「デブ専」売春あっせんで逮捕された制作会社の女...報道されない素顔とは?

TABLO / 2013年10月22日 10時0分

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 つい最近このようなニュースがネットで話題になっていた。

『体重が重いAV女優を売春相手としてあっせん 制作会社の女逮捕』(FNNより引用 http://www.fnn-news.com/)

 アダルトビデオ制作会社の女が、体重が重いAV女優ばかりを売春相手としてあっせんしていた疑いで、警視庁に逮捕された。職業安定法違反の疑いで逮捕されたアダルトビデオ制作会社社員・垣迫奈央容疑者(35)は、所属するAV女優を東京・台東区の売春クラブに紹介した疑いが持たれている。垣迫容疑者が働くアダルトビデオ制作会社は、体重が重い女性ばかりを扱っていて、調べに対し「大きい子は面倒くさがりで、仕事を探さないので、面倒見のよい自分が紹介していた」と供述しているという。

 なぜこれがネットで話題になったかというと、それは 「体重が重いAV女優」 という単語にある。さすがに大手メディアが 「デブ専」 という単語を使う訳にもいかず、苦肉の策でこうなったのだろうが、単語の面白さで拡散されてしまったようだ。

 さて、突然でなんだが、私の前職は弱小メーカー勤めのAV監督である。そのメーカーはいわゆる 「キワモノ」 を得意としており、盗撮・ニューハーフ・ババア・スカ......そしてデブといったジャンルを得意としていた。この中だと盗撮が最もメジャーな臭いがするという酷いラインナップである。

 そんなメーカーに勤めていた事もあり、アングラ系のセックスワーク業界には顔見知りが多いのだが、今回のニュースを見て私が最初に思ったのは 「体重の重いAV女優ってなんだよ」 ではなく 「これ知り合いのあの子かもしれない......」 だった。

 そして事実その通りだったのである。

 その筋に興味がない方は知るよしもないだろうが、デブ専業界(風俗やAVなど) でいうところのデブとは、おそらく皆さんが思っているレベルではない。世間一般の方がデブと言われて頭に思い描くレベルの体型は、業界的には 「ぽっちゃり」 だと思われる。ではどれくらいからが 「商売になるデブ」 なのかというと、マツコ・デラックス辺りからが安定してデブで稼げる体型ではなかろうか? 業界ではそれくらいじゃないとデブと名乗れないのだ。

 そんな体格の女性ばかりが集まる業界なのだから、外の世界の人間には思いもよらない悩みや諸問題が転がっている。

[1日の食費]

 デブ専業界では 「体重が下がるとギャラも下がる」 というお約束があるため、しっかり稼ごうと思ったら体型を維持するために食わねばならない。その食費が風俗店やメーカーから経費で落ちるなんて事はあり得ないから、当然ながら自腹で食い続けなければならないのだ。ではそれだけの生活費をどうやって工面すればいいのか? という切実な問題になってしまうのである。

 

[動けない]

 これは比喩でも何でもなく言葉そのままで、彼女たちは一般人と比較すると物理的に動けない。たまにデブとは言っても筋肉量が多く、歌って踊れるような子もいるが、原則としてそのレベルにまで育ってしまうと、どうしたって人体の限界に近付いてしまう。日常生活もおっくうになるだろうし、自重で膝を悪くしたり、中には松葉杖がないと歩けないなんて子までいる。

 

[社会に居場所がない]

 デブ専業界で通用する体型ともなれば、標準体型からかけ離れてしまい、アレもできない、コレもできない、あそこには入れない......と、とても肩身の狭い思いをさせられる。心ない人間は 「じゃあ痩せろよ」 と一言で済ますかもしれないが、その体型が生まれついての因子や病的な何かに起因していたらどうだろう? 簡単に痩せろor食うなと言われても、話はそんなに簡単ではない。

 さて、今回逮捕された容疑者がどのような人物かというと、そうした様々な問題を抱える子達にとって「頼れる世話やき姉さん」 だった子である。「大きい子は面倒くさがりで、仕事を探さないので、面倒見のよい自分が紹介していた」と供述しているようだが、この子に関して言えば (私が知る限り) 本当にその通りだった。絶対に無理強いはしないし、性格的に中抜きも殆どしなかったのではないかと思う。

 デブ専のプロダクション(ニュースにはメーカー勤務とあるが、おそらくプロダクション勤務の間違い) をやっていた子だから、ビジネスとして会社が取る分のお金はあっただろうが、売春の斡旋でガッポガッポ懐に入れるというやり方はしていなかったはずだ。だからこそ売防法ではなく、職業安定法違反でアゲられたのだと推測される(今後何か追加される可能性はあるが......)。

 以前、知人が主催した 「100kgを超えるデブの女の子達が大勢ロフトプラスワンに集結して、壇上で横に並んでパラパラを踊る」 という悪夢のようなデブ専イベントにスタッフとして参加したのだが、その時に間に入って女の子の管理をしてくれたのが今回逮捕された容疑者だった。デブ専業界に限らず、裸商売をやる子は色々とルーズな場合が多いのだが、この子が間に入るとキッチリ管理してくれるので、土壇場で女の子が飛んでどうにもならないといったトラブルになるケースが殆どなかった。仮に1人2人何か問題があっても、責任を持って即座に代替のモデルを用意してくれるので、発注を出す側からすると本当に信頼できる相手だったのだ。

 また肝心な事だが、実はこの容疑者自身が 「体重の重いモデルさん」 だったのである。この子からすれば、自分が歩んで来た道だからこそ、同じような体型で悩む女の子に対して 「大丈夫だよ~、私達みたいな体型でもちゃんとお金が稼げる世界もあるよ~、求めてくれる人も大勢いるんだよ~」 と教えてあげたかったのではなかろうか?

 それに、この子が間に入って仕事を紹介していた子達は、特に怖い目に遭う事もなく安全にお金を稼いで食いつなぎ、次々とパートナーの異性を見付けて寿退社して行った。だから最近は 「みんな旦那さんを見付けて仕事辞めちゃうから、女の子の数が減る一方なんですよ」 などと、嬉しさ半分ボヤき半分といった軽口を叩いていたほどだ。

 売春の斡旋をしていたのだから、法律の上では罪は罪であるのだが、私は本人の人柄を知っているだけに、どうしてもモヤモヤが残ってしまう。彼女が仕事を回していた事によって、幸せになれた子は大勢いるが、いったい誰を不幸せにしたというのだろう?

 しかし社会のルールはルールであるから、今は 「罪を償ってね」 としか言えないが、そんな建前よりも 「脚は伸ばせているかな?」 とか 「食事は足りているかな?」 といった心配の方が先にきてしまう。あの体型だから、狭い留置所の中で横にもなれずにいたらしんどいだろうし、もし痩せ細ってしまったら出て来た後の仕事に困ってしまうかもしれない。

 何よりも、彼女が面倒を見て来た子達の多くは、今は結婚して子供も生まれて幸せな生活を送っているのだ。そこに警察が踏み込んで行って 「あなたデブ専モデルやってましたね? 売春してましたか?」 などと始まったらどうなるだろう?

 世の中には様々な事情でグレーやブラックな世界を必要とする弱い立場の人間もいるのだから、捜査関係者にはぜひとも穏便に済ませて頂きたいところだ。

Written by 荒井禎雄

Photo by marin

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