昭和経済界のフィクサー・横井秀樹が各地に残した「下品な廃墟」の深層

TABLO / 2013年11月25日 10時0分

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 昭和という時代は、窮屈な平成と比べると実におおらかで、政治家・財界の大物・ヤクザ・芸能人らが横並びになっていても何ら不思議ではない独特な空気があった。 そんな時代だからこそ、今では考えられないようなスケールの "怪物" が存在していたのだが、今回取り上げるのは「乗っ取り屋」こと横井英樹である。

 横井英樹が何をした人物なのかについては方々で語られているので手短に済ませるが、一言で表現するなら 「昭和の経済界の怪物」 だ。 特に白木屋の乗っ取りと、ホテルニュージャパンの大火災で有名になった男である。

 お固い書籍等では彼の経歴が事細かに解説されるところなのだろうが、今さらそこを突付いても面白くもなんともないので省略する。 せっかくの日刊ナックルズなのだから、他と同じ切り口にしてもしょうがないので、ここでは横井英樹こそ 「日本の廃墟の父」 であると評しておきたい。

 私も含め、廃墟マニアからすると、横井英樹の功績は計り知れないものがある。 横井は会社の乗っ取りだけではなく、ボウリング場・レジャー施設・ホテル等の経営も手がけていた人物(というか一族) なのだが、昭和のイケイケモードが落ち着くに連れ、彼が生み出した 「実業」 も次々と暗礁に乗り上げてしまった。 その結果、日本中に哀愁や無常感の漂うマニア好みの廃墟が生まれて行ったのだ。

 廃墟マニアとは、単に廃墟の光景が好きだという訳ではなく、「どうしてそこが廃墟になってしまったのか?」 「どんな人々がこの空間に存在していたのか?」 といった裏まで考えたがる性質がある。 「キレイに整備された庭だったはずなのに...」 とか 「海外の一流デザイナーにジャパンンマネーを積んで設計して貰ったのに...」 といった諸行無常さがたまらないのだ。

 そういった属性の人間からすると、横井英樹の生み出した数々の廃墟には、昭和の 「金になりそうだからイイじゃ~ん」という後先考えないアーパー(死語)さが残っており、あれこれ妄想を膨らませるのに最適なのである。

(以下文体が崩れます)

 だって純金風呂だぜ純金風呂。 「時価1億円の風呂に入れます!」 って、なんだよその田んぼ売って金を作った田舎の成金みたいな下品なセンスは! ついでに言えば入浴料が宿泊料とは別で、1分だか2分だかにつき1,000円なんだよ? どんな吉原の高級嬢なんだって話だろ。 しかもそのホテルのフライヤー(チラシ) ってお札の形なの。 それが横井一族が経営する他のレジャー施設なんかに置いてあって、その辺のブレない下品さを堂々とやれてしまうところに凄みを感じるよね!

(ここまで)

 ところが、そんな廃墟の父こと横井英樹は、地元民からの評判はすこぶる良い。 彼のような問答無用の怪物がいてくれたお陰で、地元民が職にありつけたという一面もあるのだ。 今の時代に例えるならばホリエモンがそれに近いのかもしれない。 彼も良いか悪いかは別として、新しいビジネスの流れを作った事は間違いないし、2ちゃんの削除人なんかを次々とライブドアに入社させ、それなりの肩書を持たせるといった 「らしい」 人事を行っていた。 また学歴のない人間や、社会不適合者じゃないかと思われるクセのある人間を優先して入社させていた初期ドワンゴにも同じ臭いを感じる。 色々と問題が多いのは間違いないが、恩恵を受けた人間が多いのもまた事実なのだ。

 また横井英樹が多くの廃墟を生み出したように、こうしたITブームの流れに乗った虚業家、もとい実業家達も、それはそれは多くの負の遺産を残している。 グルーポンのおせち事件や、殺人ユッケ事件なども、見方によっては平成の虚業ブームの澱みから生まれたようなものだ。

 そういえば、横井英樹といえば国税が血眼になって探し回っても見付け出せなかった 「足りない金」 があったのだが、その隠し所のひとつは某姉妹ではないかと言われている。 考えてみれば近頃はあのエセ姉妹もめっきりメディアへの露出が減って来たし、彼女達こそ横井英樹が残した最後の廃墟になるのかもしれない。

Written Photo by 荒井禎雄

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