隣席のファンが号泣していました 乃木坂46卒業コンサート・齋藤飛鳥 「最後の挨拶」を考えてみた
TABLO / 2023年5月20日 11時0分
元乃木坂46・齋藤飛鳥卒業コンサート。
18日に乃木坂46のカリスマ的エース、齋藤飛鳥さんが卒業コンサートを東京ドームで行いました。まだ僕の頭の中には「ジコチューで行こう!」が流れています。そして齋藤飛鳥さんの去り際で見せて笑顔と「挨拶」の言葉も……。
正に圧巻でした。乃木坂46を卒業した齋藤飛鳥さんのコンサート。数ある国内アイドルグループの中で、頂点に君臨する乃木坂46。東京ドームを平日にもかかわらず、2日間満員にするとは恐れいりました(なので「頂点」と評しました)。
そして、これほどまでに潔く卒業していったアイドルが、どれだけいたでしょうか。乃木坂46最後の一期生であり最年少一期生として、黎明期の乃木坂46を支えてきた一人、齋藤飛鳥さん。
デビュー当時は「妹キャラ」としてメンバーやファンの間で可愛がられていましたが、2018年頃には既に妹キャラを脱却。センターとして確たる地位を築いていました。「ツンデレ」とよく言われがちですが、「大人の女性」になった。あるいは「人として成長を遂げた」と、ここでは評したいと思います。それが表に出た時にいわゆる「ツンデレになった」と。後輩愛が強いと感じる人は多いと思いますが、後輩を持つ事によって「絶対エース」へと成長したのではないでしょうか。
因みに、「妹キャラ」から大人の女性としてあるいは、人として成長をしてこちら側を驚かすほどのしっかりした言動を持つメンバーで思い出すのが48グループ、坂道グループメンバーだと、極私的で恐縮ですが渡辺麻友さん(元AKB48)、矢吹奈子さん(HKT48)、原田葵さん(元欅坂46)らが思い浮びます。
齋藤飛鳥さんは、10代から20代前半の、いわゆる青春を乃木坂46年を捧げて11年。全力で駆け抜けていったのだと思います。それは、後述する最後のMCに表れていました。
少し久しぶりに公式にファンの前に姿を表した齋藤飛鳥さん、得意のドラムでファンの拍手を浴びます。AKBの公式ライバルとして誕生した乃木坂46ですが、グループのカラー全体が違うのは当然として、ファン層もことなります。若年層と女性が多い事のように感じていました。あたかも女子校にまぎれ込んでしまったかのような感じがあるのかも知れません(これは最初の頃から感じていました)。事実、僕の隣の席は二人とも女性ファンでした。
セットリストも独特でした。斎藤飛鳥さん自身がスタッフと考えたものでしょう。MCでも「本当はここで落ち着いた曲かもしれませんがあえてこの曲です」といった事を述べていました。齋藤飛鳥さんのセンター曲では特に盛り上がりを見せました。肌感覚ですが、周囲のファンを見ていると「ジコチューで行こう」が最高潮のように感じました。
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コンサートも後半になるにつれ、時間も9時近くになっていきます。隣の女性ファンが「斎藤飛鳥」と描かれたタオルを何回も顔に持っていきます。最初は気にならなかったのですが、泣いているのだなと気づきました。
印象に残っている言葉があります。斎藤飛鳥さんは「もう皆さんにはアイドルとして会えなくなるけど」。数度、こういった意味合いの言葉を言いました。それは前述したように「乃木坂46という青春」を悔いなく駆け抜けていったのだから言える言葉なんだな、と思います。
また「もうアイドルのようにふるまわなくなるけど」。こういった言葉も発していたようなに思います。素敵な言葉ではありませんか。潔い言葉ではありませんか。儚い言葉ではありませんか。まるで、キレイに散る事で日本人の心をつかむ桜の花のようでした。
隣席のファン(両隣)の女性は既に号泣していました。何度かアイドルの卒コンは取材しているのですが、このような光景は初めてでした。
「斎藤飛鳥は俺の嫁!」。このコールが一時、流行った事がありました。あるいは「飛鳥!」というコールに「俺の」を入れて「俺の飛鳥!」というものもありました。ファンの中では、「俺の」は要らないという意見もあります。
が、これはファン個人個人の意識に任せるほかないでしょう。ファンでない人はきもいと思われるかも知れませんが、アイドルとファンとの間の共有されている言語であり、ファンとの信頼関係の間での共通言語です。
齋藤飛鳥さんは絶対エースであり「正統派アイドル」でした。これからは女優・タレントとしてセカンドキャリアを踏み出していきます。
そして一人の女性として。女性として恋もして、そして結婚もするかも知れません。なので斎藤飛鳥さんはアンコール後、ステージ上からファンへの最後のメッセージ。「これからは恋をするかもしれませんね! 俺の嫁になるかも知れませんね!」と投げかけました。ファンは笑いも交えつつ「ええー!?」と叫び、拍手で送り出します。
各メディアはこの描写で記事を終えていましたが、実はこの後も続きがありました。
退場後、さらなる「飛鳥!」コールが起きていたのです。もうアナウンスは「本日のステージは終了しました」と会場で流れているのです。しかし止むことのない「飛鳥コール」。
これに応えて斎藤飛鳥さんがまさかの再登場。
「皆さん、遅くならないうちに帰ってください。有難うございました」という大人の対応。年も性別も関係ありません。こういった対応をできる女性を「人として」リスペクトしています。アイドルの去り際でこんな印象に残る人は寡聞にして知りません。そして「ジコチューで行こう!」はまだ脳内でパワープレイされています。(文@久田将義 写真@乃木坂46LLC)
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