「女子高生ブーム」とは何だったのか
TABLO / 2023年6月9日 13時37分
写真はイメージです。
1992年(平成6年)頃から「女子高生ブーム」があった。何をもってして「ブーム」と呼ぶかといえば、メディアがチヤホヤすることがブームの根拠である。当時はやたらと「ヒット商品は女子高生から生まれる」などと言われ、ルーズソックスなどが最先端のファッションということにされた。
企業は女子高生を集めて座談会をし、商品開発の参考にしようとするなど、まさに「ブーム」だった。あたかも女子高生の言うことに従えば大ヒット商品が生まれる、という幻想を企業の担当者は考えていたのだ。そうした流れはしばらく続き、「たまごっち」が1997年に爆発的に売れた時も「女子高生が大ヒットの起点」ということになった。
ここまでチヤホヤされると、「女子高生である」ということが絶大なる商品価値を生むようになる。ブルセラショップも各地にでき、使用済の下着やセーラー服を売ったのである。「援助交際」という言葉も生まれ、メディアはますます女子高生の商品化を煽った。
そんな頃、大学生だった私の周囲の女子大生は複雑な気持ちを抱いていたようだ。別にパンツを売りたいと考えていたわけではないのだが、自分達の世代が注目されないことに複雑な気持ちを抱いていたのだ。
というのも、氷河期世代と後に言われるようになる1970年代前半~1980年代前半生まれは注目されたことがなかったからだ。我々が中高生だった頃、「女子大生ブーム」があった。素人の女子大生がテレビやラジオに出演するようになり、チヤホヤされたのだ。川島なお美さんなどはその代表格だろう。『お笑いマンガ道場』に登場した彼女はその後女優として活躍することに。
同級生はさすがにテレビに出たかったわけではないが、「チヤホヤされる世代」でいたかったという。1993年、大学に入ったら女子大生ブームは終わっており、女子高生ブームになっていた。
「なんで私達が女子高生だった時に女子高生ブームがなくて、大学に入ったら女子大生ブームが終わってるのさ!」
こう文句を言っていたのである。正直、自分の世代がホメられるというのはどうでもいい話ではあるものの、彼女の気持ちも少しは分かる。女子大生というだけで、雑誌の座談会に出演して、お小遣い2万円也をもらえると目論んでいたのだが、それができなかったのだから。
しかも、時代は不況真っ盛りになり、割りの良いバイトもあまりなかった。家庭教師をしようにも、すでに少子高齢化は始まっており、同じ大学の学生と熾烈な競争があり、大学のある市内ではもはや仕事がなく、電車に乗って生徒の家へ行っていたのである。
あれから30年、ベビーブーム世代でもある氷河期世代は非正規雇用や無職も多く、完全に国から見捨てられたと感じている。IT社長等一部の成功者はいるが、多くは競争が激しくなかった世代に正社員になった年下よりも安賃金に甘んじている。日本はシルバー民主主義で、高齢者優遇の公約をする政治家が選挙に強い。じゃあお前らも選挙行けよ、となるが、「子育て支援をします!」のような公約をする候補者はいるものの「氷河期世代の雇用を増やします」なんて候補者は滅多にいない。
損な時代に生まれちまったものだ、と考える同世代も多いだろう。これを考えると大学生の時の同級生女性の「なんで私達が女子高生だった時に女子高生ブームがなくて、大学に入ったら女子大生ブームが終わってるのさ!」が蘇ってくるのである。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)
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