「借り」を膨らませて相手を操る裏社会の心理術...草下シンヤ『ちょっと裏ネタ』

東京ブレイキングニュース / 2013年11月19日 17時0分

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 人間、「借り」があると相手に対して強く言えないというのがサガである。裏社会の人間はその心理を巧みについて、相手を意のままに動かす。本来あるはずのない「借り」を過剰に膨らませたり、「負い目」を与えて人をコントロールする裏社会の心理術をご紹介しよう。
 
 裏社会の人間を取材していて、よく聞く言葉は「なにかあったら言ってよ」というものだ。力のあるヤクザの幹部クラスから半グレまで、口を開けば「なにかあったら言ってよ」「言ってくれればよかったのに」「いつでも頼ってよ」などと言う。しかし、そう言われたところでこの手の危なっかしい誘いに乗る人間は少数だ。

 復讐したいやつがいるからお願いしますとか、金の回収ができなくてお願いしていいですかなどと依頼すると、彼らは「お、いいよ」とあっさりと動いてくれる。この動きそのものに"対価"が発生することもあるが、怖いのは「いいんだよ、○○ちゃんの頼みなんだからさ」とにこにこ笑っている場合だ。必ず、その後は「また、なにかあったら言ってよね」などと続く。

 だいたい、裏社会の人間を使って事をうまく運ばせようとする人間は知恵が足りない。知恵がないから他人の力を借りて意見を押し通そうとするのである。こういうタイプは裏社会とのつながりを構築すると「俺は○○組の○○さんに面倒見てもらってるからさ」から始まり、「俺は○○組と付き合いがある」、挙句の果てには「俺は○○組だ!」などと変化していくから始末が悪い。

 このような一切中身のない愚かな出生魚になにが待っているかといえば、それは見事に切り身になってサバかれるのである。

 以前、わたしと交流のあったS君。

 彼は過去に美容師を志し、アメリカに渡り修行を積むが、渡米先で芽が出ず、日本でも自分の希望する美容院に勤めることができず、パチンコ漬けになるという経歴の持ち主だった。

 彼は地元の神奈川県のパチンコ店でチンピラと出会い親交を深めた。S君いわく、「喧嘩とパチンコが強くて、いつもタバコをくれる」人物だそうだが、わたしには魅力的な要素がなに1つ見つからなかった。
 しかし、人生にくすぶっていたS君はチンピラ氏に傾倒していき、つるむことが多くなっていった。

 最初の頃、S君は楽しくやっているようだった。

「○○さんがさ、打ち子の手配してるんだけど、俺に良い台教えてくれるんだよね」

「......そう、よかったね」

 チンピラ氏に影響を受けたS君は徐々にその口調や風貌も変化していった。ラメ入りのシャツを着て、セカンドバックを持つようになっていた。

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