真実でもアウトになる! 「破産者マップ」の閉鎖で話題となった"名誉毀損"とはどんな時に成立するのか
TABLO / 2019年3月19日 15時46分
本サイト既報の「破産者マップ」。記事中では「名誉(信用)毀損やプライバシー侵害として損害賠償請求権が成り立つこともあると解釈している」と警鐘を鳴らしていました。
関連記事:これは完全にアウトでは? 過去に破産した人を検索できる「破産者マップ」が個人情報ダダ漏れで炎上
「官報を写しただけだからOKなのでは」という言葉も散見されました。つまり、公的に発表されたものだから、問題ないだろうという意見です。確かに裁判資料などは閲覧可能なケースがあります(刑事事件など)。そして、公的に発表された事実を公表して何がいけないのかという考え方に基づいていると思われます。
しかし、この考え方には落とし穴があります。「事実だから」「真実だから」という理由で何を公表しても良い訳ではないのです。記事は通常、公共性、公益性、真実性の三つの要素に基づいて掲載されます。サイトの場合は、個人で営むものが多いので、公共性、公益性はさほど触れなくても構わないでしょう。
問題は真実性です。
確かに、真実は大切です。犯罪や事件の真実を追及するのは社会生活においても重要です。ところが、真実であっても名誉棄損が成立する、と考えるのがこ30年くらいの裁判所の考え方です。
例えば体重120kgくらいの人がいたとしましょう。太っています。しかしその人を「デブ」と言った場合、真実かも知れませんが、「その人が傷付いた」あるいは「その人の社会的地位を貶めた」と裁判所が判断すれば、名誉棄損裁判で損害倍書の対象になります。
例を「太った人」にしましたが、「やせた人」でも」背が小さい人」でも「髪の毛が薄い人」でも同じことです。それらをデブのような俗称で呼んでみて、その人の名誉が貶められたとしたら真実であったとしても、アウトです。
「破産者マップ」も同様です。事実かも知れない、しかし「破産者」と呼ばれることによってその人の地位が貶められたなら、これは名誉棄損なのです。「破産者マップ」作成者はその辺りのケアをしなかったのと、知識がなかったのだと思われます。(文◎編集部)
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