月形刑務所で516人の食中毒発生...元暴力団組長が綴る塀の向こう側

　北海道・岩見沢保健所は先月30日、月形刑務所で９月中旬に20～70歳代の受刑者、計516人が病原性大腸菌に感染する集団食中毒があったと発表した。同保健所によると、道内の刑務所で過去10年間に起きた集団食中毒では患者数が最多だという。

　同保健所は30日から５日間、同刑務所に対し、炊事場の使用停止を命じた。受刑者の食事は弁当などで対応する。

　今までもこれからも、塀の向こう側には我々のうかがい知れない世界が広がっている。元暴力団組長から届いた手紙をもとに、普段知る事ができない刑務所の生活を垣間見てみよう。

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前略
　拘置所から刑務所に移送され、まず領置調べを済ませ顔写真等を写します。ここからが大変な所です。新入訓練です。

　どこの刑務所も同じと思うのですが新入訓練が一番厳しいと思います。

　私が務めた刑務所は週３回あり二月の寒い時でしたか?　担当も新入りで若い者が多く、どっちが訓練してるか分からないくらい未熟でした。

　房から廊下に出たら、「手を上げろ」だの「整列したら前から1、 2、 3、 4と番号を言う」のですが慣れていないと、前の人が何を言ってるのか分からない場合あり、間違えると「番号もとい」と何度も何度もやり直しです。それらが終わと外に出るのですがここでもまた、1 、2、 3、 4......と大声言わせ、で前進させるのです。

　二月の寒い時期に何度も号令をかけ縦、横が揃うまで行進させ、私が初犯の時はもう無理と思うほどきつかったですね。

　私ら現役(だった頃)は新入訓練でよくイジメられました。毎回 前に出され「基本型用意」と指差し大きな声で言うのですが、声が出なくなるまでやらされました。

　担当が「オイ、ここではヤクザも堅気も関係無いぞ」と怒鳴り散らしますが、あんなのが通用するのはこの中だけですよ。「現役の人達」は皆腹の中では笑ってましたね。

　そういった、新入訓練もだいたい二週間くらいで終り、工場に下りるのですが現役(のヤクザ)はどこの刑務所でも同じと思うのですが、侍工場がありだいたい侍に行かされます。工場に行くとまぁ人相の悪いのがゴロゴロしてますよ。その中でも百人中十人位が現役ですね。というより皆、同じ服 同髪型ですから悪そうに見えるのです。

　現役は現役紹介があり現役に挨拶して回るのですが、私は現役紹介が一番嫌いだったですね。本物かどうか分からない者に頭下げるのが嫌いでした。よく騙りがいて、破門 絶縁になってるのに現役を騙る悪い奴が多いのです。本当に初めは信じられなかったですよ。

　私はなぜか担当の親父(刑務官)に気に入られ、楽に過ごしました。担当に気に入られない人はどこの工場でも大変と思います。私の場合言い争い等や昼休憩にトイレに呼出しよくドツイてましたが、目をつむってくれました。まぁ、そんな悪さも沢山しましたが今では良い思い出と良い勉強になりましたね。それでも刑務所は決して更生施設ではありません。

　やはり楽しみは風呂、食事ですか。

　風呂は冬場は週３回15分。私が務めた刑務所はシャワーだったので楽でしたよ。普通は掛け湯何杯とか煩いらしいです。夏場はシャワーが1分の風呂３回でした。工場によって毎日入れる工場もありますよ。例えば金属工場とか。

　そうそう、みなさん知ってますか？　旗日祝日は一人一つお菓子が出ることを みなさんこれが一番の楽しみと思います。このお菓子を賭けて相撲、野球、将棋、ジャンケン等で博打をするのですがこれがまた大変です。負けた者は勝つまで勝負する。最後は夜メシのおかずまで賭け、白飯だけで食べる人も居ました。

　もちろんこれらの行為が見つかると懲罰です。それにしても、一番格好悪い懲罰ですね。人の食事を取付上げたり、人の者をやり取りしたり格好悪い懲罰です。

　それとは別にもちろんイジメもあるのですが、私に言わせれば、これはイジメられる方が悪いと思います。イジメられる方はイジメられる事してますよ。嘘ばかり言ったり、人に物をねだったりとか。仕方ないですね、集団生活なので......。では。

草々

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Written by 日刊ナックルズ編集部

Photo by Arvind Balaraman