夫婦の間だけではなく、若い恋人同士の間でも深刻となっているのがセックスレス問題です。
40代50代でのセックスレスであれば、「そんなもんだろう......」と納得もできるかもしれませんが、20代30代の男女でもセックスの頻度が少なくなっているのは少々問題アリ。日本人に増加する「セックスしない症候群」は、欧米人にはまったくもって理解不能なようです。
そんな日本人のセックスレス事情を心配する声が海外でも広がっている模様で、海外メディアが取り上げた記事が話題となっています。
セックスレスの原因は日本社会にあるのかもしれません。かつてアダルト業界に従事し、現在はセックス及び人間関係専門のカウンセラーであるアオヤマアイ氏によると、現在の40歳以下の日本人は従来の人間関係に関心を失っているように見えるのだとか。
彼女がカウンセリングするのは、男女両方。しかし、その多くが交際や結婚に興味を失っている一方、将来への不安や孤独感を感じている人も多いといいます。
このような日本人が増えた背景には、日本の職場環境にある"保守的な考え方"が影響しているのではないかと言われています。女性の社会進出や出世も当たり前になっている今ですが、一部では「男は仕事、女は家庭」という考え方が根強く残っているのも事実。
一方、フランスの国営銀行で働くトミタアイリさん(32歳)は、2つの大学の学位を持ち、流暢なフランス語を話すキャリアウーマン。彼女は、3年前に彼からプロ ポーズされましたが、彼よりも仕事への興味のほうが強いと気付き、結婚を断りました。以来、誰かと付き合うことにも興味を失い、今は仕事一筋の人生を楽し んでいるのだと言います。
実際に、日本では70%近い女性が、第1子出産後に仕事を辞めてしまうという実態があります。世界経済フォーラムによると、これは世界でも最低ランクの国の1つであると位置づけられており、職場での男女平等性がまだまだ遅れているというのが現状なのです。
さらに現在、日本人の未婚率は過去最高に達しています。ある調査によると、18歳~34歳までの未婚の日本人のうち、男性は61%、女性は49%。さらに30歳未満の3分の1は、デート経験すらないという現実から、恐らくセックスの経験もないだろうと思われています。
また、日本家族計画協会の調査によると、16歳~24歳までの日本人のうち、45%の女性と25%の男性が「セックスには興味がない」という驚きの回答をしている実態も明らかになりました。
そういった背景もあり、2012年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数)は、1.41と16年ぶりに1.4台を回復しましたが、出生数は過去最低となり人口減少は続く一方です。専門家によると、このままでは日本の人口は2012年の約1.27億人から、2060年には3分の1にまで減少し、絶滅に向かう可能性があることを指摘しています。
日本人のセックスレス問題は見過ごせない事態になっているようです。希薄な人間関係、女性が働き続けるのが難しい社会、子育て支援策などなど、1人1人がもっと真剣に向き合わなければいけないのかもしれません。
(参考)
※ Why have young people in Japan stopped having sex? - the guardian