ツイッター黎明期を振り返る 津田大介、徳力基彦、いしたにまさき、コグレマサト、田口元各氏が盛り上げていった
TABLO / 2023年2月16日 13時7分
ツイッター初期はこんなでした。。
今でこそ「ツイッター」という言葉は新聞やテレビでも普通に使われる言葉だったが、2006年に登場したこのツール、日本で多くの人が使うようになったのは2010年のことだった。そして2011年、東日本大震災があったこともあり、「携帯電話は繋がらなかったが、ツイッターは繋がった」といったことも多数取り沙汰され、劇的にユーザー数が増えた。
昨今、ネットニュースでは「〇〇氏がツイッターで××と発言、波紋呼ぶ」といった記事が多く、重要な情報発信&収集ツールとなっている。しかし、世界中ではツイッターユーザー数はそれほど多くない。2022年12月段階で、ユーザー数は世界15位のSNSなのである。
そんなツイッターをめぐる初期の空気感を振り返っておこう。ツイッターのIDを見た時2006年ないしは2007年「からTwitterを利用しています」、と出たユーザーは相当なアーリーアダプターだろう。いわゆるネットやガジェットに詳しい「ギーク」的な人々だ。それこそ津田大介氏や徳力基彦氏、いしたにまさき氏、コグレマサト氏、田口元氏といった人々である。IDも@tsudaや@tokurikiなど、シンプルに自分の名前で取れていた。他に「津田界隈」「徳力界隈」のライバルがツイッターを始めていなかったのである。
初期の頃のツイッターは、上記アーリーアダプターのギーク達はその面白さについて理解していたが、新規参入の人々は「これの何が面白いんだ?」「どうやって見ればいいのか分からない」という戸惑いの声がセットになっていた。そりゃそうだ。ブログであれば、長文で完結されるのにわずか140文字で一つのツイートが終わる。文意も完全に読み切れないし、どのようにして返事をすればいいのか作法が分からない。
そうしたことから、初期の頃はツイッターになれたギーク達が初心者に対して使い方・楽しみ方を手鳥足取り教えていた側面があった。今の殺伐とした空気感のツイッターでは考えられない状況である。それに対して「ありがとうございます!」と返事を送れるだけで、その新人さんはレベルアップしたし、教えてあげた側も満ち足りた気持ちになれた。そして、その新人が別の新人に懇切丁寧に教えてあげるという幸せなループがあった。
2009年に津田氏が『ツイッター社会論』を上梓し、2010年初頭に週刊ダイヤモンドがツイッターの一大特集をしてから日本はツイッターに沸き立った。主にメディアの側からである。「ツイッター婚」といった言葉さえ出す雑誌もあった。まぁ、単に「ツイッターがきっかけで出会い結婚した男女」というだけである。「合コン婚」「共通の趣味婚」「お見合い婚」と同じなのだが、メディア的には「新しい結婚への道」ということで取り上げやすいのだろう。
かくしてメディアもツイッターに熱狂していくが、その頃の雑誌の特集のデザインのトレンドが今考えるとかなり恥ずかしい。女性誌で「私の鉄板美肌法」みたいな特集があったとしよう。すると、あたかもツイッター投稿の140文字風フキダシ的なデザインの中に「何はなくともキュウリパック。お風呂に入った後は必ずコレです。キュウリはその後洗って翌日のサラダにしちゃいます(笑)」みたいなことが書かれてある。
販売部数が激減していた当時の雑誌が、なんとか最先端風の空気感を出そうとツイッター風デザインをしたのだろう。さらに、「ツイッターの使い方」といった特集もされていた。実に牧歌的である。
あとは呼び方も問題になった。今でこそ「〇〇氏がツイッターで××と発言した」というものは補足は不要だが、当時のツイッターの呼び方には補足が必要だったし、その呼び方も定まっていなかった。
私が覚えているのは「短文投稿サイトのツイッター」「ツイッター(ミニブログ)」「マイクロブログのツイッター」「『つぶやき』を投稿できる『ツイッター』」といったところだろう。今考えると「ミニブログ」ってなんだよ! と思うものだが、何か一つのサービスが定着するまでにはこのような紆余曲折が存在するのである。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)
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