車内で薬物売買...東京・江戸川区で『シャブタクシー』逮捕「都内にはまだまだいる」

TABLO / 2013年10月14日 12時0分

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 今年5月23日、営業中を装ったタクシーの車内で覚せい剤を密売したなどとして、警視庁組織犯罪対策五課と小松川署は東京都江戸川区の無職、河村和浩容疑者と同区のタクシー運転手、堀賢司容疑者ら4人を覚せい剤取締法違反(営利目的所持)などの疑いで逮捕した。

 河村容疑者らは堀容疑者のタクシーに「貸し切り」と記した札を置き、覚せい剤目当ての客以外の乗車を拒否。 待ち合わせた客に覚せい剤を売っていた。タクシーを使った密売は「亀戸・両国辺りで『貸し切り』となっているタクシーで覚せい剤が買える」という口コミで広まり、客が集まっていた。組対五課の発表では一日の客は約10人前後だったという。その手口を改めて検証してみた。

 堀容疑者が、倉庫代わりに使っていた江東区亀戸のアパートから覚せい剤を持ち出して出勤。平日の午後5から10時、両国駅や隣の亀戸駅のタクシー乗り場近くで「貸切」表示にし、運転席側の後部座席に販売役を乗せた状態で待機していた。その後、乗客が乗ったらおもむろにタクシーを発進させ、販売役が「いい物ありますよ」と覚せい剤の販売を持ちかける。売り物の覚せい剤はパックに小分けした上で茶封筒に入れられ、注射器とセットでティッシュの空き箱に隠されており、そして空き箱を「粗品」と書かれた紙で包んで手渡した。

 堀容疑者は覚せい剤の売り上げの中から2万円をタクシー代金として、会社に提出し、タクシー会社も売り上げのいい容疑者を疑うことは無かった。また、容疑者の乗るタクシーは無線もカーナビも無い、今どき珍しい旧式のタクシーだった。

 その周辺を「シマ」とする暴力団関係者に取材したところ、「あいつらはうまいことやってた。うちは全く関係ない」と答えている。裏社会の縄張りでいうと、この周辺は色々な組織が隣合わせでシノギを行っている。いわゆるアイジマだ。

 今のところ、背後関係は見えてはこない。だが、まとまった量も押収されていることから、背後には何かしらの組織があるのではないかと見られている。車内カメラを搭載していたらこの様な犯罪は防げたかもしれないが、売る側もこんな割りのいい商売を手放すはずもなく、まさにイタチごっこだろう。

 一昔前は覚せい剤の売人はほとんどがイラン人だった。街頭に立ってのシノギは捕まるリスクが高い。その役割は日本人ではなく、より弱い立場の彼ら外国人が担っていた。彼らは偽造テレカから始まり、やがて利幅の大きい違法薬物の売買に手を染めた。現在もイラン人の売人はいるが、全盛期に比べればその数は圧倒的に少ない。イラン人に対するイメージが悪化したため、繁華街には立つことができなくなったからだ。そんな最中に、この「シャブタクシー」が誕生した。需要と供給があって商売は成り立つのだ。

 組対五課も「今まで無かった方法だ」と感心するほどの手口だった。覚せい剤の犯罪は年々増加の一方であり、その供給国もロシア、北朝鮮、中国、フィリピン、台湾などから始まり、今では南アフリカ、メキシコ産が主流になってきたという。密輸手段も進化しているが、末端客への売買も進化を遂げている。そして前出の暴力団関係者はこう言った。

「じつはこういった『シャブタクシー』は都内にまだまだいると聞いている。これからも増えていくだろうな」

Written by 北里雅俊

Photo by Stuart Miles

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