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中国のネット上で突如人気キーワードになった「土豪」の深い意味

TABLO / 2013年11月4日 13時0分

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 いま中国で流行っている言葉がある。「土豪」(トゥーハオ)――。簡単に言うと「田舎の成金」というような意味だ。

 中国語では「田舎くさい」「野暮ったい」ことを「土」という。つまり、「土」な「富豪」が「土豪」というわけだ。主に、明らかに洗練されていないが、自分に資金力があることをやたらとひけらかしたがる人に対して使う言葉だという。褒める言葉ではないのは一目瞭然である。

 言葉そのものは別に新しくはない。辞書にもちゃんと載っている。ただし、辞書上の意味は「金持ちの豪族」「地方のボス」といったもので、「ださい金持ち」とは微妙に違う。しかも、最近ではせいぜい中国で「革命」が盛んだった時代の倒すべき相手として「土豪」という言葉が使われたくらいで、長いことほとんど口にする人もいないような言葉だったらしい。

 それがなぜ最近急にあちこちで聞くような言葉になったのか。中国のSNS上で誰かだれかがつぶやいた「土豪と友達になろう」という言葉や「土豪のために詩を作る」運動がきっかけになっているという。それが今年9月初めのこと。そこから急に「土豪」という言葉がネットの世界の頻出ワードになったのだ。

 ちょっと年かさの文化人などはこのブームに対して、「"土豪"という言葉で洗練されていない金持ちを自分と対立する存在と位置づけ、敵視するような風潮は危険だ」と警告を発したりもしている。中国にはかつて、「金持ちはすべて悪」とされた時代があったから、なおさら危機感を持つ世代もあるのだ。それに、ごく最近も"成金"や成り上がりものによる横暴はしばしばニュースになっており、「仇富」という言葉すらあるのだ。

 そうは言っても「土豪」ブームはなかなか終わらない。「iPhone5S・5C」の発売で、さらに人口に膾炙するようになった。「土豪金」のiPhone5Sが発売されたからだ。

 じつは、中国のネットユーザーたちは、アップルが発表した新色すべてにオリジナルの名称を与えた。

 5Sの「シルバー、ゴールド、スペースグレー」は「金正銀、土豪金、高端黒」で、「金正銀」は北朝鮮の「金正恩」と同じ音(中国では当初、音を元にこの文字で紹介された)、「高端黒」は「高等手段でユーモアたっぷりの批判や風刺」のこと。

 5Cの「ピンク、イエロー、ブルー、ホワイト、グリーン」は「脳残粉、大便黄、武藤藍、古徳白、茶婊緑」。ちなみに「脳残」は見た通り頭が残念な人のことを指して使われる言葉で、武藤藍は日本のAV女優の名前。「古徳白」は「グッドバイ」と似た音。「婊」は売春婦のことで、「茶緑婊」というと「清純なふりをした売春婦」という意味だそう。意地悪なジョーク満載だが、深い意味はないらしい。

 というわけで各色、凝ったネーミングを与えられ、iPhone5Sのゴールドは「成金色」に等しい「土豪金」と呼ばれるようになった。しかし「ださいゴールド」だと罵る人がいる一方で、「土豪金iPhone5S」ファンは後を絶たない。どのショップへ行っても売り切れで、入手困難なのだ。「土豪金」なのに! 巷では、ホンモノの「土豪金iPhone5S」を入手できない人のための、「土豪金シール」まで出回る有様だ。

 結局、一番人気をさらったのは「土豪金」だったのである。

Written by 劉雲

Photo by Diez Photography

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