「沖縄問題は視聴率がない」? ふざけるな! 沖縄県知事選で分かったメディアの傲慢さと県民の切実な声 「心が折れてしまう」
TABLO / 2022年9月14日 14時45分
沖縄県知事に当選した玉城デニー候補(当時)にも取材。
沖縄知事選を見に行ってきました。私プチ鹿島とラッパーのダースレイダーで前半と後半で2回行き、合計で1週間以上滞在しました。
私たちに選挙現場を見る「漫遊」の楽しさを教えてくれたのは畠山理仁さんです。畠山さんは選挙取材歴20年以上のスペシャリストです。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』では第15回開高健ノンフィクション賞を受賞している。最新の著書では『コロナ時代の選挙漫遊記』がある。
その中で選挙に行ったほうがいい理由を次のように畠山さんは書いています。
「投票に行った人も、投票に行っていない人も、必ず政治の影響を受ける」
「政治に無関心でいられても、政治と無関係ではいられない」
「政治に無関心でいることは『強烈な政治的行為』だと言える」
ハッとしますよね。そして、選挙に行く人たちは「選挙に行かないあなた」に対して厳しいことは言わないはずだという。なぜ?
《結果としてあなたが選挙に行かなければ、相対的に選挙に行く自分たちの影響力が大きくなることを知っているからだ。投票に行かないと聞いて「しめしめ」と思う人も世の中にいることを知ったほうがいい》
ああ、この部分はまさに最近の旧統一教会問題とリンクしていませんか? 私は旧統一教会問題は「自分の問題である」とも考えます。なぜなら「投票率が低いほど選挙結果は特定の組織や団体の意向が反映される可能性が高い」ことを今回の問題は示しているからだ。選挙が特定の団体のための儀式になってしまう。そうならないためにも私たちは選挙に行ったほうがいい。旧統一教会の報道をしなければいけない理由はこれだけでも十分。
今回、沖縄知事選を見に行ったのは畠山さんから「沖縄の選挙はとにかく派手でにぎやか」と聞いていたからです。候補者が踊ったり、支援者も太鼓や笛を吹いたりするそう。さらには違法なのぼりや野良街宣車も見かけることもあると。なんだかすごいエネルギー。まさにお祭りそのもの。
一方で私たち(プチ鹿島&ダースレイダー)が沖縄から配信ライブをやろうと決めた理由にはこんな記事を読んだからだ。
『基地問題「視聴率こない」』(朝日新聞5月18日)
田原総一朗氏が司会する「朝まで生テレビ!」は今年35周年を迎えた。1987年の開始以来420回の放送のうち、沖縄をテーマにしたことは5回ほどだという。その理由として「残念ながら沖縄の基地問題は視聴率がこないから」と田原氏は答えていた。
この記事を読んで疑問を持った。いえ、正直言うと腹が立った。視聴率がこないのは番組自体がつまらないからでは? それを数字がこないからやらないってひどい言い草だ。
私たちは過去2回、選挙特番を有料配信ライブでおこなった。昨年の衆院選と今年7月の参院選です。たくさんの視聴者の方に見ていただいたので「沖縄県知事選でも『面白い』『数字がくる』ことを証明しよう」と決めたのです。
この原稿を書いている時点でチケットは約1,800枚売れている。この手応えだと来週のアーカイブ配信終了時までには2,000枚いけそうです。過去2回の国政選挙の配信時と同じペース。ちゃんと興味を持ってもらえる内容や切り口にすれば「沖縄でも数字はくる」のである。
選挙現場を見ることは楽しいし面白い。そしてもう一つ大事な点は「考える」ことも伝えること。というのは沖縄の選挙ではデマが本当に多いのだ。とくに玉城デニー氏へのものが多かった。
《本土発のデマやヘイトスピーチがSNSを通じて流れ込む。今回も多くの標的は玉城氏だったが、「売国奴」などの投稿を見れば差別者が沖縄の人々全体を侮辱していることは明らかだ▼政府や差別者のが残した分断の爪痕は深い》(沖縄タイムス「大弦小弦」9月12日)
この問題もきちんと考え、伝えたいと思った。
今でも忘れられない言葉がある。玉城氏の演説を見にいった時のことだ。独自の応援グッズを手にして陽気な感じの年輩のお姉さまたちがいた。楽しそうだなぁと思って話を聞いてみると「確かに楽しいですよ。でも楽しくやらないと心が折れてしまうから。そんな気持ちでやっていることも視聴者の方に伝えてください」と言われたのだ。
デマやヘイトスピーチ問題もそうだし、そもそも本土には沖縄の声が届いているのか?と毎回感じさせられると「心が折れそう、へこたれそう」だと。
この言葉を聞けただけでも沖縄にきた意味がありました。これからも選挙を、楽しく面白く、そして考えることをやっていきたいと思います。(文@プチ鹿島 連載「余計な下世話」 写真提供@プチ鹿島)
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