犯罪予備軍が吸い寄せられる闇サイトの裏側「警察からの問い合わせはありません」

TABLO / 2013年11月19日 10時0分

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 東京都大田区田園調布で中学一年生の女子生徒(12)が誘拐され、家族が2000万円を要求された事件で、監禁容疑で逮捕された埼玉県加須市の会社員(43)が、沖縄県在住の男2人と「インターネットの闇サイトで知り合って、拉致を持ちかけた」と供述した、と報道がされている。しかし、そうしたサイトの管理人はいったい何が目的なのだろうか? 

「闇サイト」という言葉のイメージからは、なかなかアクセスできない"闇の世界"のような印象だが、実際には誰もがアクセス可能だ。メディアで「闇サイト」という言葉が出始めたのは2005年10月頃だ。読売新聞では10月3日付夕刊で、「"闇サイト"には、管理者自身が違法な商売目的などで開設したサイトと、利用者が犯罪行為を呼び掛けたり、利用者同士で犯罪情報を交換し合ったりする掲示板サイトなどがある」と書いていた。

 この頃、私は、「闇の職業安定所」の管理人にインタビューを申し込んだ。「闇の職業安定所」は、「闇サイト」の代表格とされたが、報道されるたびに、同名のサイトがたくさん出来ていた。管理人は、「対面インタビューは難しい」としながらも、メールでのインタビューには応じてくれた。

ーー貴サイト(「闇の職安」)の役割とはなにか。

「当初の目的は、短期アルバイトの求人サイトの予定でした。ただ、そういったシステムを作るには費用もかかりますし、時間もかかります。それを解決する方法として、掲示板と言う手法を取りました。

 誰でも簡単に求人が出せ、求職もできる。そのようなサイトを目指しているのに変わりはありません。ただ、犯罪に関わる書込みや売買の書込みは禁止です」 

ーー(「闇の職安」について)「闇サイト」などとマスコミで報道されている現状をどうみるか。

「サイトの名前の由来は、その時、人気のサイトに『裏のハローワーク』があったので、『闇の職業安定所』と名づけました。検索してみると分かると思いますが、『裏のハローワーク』の管理者は口座売買で逮捕されています。それがマスコミに報道されると、ニュースを見た一般人等が真似をしようとして、(「闇の職安」でも)違法な書込みが爆発的に増えました。オレオレ詐欺やワン切り等も報道が元で広まった犯罪とも言えます。同時に世間に広まり防止と言う事にもなりますが。

 闇サイトと呼ばれてもかまいません。こちらは違法な書込みは削除や制限を掛け、禁止ワードを50以上設定して防止に努めています」

 管理人は「禁止キーワード」に触れているが、違法性のある書き込みを感じる注意も書いていた。

 また、私は06年3月にも管理人にインタビューを申し込んだ。このときにも、「闇の職安」と犯罪の関連の取材だった。犯罪行為を募集する人を知っているかも含めて聞いたが、このときも対面のインタビューが実現できなかった。

ーー貴サイトと犯罪の関連性はありますか? また、違法な内容を書き込むユーザーと個人的に連絡を取ったことがありますか?

「当サイトが関与した事件簿等はありません。報道等も少なくなっています。掲示板にアクセスをする前に、求職、求人と分けて注意文を明記しています。 

『違法な求人は警察の関与がある』『掲示板に書き込めば、それが証拠となる等求人は、違法な書込みには反応しない』といったことなどです。そのために、わざわざ当サイトを利用して犯罪をする人がかなり減っている状態ですね。

 また、犯罪行為を書き込む人と個人的に関わりを持つことはありません。当サイトの寿命を縮めるだけの存在であり。関わりをもつ必要が無い為です」 

 ちなみに、この「闇の職業安定所」の管理人は、2007年8月、愛知県名古屋市のOLが拉致、殺害された事件をきっかっけに、サイトを閉鎖した。その後、これまで連絡を取っていたメールアドレスは使えなくなった。

 その後、いくつかある類似サイトのうち、ある「闇の職業案内所」の管理人に対面でのインタビューができた。指定された私鉄沿線の駅で待ち合わせをした。

ーーどうしてサイトを作ったのですか?

「『闇の職安』のほかにもいろいろなサイトを作っていました。『闇の職安』のサイトは、08年8月頃に、テレビの特集を見て、『こういうサイトがあるんだ』って思い、作ってみることにしたんです。アフィリエイトが目的ですが、集客の仕方があまりよくわからないですね。副業で多少稼げればいいだけですけど」

ーー開設の反応は?

「 開設すると、最初の頃から一日150ページビューはありました。自分が作った他のサイトとはアクセスの桁が違いました。開設するだけでアクセス数が多いのです」

ーー当初、思っていたように犯罪者が集まった、ということはありますか?

「アクセスもそれほど多くないし、犯罪者は来ないだろうと思います。警察からの問い合わせもありません。犯罪者がいっぱいくるようなサイトだったら作りませんよ」

ーー開設した後も、闇の職安などをきっかけに事件が起きたなどの報道もされていますが、どう思いますか?

「マスコミで取り上げられても、自分のサイトかどうか分かりません。どっかのサイトだな、って思うくらいです。自分のサイトだ、って思わないですよ」

ーーこうしたサイトを規制したほうがいいという声もあります。もし、規制ということになったら、どうしますか?

「何か犯罪に絡んだとして、警察から何か言われたら、サイトをやめると思う。ただ、犯罪者を集めて事件が起きるのはよくないけど、どの書き込みがそうなのかはわからない。『強盗に協力してください』なんて書く人はいませんし」

 この管理人は、もとの「闇の職安」の管理人とは違って、話題になったサイトを真似て、アフィリエイトで小遣い稼ぎをしようとしたことが目的だった。少なくともインタビューに応じた2人は犯罪目的ではない。こうした管理人は他にもいるだろう。今回の事件でも多くの検索がされ、ベージビューがあがったことが予想される。

Written by 渋井哲也

Photo by I Love Trees

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