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裏社会に広がる格差...生活保護でしのぐ貧困ヤクザ「うつ病扱いで6年病院通ってる」

TABLO / 2013年11月1日 15時0分

裏社会に広がる格差...生活保護でしのぐ貧困ヤクザ「うつ病扱いで6年病院通ってる」

 裏社会は経済を如実に写し出す鏡のようなものだ。貧困ビジネスで年間数億円の利益を得る組織がある一方で、組員全体が「生活保護」で細々と暮らしている暴力団組織ある。某地方都市に事務所を構える指定暴力団の下部組織X。組長は60代で、その他の構成員はほとんどが50代以上という高齢化が目立つ組織だ。50代後半の男性構成員に話を聞いた。

――今のシノギについて話を伺いたい。

「生活保護の受給だよ。細々と食ってるよ」

――「貧困ビジネス」とはどう違うのか。

「俺たちが受給者なんだよ。ふつう、ヤクザだと生活保護は下りないんだけど、俺たちは本部登録されてないから問題はない。会合は役所がやってない、日曜祭日、土曜日に決まっている。会合の後は握り飯を各自3個持たされて帰る」

――組に人の出入りはあるのか。

「ほとんどないが、40代で食うに困ってる連中はいる。まず、組に入ると部屋住みさせられる。部屋住みと言ってもアパートの一室で夜に事務所に来た電話を転送させて受ける仕組みなんだけど、その次にやらされるのは病院に通わされて、生活保護の申請をさせられる。俺なんかうつ病扱いでもう6年病院通ってるよ」

――生活保護費は入って来るのか。

「事務所経費に5万円取られて、残りの3万ほどが収入になる」

――どんな組員がいるのか。

「幹部が懲役で拾って来たのが、少女わいせつ事件の犯人だったり、よそを破門になった人間が名前を変えて所属してたり。まともじゃないのが多い。女に働かして食ってるヒモみたいな人間もいるけどな」

――組自体は苦しいのか。

「苦しくないと言ったら嘘になるけど、決まったシノギがあるのは上の三役だけで、俺らはシノギが全くと言っていいほど無い。俺だってこんなのが任侠道とは思ってないがシノギがないんだからしょうがない」

――住む部屋はあるのか。

「あるけど、何人かはデリヘルの待機部屋にさせられたりしてるよ。漫画みたいな世界だよ。組長から言われて通帳をネットで売った奴も逮捕されたしな。だけど、ヤクザ扱いを警察でされなくて、惨めだったみたいだな。誰も面会にも行かないし。と言うか面会を組から禁止されたしな。義理場も行けないし、ヤクザなんだか、堅気なんだかわからないよ。普通は義理場に行って顔と名前を覚えて貰うのが普通だけど、そうなったら警察に写真撮られて、生活保護が下りなくなる。だから俺なんかは行けないんだよ」

 貧困ビジネスを手掛けて大儲けしている組織も数多いが、暴対法、暴排条例などの施行により、経済的に追い詰められたヤクザは数多い。今回のケースは労働者が構成員に変わっただけで、やっていることは西成の「囲い屋」と同じだ。むしろ、構成員の場合は、任侠社会の上下関係で縛り付けるだけに悪質さが上回っている。これは形を変えた新手の「貧困ビジネス」だといえるだろう。

Written by 西郷正興

Photo by Rocpoc

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