行方不明になった取材協力者のその後...西成マザーテレサ不審死事件【続報3】
TABLO / 2013年11月18日 16時0分
矢島さんが謎の死を遂げた直後に、「ある人物からの依頼で矢島さんの部屋を掃除した」と証言した取材協力者が行方不明になったことはこれまでに書いてきた通りだ。その彼とはいまだに連絡が取れない状態が続いている。どうやら彼は、なんらかの事情で自らは警察に逃げ込めない状況であるようだ。
「あいつは何か前にしでかして、警察には頼れないんや」
彼を筆者に紹介してくれた仲介者はそう言った。彼が、矢島さん宅の掃除を頼まれたのは、決して「顔見知り」だったからという単純な理由だけではなかったのだ。
そして、この事件の根底には貧困ビジネスというキーワードがある。小さなものだと泥棒市などで早朝のみ行われている湿布、睡眠薬、安定剤などの売買に始まり、「囲い屋」といった巨額が動くものまで大小さまざまな貧困ビジネスがこの町には根付いている。
「この地域の貧困ビジネスには多くの医者も絡んでいる。生活保護を受けるために有利な意見書を出して、見事に受給したら数万のバックマージン。さらに受給後はうちに毎週診察に通いなさいと。そんな医者がかなりおるで」(西成で開業する某医師)
この町では暴力団、NPO、極左などの他、医師まで貧困ビジネスに加担している。また、関東の大きなNPO団体も貧困ビジネスを手掛けているが、彼らも西成で貧困ビジネスを徹底的に学んでいる。
最先端の貧困ビジネスは西成で生まれ、日本全国のドヤ街に広がっていく。言葉を変えれば西成はモデルケースでもあり、行政も無視できないほどの影響力を持っている。
大阪の橋下市長も特区構想で西成を変えようとしているが、すべてを変えようとすると大きな反抗が生まれる。それは過去を見ても明らかだ。世界中で何人もの人間が理想、改革を掲げて命を失っている。
大げさな表現に思えるだろうが、それが西成のマザーテレサこと矢島祥子さん不審死事件の真相だ。1人の力ではどうにもならない。この事件の闇は深い。
Written by 西郷正興
Photo by wstuben
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