雑誌専属モデルで歌手だった女が10年も覚醒剤依存 裁判で明らかになったADHDと母親との軋轢と...
TABLO / 2019年3月11日 12時11分
15歳の時から女性向けファッション雑誌の専属モデルとして活動し、また別名義でミュージシャンとしても精力的に活動していた成本結菜(仮名、裁判当時27歳)が法廷で見せていた表情は当時の映像や写真に映っている華やかな彼女とは別人のようでした。
「自分に自信が持てなかった時、逃げたくなった時に使ってました」
彼女が初めて覚醒剤を使用したのは17歳の時でした。売人に誘われるがままに覚醒剤を購入し、時にはやめた時期もあったそうですが使用量は少しずつ増えていき逮捕される直前にはほぼ毎日覚醒剤を使用するようになっていました。
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「友達もいなかったし、そう、友達になってしまって、深い仲になって...。それで今まで売人と関係を切ることができませんでした」
いずれ捕まる、とは思っていたそうです。しかし売人との関係も覚醒剤の使用も自分の意思で止められるものではなくなっていました。
「依存していたと思います」
彼女自身もこう話していた通り、完全に覚醒剤に依存していました。覚醒剤を使っている時、興奮をしたりはしなかったそうです。その使用感を「やわらかくならない」と、独特な表現で説明をしていました。
母親との軋轢、それに加えて
証人として出廷していた母親は彼女がおかしくなる時があることには気がついていました。ただその異変を母親は彼女がずっと抱えてきたADHDによるものだと思っていました。
「すごく重い症状が出るので、それで様子がおかしくなっているのだと思っていました」
と法廷で証言しています。
ADHDがひどくなって音楽関係の仕事もアルバイトもクビになった、と彼女も証言しています。ストレスが溜まると症状が重く出てしまうようです。母親は娘が覚醒剤に手を出してしまった原因は自分にもあると話していました。
「私とケンカになったりぶつかることもあって...そういうストレスもクスリに手を出した原因なのではないかと思います」
母親は外国人でした。言語の壁もありました。それで意思の疎通が難しい時もあったのではないかと思います。
ADHD、母親との軋轢、それに加えて裁判では触れられていませんでしたが彼女は同性愛者でもありました。今は少なくなったとは思いますが同性愛者への偏見がなくなったわけではありません。彼女が雑誌で同性愛を公表したときは読者からは好意的な反応が寄せられていましたが、自身の性指向に悩んだこともあるかもしれません。そんな諸々の苦しみから彼女が逃げ込んだ先が覚醒剤でした。
「覚醒剤は被害者なき犯罪と言われています。被害者がいないからやってもいいと思いますか?」
被告人質問で弁護人から問いかけられた彼女はすぐに否定しました。
「ダメだと思います。私の人生はボロボロになりました。いつの間にか周りが悪い人たちばかりになって、身体もボロボロになりました。やりたいこともできなくなりました」
今後、覚醒剤を断つためにストレスを抱え込まないように悩み事があれば母親に相談し病院にも通う、と話していました。
覚醒剤は一度使用してしまうとやめることがとても難しいと言われています。まして、彼女は10年以上も常習的に覚醒剤を使用していました。更正への道のりはとても険しいものになります。
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彼女のパートナーである女性は彼女のことを
「誰よりも真っ直ぐで、人として人と向き合うことから逃げない、愛に溢れている人。時に繊細すぎることもあるけど、でも不器用で鈍感だったりするところもあって、そんなところがかわいくて...。私に1番をくれた、愛を教えてくれた人」
とブログで評していました。
彼女は覚醒剤に救いを求めなければならないほどに多くの苦しみを背負ってきました。その苦しみは彼女を誰よりも優しい女性にしたのではないかと思います。
母親とパートナー、更正に協力してくれる人もいます。今後、これ以上覚醒剤で人生が狂わせられることがないことを願うばかりです。(取材・文◎鈴木孔明)
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