿の為、詳しくは言いませんが公安にもいた現役の刑事です。
―ー一発目の爆発音のような銃声が起きました。銃声かどうか分からないけれど爆発音を聞いた時点でや奈良県警やSPは安倍元総理に覆い被らなければならないと思いました。銃声の種類は問題ではないのではないか。
「その通りなんです。1発目から2発目に数秒あるのは、この手の犯罪では時間には余裕がある方です。ですから即時対応で警護対象者は守れました。というより絶対に守らなければならなかったです」
―ーまた安倍元総理の背後、約10m以内に近づけてしまう、警備体制も問題と思いました。
「演説場所が非常に特異な場所でした。わざわざ警護困難箇所で演説をしたということがまず不可思議です。四方八方を車道で囲まれ、不特定多数の人も車も交通量が多い場所での警護には無理がありました。疑問なのは、自民党と警察との間で演説場所の検討はなかったのでしょうか。なぜ自民党はあの場所にしたのか? とにかく、演説場所が決まってしまった、あのような「危険な場所」で。であるならば自分たちがやらなければならない事は2つあります」
―ーそれは何でしょう。
「交通規制と声かけ(職質)の徹底実施でした」
―ー動画を見る限り、山上容疑者も荷物を抱えていました。
「演説前には、現場に集まった人間の声かけはするものです。選挙は天皇陛下などの警衛と違って、応援者や後援者が多く、警察が職務質問する行為自体を批判(選挙妨害だと)する人も多いのが実情です。しかし、そこはそれなりの声かけ方法はあるんです。人員の少なさもあったのかもしれません。しかし、個々の警察官の対応が不味かったと思います。一般人と同じように爆発音に驚いていましたし」
―ーこういう意見もあります。【素人が「最初の銃声を聞いたら動ける」とか言いますが、銃声と断定してるのはただの結果論です。】(先ほどのひろゆき氏のツイートより)と言っていますが、これは僕と貴方が言うところの、「銃声だろうが何であろうが異常を感じたら、まして爆発音が聞こえたらすぐ、警護対象者をかばわなければならないという事こそ警衛なので、論点がズレていると思うのですが、どんな感想をお持ちになりましたでしょうか。
「おっしゃる通りです。例えば、車のバックファイアーの音がしたとします。それでも警護対象者に近づく動きをします。自然と身についているものです。警護対象者を覆い被さるまでしなくても、音の種類は関係なく、SPは絶対に警戒して守ろうとします。まして、今回は間近の爆発音です。白煙まで立ち上ぼっています。異常事態が起きたと判断すべきです。銃声の種類は関係ありません」
―ー危害を加えようとするなら、銃だけでなく刃物や爆弾、車で突っ込むなど様々な方法が考えられます。これらに対応する訓練を受けていると僕は思っていました。ですから余計にショックでした。
しばらく刑事は沈黙したのち、こう声を絞らせました。
「同じ組織の人間としても、同情の言葉は全くありません。前代未聞の大失態です」
警備経験のあるプロ(現役警察官)から見ても、銃声の種類云々は関係なく、とにかく「前代未聞の大失態」としか言いようがないのがこの事件。こんな事があってはいけない。再度繰り返します。そして、次に解明しなければならないのが山上容疑者の動機・自供と、政界と統一教会との癒着の度合いです。(文@久田将義)
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