至極の選挙ロードムービー『シン・ちむどんどん』 「辺野古基地・ひろゆき発言」と沖縄県知事選をダースレイダーとプチ鹿島が掘り下げる
TABLO / 2023年7月31日 6時6分
またアノ二人が帰ってきた(「シン・ちむどんどん」より)
「真っ当に生きたい」。それがこの映画を見た感想です。
つまり、真っ当でない発言や発想が世の中にはびこっている気がしてならないのです。この映画の主演・監督のラッパーのダースレイダーさん、時事芸人のプチ鹿島さんは、沖縄・辺野古基地問題や反対派の人達の座り込みに「0日からでよくね」と笑顔で言っちゃう、論破王(もう死語ですか?)ひろゆき氏の人としての振る舞いに対して、直接批判をしている訳ではないけれど、全く違う角度から迫っていっています。
当事者性という言葉があります。事件・事故などに遭った人たちの話を聞く時、最も大切な姿勢です。冷笑系という言葉がありますが、これは当事者性の反対語と言っても良いでしょう。今回、ダースレイダーさんとプチ鹿島さんは(『劇場版センキョナンデス』でも行っていますが)は、改めて当事者性という態度をきちんとしつつ辺野古基地反対派の人たちの話を聞きます。とにかく聞きます。これが何と大切な事か。
もちろん、反対派の中でも、この手の取材をしているライターに聞く限りでも毀誉褒貶ある人もいる、らしい事は分かります。それでもとにかくも、聞く。当事者はなれません、我々は。それでも当時者に近づくために「聞く」のです。ひたすらに。
この映画を見て、少し福島第一原発事故に似ているのかな、と思いました。僕は、2011年の夏頃から双葉郡に生まれ育ち、原発に勤め、2011年3月11日14時46分をあの福島第一原発(通称・1F)の中にいた人々の話を取材しました。作業員・被災者は初めは僕のことを「何だ、こいつ」というような姿勢でした。当たり前ですよね。東京からいきなり来た人間に、こちらは家が地震で崩壊し、防護服を着て汗まみれになりながら廃炉作業をしているのに色々聞かれたら。当事者しか分からない気持ちですよね。
それでもしつこく、朝まで酒を飲みにながらひたすら、彼らの話を聞きました。当事者にはなれなくても当事者性を大事にしたいと思ったからです。卑近な例を出して申し訳ありませんが、二人の沖縄の人々に対する姿勢を見て、自身に謙虚になっている様子が画面を通して感じられました。
そして思う訳です。「真っ当だな」と。「チートは要らない」と。
二人は賢しらな事を言う訳でもありません。そして、特別な政治思想を持っている訳でも恐らくないでしょう。ただただ、真っ当に取材し、それを映画にしている事が伝わってくるのです。そして今の時代、そういった姿勢こそ大事に持っておかなければならないのではないでしょうか。ですから、ダースレイダーさんもプチ鹿島さんも「信頼できる」のではないでしょうか。
冷笑する世の中と、真っ当な人が真っ当に生きる世の中、どちらを選択しますか。そんな問いかけをされているように感じました。
またタイトルの「シン・ちむどんどん」ですが、沖縄県知事選三候補、玉城デニー現知事、下地幹夫氏、佐喜眞淳氏らの「好きなテレビ番組」に「ちむどんどん」が書かれている事に鹿島さんが注目(こういう重箱の隅をつつくのは鹿島さんの芸と化している。僕も鹿島さんのこの芸には何度も笑わせて頂いた)。
果たして、本当に「ちむどんどん」を見ているのか。三人に尋ねてみるのだがネタバレしないように言うと一人は「見ていない」と言い切るし一人は「多分見ていない」というごまかし方をするし、明確に「ちむどんどんはここが面白い」と言った人は1人だけでした。
ここからも政治家が選挙の時に調子のいい事を言うという一例を暴いてしまっているのですよね、この映画は。
それともう一つ、この映画の見方としてまるで、ロードムービーのようではないかとい感じました。『パリ、テキサス』などのロードムービー好きの僕は、ハっと気づかされました。党派関係なく、選挙事務所を尋ねていく様が、主演二人のロードムービーのように感じられた訳です(既にそういうご指摘があればすみません)。一つの所に留まらないで、選挙の現場へひたすら歩いていく―ー。いい意味での無邪気さ。「あしたのジョー」の両手ぶらり戦法のようにして、各候補に当たっていく。見習いたいものです。
余計なことですが、自民党本部の事務方に『劇場版センキョナンデス』と『シン・ちむどんどん』を薦めておきました。
●8/11(金)〜 那覇・桜坂劇場にて先行公開 & 全世界同時配信
●8/19(土)〜 東京・ポレポレ東中野/シネマ・チュプキ・タバタにてロードショー
https://www.shin-chimudondon.com/(文@久田将義)
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