週刊朝日編集長が懲戒解雇...セクハラを生みやすい土壌があった? 久田将義『気になること』連載5
TABLO / 2013年10月9日 17時0分
週刊朝日編集長K氏が「重大な職務違反」で解雇された。この情報は今週アタマには各週刊誌に流れていた。いち早く動いたのが週刊文春で、記事の中身も詳細に書かれてあるようだ。このK氏は朝日新聞本社から子会社朝日新聞出版からの出向組だ。支局を経て、AERAに副編集長として配属。後に週刊朝日へ。例の「橋下問題」で大揺れに揺れていた、その直後に就任した編集長だった。
更迭→解雇の理由も、広報は社内事情的な理由を申し立てているが既に「セクハラ」だと報じられている。もちろん出版社だけでなくどこでもセクハラは行われている。逆セクハラも深刻な問題となっているが、週刊朝日にわずかながら在籍していた身として、一時はお世話になった週刊誌なので非常に残念だ。しかし、それ以上に残念......いや憤懣やるかたないのはセクハラに遭った女性記者たちだろう。それも複数だ。五人程の連名で小境編集長、もとい元編集長を訴えたというのだから恨みのほどが伝わってくる。
気をつけなければならないのが、既に陰謀論がネット上で噴出している点だ。曰く、「反原発の記事を掲載していたのでハメられた」「上層部に睨まれて退職させられた」というような論調だが、これはあり得ない。一人の女性記者でなく連名という事実は大きい。五人がしめし合せると言うようなことは考えにくいからだ。また社内では「広報を通すように」という箝口令が引かれているようだが、その対応ぶりの評判を聞くと「どこかピントがズレている」そうである。
僕がいた頃の週刊朝日は山口一臣元編集長の下、和気あいあいとしていた。少し、のんびりとしていていたくらいだった。また女性記者の頑張りが目立ってもいた。セクハラ問題が生じるような雰囲気ではなかった。むしろ、女性記者が音頭を取っていたくらいのイメージだった。「女傑」(失礼!)とも言うべき、パワフルな記者もいた。
そういう雰囲気の編集部でセクハラ、しかも編集長が行ったとすればこれはすぐに問題になる。セクハラとは「自分の立場を利用して相手を性的に虐待行為をする」ものだとすると、彼が行ったとされる「社員にしてあげるから愛人になれ」的な言動は許されるべきではない。
どこの週刊誌も不況のあおりを受けて、経費削減を余儀なくされている。週刊朝日もそうだ。そして人件費削減の為、週刊朝日を朝日新聞出版という子会社に移し、朝日新聞社からの出向社員の給与は下げられないので朝日新聞出版社員の給与は大幅に下げるなどして、コスト削減をしてきた経緯がある。
従って、週刊朝日に関わる「朝日新聞出版」組と、外部スタッフのギャラはひじょうに安い。朝日新聞本社から出向してきた記者とは比べるもなく、雲泥の差がある。そして経費にも大幅な制限がかかる。こんな編集部内には明らかな格差社会があった。もし、K氏が、そんな弱みにつけこんで編集長という立場を利用してセクハラ行為を行っていたとすれば、なんと人品卑しいことかと思う。
「橋下問題」で編集長を更迭し、今度はセクハラで編集長が懲戒解雇。問題が続く老舗週刊誌の次の編集長はまた朝日新聞本社から出向してくるのだろうが、かつての山口一臣氏のようにプロパー以外の編集長の登用も考慮した方がいいのではないか。余計なお世話かもしれないが、かつて関わっていた雑誌だけに黙っていることができなかった。
Written by 久田将義
Photo by Ranoush.
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