中日ドラゴンズ落合GM・谷繁監督誕生の舞台裏...「球界の野良犬」愛甲猛が吠える

　正直、谷繁のプレイングマネージャーは俺でも予測出来なかった。大方の予想は落合さんか立浪だと思っていたけど、事前に入って来た情報では「立浪は絶対無い」とのことだったので、もしかしたら山崎武司かも......と予想していた。

　なぜ、立浪がダメかって？

　それは彼に良からぬ噂があって、それを白井オーナーが快く思ってないことが理由だ。俺としては噂だけに留まって欲しいと思っている。あ、これは清原にも当てはまる話しかもな(笑)。

　しかし、監督候補だった落合さんがGMという職に就いたのは意外だったけど、俺はやっぱりと思う部分もあった。落合さんは前々から「俺に代表やらしてくれたら強いチーム作るけどなぁ！」というのが口癖だったからだ。

　今回は落合さんの思い通りに事が運んだんだろう。恐らく当初はドラゴンズから監督再就任のオファーだったんだろう。だが、落合さんの要望がGMだった。それをドラゴンズが了承したのではないか。

　そして監督には、落合さんの教え子の谷繁、ヘッドコーチには前回と同じ森繁和さん。正直なところ、この体制は落合さんが背広着て監督やる様なもんだ。谷繁にはまだ選手としてのプレーにかかる期待は大きいし、負担面を考えても、大方のベンチワークは森繁さんが仕切るだろう。実は前回の落合政権時も森繁さんが仕切っていた。いや、正確には落合さんが仕切らせてたと言う話も聞いている。

　いずれにしても落合さんは自分をクビにした球団幹部を一斉排除して、やりやすい環境にしたから、３年単位で考えれば、ドラゴンズは確実に強くなるはずだ。おそらく、相当お金を使って選手もコーチも裏方も補強するだろうから球団経営のほうが心配になるが、落合さんは金の面でも頭が切れるので心配が不要か。

　落合さんはなぜGM職を選んだのか疑問に思う人は多いだろう。だが、俺は分かる気がする。あくまでも想像の範囲だが、落合さんは監督のオファーを受けた時、こう感じてこう考えたんじゃないかな。

　自分が育て強くした常勝ドラゴンズだったが、高木守道前監督がすべてダメにしてしまった現状で、再び監督を引き受けても、強さを取り戻すには３年はかかる。それに結果が出なければ非難を浴びるだろうし、電撃解雇も有りうる。

　だが、谷繁を監督にして、ヘッドにには森繁さんを置いた上でGMになれば、監督をやってるのと変わりないし、何よりもGMであれば監督より絶対的に寿命が長い。やりたかったポジションとは言え、さすが頭の良い落合さんだなぁって思ったね。これは繰り返すけど聞いた話じゃなくて、あくまでも俺の想像だ。

　それと、ドラゴンズというのは生え抜きが大事にされる伝統があるので、基本的には生温い首脳陣体制が多いんだけど、落合さんは駄目な者は駄目とハッキリしている人だから、これから選手もコーチも裏方も大変だ。前回も今回も宇野さんが切られたのは偶然じゃない。実際、Aクラスを保持してた自分をクビにした球団幹部を今回逆に「クビ返し」にしている。

　最後に今回の中日ドラゴンズの監督問題で面白い話を聞いたので特別に日刊ナックルズ読者にだけ報告しよう。じつは谷繁新監督が誕生する前に、大物OBのKが「自分を監督に」と売り込んでいたようだ。

　しかも、このKは、以前にもこっそり楽天イーグルスに売り込んでいたことが大物お爺ちゃんにバレて、「他所で監督やるなら借金を返してからにしろ！」と怒られ、性懲りもなく今回も黙って売り込んでいたことがバレて「ウチでは絶対監督はやらさん！」と言われたとか。ちなみに、ドラゴンズ側では要求する金額が高過ぎで手を引いたと言う話も聞いている。

　信じるか信じないかはアナタ次第です。

　ではまた次回に。

Written by 愛甲猛（元プロ野球選手、野球評論家）

Photo by 「采配」落合博満