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新入社員にレッテルを付ける愚かしい慣習 今年は「AIチャットボットタイプ」

TABLO / 2023年4月21日 10時54分

新入社員にレッテルを付ける愚かしい慣習 今年は「AIチャットボットタイプ」

もう世代で人を判断するのやめませんか?

今年の新入生のタイプは「可能性は無限大 AIチャットボットタイプ」となった。

この発表は、2017年まで日本生産性本部が行い、以後産労総合研究所が行うようになった。2022年は「新感覚の二刀流タイプ」、2021年は「仲間が恋しいソロキャンプタイプ」、2020年は「結果が出せる?! 厚底シューズタイプ」だ。これが令和に入っての新入社員像だが、平成末期も見てみよう。

2019年は「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ」で2018年は「SNSを駆使するチームパシュートタイプ」、2017年は「キャラクター捕獲ゲーム型」で2016年は「ドローン型」だ。いずれもそれっぽい説明がされており、ドローン型は「強い風(就職活動日程や経済状況などのめまぐるしい変化)にあおられたが、なんとか自律飛行を保ち、目標地点に着地(希望の内定を確保)できた者が多かった」とある。

要するに、その時に流行っているものを無理矢理新入社員に当てはめているだけである。もう、上記の「型」については説明がいらないだろう。若干分かりづらいのが2018年の「チームパシュートタイプ」だが、平昌冬季五輪で金メダルを獲得した女子日本代表のパシュートチームのこと。

毎年「バカバカしい」と思っていたのだが、私がこの分類を猛烈にアホだと思ったのが平成5年(1993年)の「もつ鍋型」だ。私自身東京の人間のため、モツ鍋を食べる習慣はなかったし、居酒屋に行くような年齢でもなかったため、モツ煮込みでさえ食べたことはなかった。

モツ鍋がしきりとメディアに取り上げられるようになったのは、1992年のクリスマスの時期だった。この頃はバブル崩壊直後にあたり、景気は停滞し、華やかだったカップルのクリスマスも地味になっていた。メディアはモツ鍋の登場をこのような文脈で紹介していた。

〈バブル時期のクリスマスは高級イタリアンやフレンチでディナーを食べた後、高級シティホテルの部屋で愛を確かめ合った若いカップル。しかし、バブル崩壊により、節約志向になり、決して高くはないモツ鍋を仲良く2人で食べ、本当の幸せを感じたのである。その後はどちらかの家へ行き、ささやかな幸せを味わうのである〉

要するに「身の丈にあった本当の幸せをついに日本人は発見した」という象徴がモツ鍋なのだ。モツ鍋型の新入社員の特徴については「一見得体知れずで厄介だが、煮ても焼いても食えそう。」とある。この発表に添えられる解説はすべて星占いと同じようなもので、それらしいことを並べているだけだ。


この「もつ鍋型」にしても2022年の「二刀流タイプ」と同じである。「煮ても焼いても食えそう」だって二刀流ではないか。この手の調査は一体何がしたいのか全く分からない。「新入社員に聞いた理想の上司」の場合は、前年のプロ野球で優勝した監督や、サッカー日本代表監督、さらには教師役で知られる天海祐希らが上位に入る。

要するにいくら時代が昭和から平成、令和へと変わったとしても、「何かレッテルを貼りたい・貼られたい日本人」という性向は変わっていないのである。ちなみに私は1997年入社組だが「ボディーシャンプー型」だ。液体石鹸が爆発的に売れた頃の話だ。解説を見ると「泡立ち(適応性)よく、香り(個性)楽しめるが、肌(会社体質)に会わないこともある。石鹸(従来社員)以外に肌を慣らすことも必要。」とある。

2024年の新入社員は一体何型になるのか。これから11ヶ月も来年の新入社員が入ってくるから予想は無理だが、現時点であれば「ヌートバー型」になるのでは。WBCで日本代表の優勝に貢献した選手だ。その心は「最初はどこの誰ともわからない存在だったが、コミュニケーション能力の高さと気さくさで多くの人から受け入れられる」みたいなものか。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)

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