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ホームレスの生活保護ピンハネで2億円...西成の貧困ビジネスで組員逮捕

TABLO / 2013年10月28日 13時0分

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 西成を舞台にした「貧困ビジネス」で、暴力団組員が相次いで逮捕された。生活保護受給者から家賃保証名目で現金を詐取したとして、大阪府警捜査4課は19日、山口組系暴力団組員で、不動産会社「住宅管理ビックライフ」(大阪市西成区)の実質経営者・伏見泰和被告(46)(別の詐欺罪で公判中)ら4人を詐欺容疑で逮捕した。府警は、一部が暴力団の資金源だったとみて調べを進めている。

 ここで改めて、西成という街の特殊性を紹介しておきたい。「西成」とは大阪市西成区にある日本最大のドヤ街、日雇い労働者が多く集まる街だ。あいりん(地区)とも釜ヶ崎とも呼ばれ、新今宮駅(JR/南海)、南霞町駅(阪堺電軌)、動物園前駅(地下鉄)の南側から萩ノ茶屋駅(南海)、今池駅(阪堺電軌)辺りまでの一帯が該当する。町名で言うと萩之茶屋、太子を中心に周辺の花園北、天下茶屋北、山王の一部の地域となる。

 ホームレスが多く、衛生環境もすこぶる悪い。そのためか、この地域の結核の感染率は南アフリカ、ジンバブエに次いで世界第3位だとする珍説まであるほどだ。

 その800メートル四方の小さな街に2万人とも3万人とも言われる労働者が暮らしている。西成警察署の南にある三角公園は、労働者の憩いの場であると同時に、その日の仕事にあぶれた人や宿が無い人が集まる場所である。今も三角公園の脇では昼間からサイコロ賭博、違法賭博場が行われていて、その多くは暴力団が絡んでいるといわれている。

 三角公園の周辺にはいつも場違いな数台の高級車が停められている。暴力団関係者が賭場の見張り役として目を光らせているからだ。この地区には現在約20近くの暴力団が事務所を構えている。過去、最も多い時には70近くの組事務所があった。

 西成の労働者全体の1日の稼ぎは一説に2億円以上といわれている。この地区に事務所を構える暴力団のほとんどが、その金を虎視眈々と狙っている。

 今回逮捕された伏見被告らは大阪市内でマンション約70棟の部屋を借りあげ、受給者約2000人にまた貸しして、家賃の差額などで年間約2億円の利益を上げていたという。受給者の多くは、ホームレス生活をしていた際に同社側から声をかけられ、住居のあっせんを受けていた。これはホームレスを集めて生活保護を受給させた上で生活費をピンハネする「囲い屋」といわれる典型的な手口だ。

 この西成には暴力団関係者によって運営される懇親会が存在する。それはこの「美味しい町」で揉め事を起こさず、旨味を分け合い、共存すべく機能しているのだ。今回の「囲い屋」はあくまでも氷山の一角であり、これによって貧困ビジネスが衰退するような事態にはならない。彼らがこれほど美味しい利権を手放すはずがないからだ。

Written Photo by 西郷正興

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