裏社会に狙われる日本のライフライン 「今は電力よりプロパンガス利権」

TABLO / 2013年12月8日 14時0分

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 電気、ガス、水道といったライフラインは私たちの生活に密着するものである。それだけに利権とつながりやすく裏社会が絡んでいることも多い。その中でもガス業界は特殊だ。都市ガスとは絡むことはないものの、プロパンガス業界に暴力団は深く食い込んできた。都市ガスと違って、プロパンガスは自由競争の世界だ。この業界に絡んでいた暴力団関係者から話を聞いた。

――プロパンガス業界のうまみとは?

「プロパンガスと言うのは、40%以上もの粗利がある商売なんだな。配管工事などを無償で引き受けたりして、例えばA社からB社に替わるなんて場合がある。そんなプロパンガスを切り替えるときが最大の稼ぎどころだ。だから、ガス会社は工務店あたりにリベートを回したりして、一度契約したら毎月確実にカネが動くから、あの手この手を使うようになるわけ。ガスブローカーとかな」

――ガスブローカーとは?

「プロパンガス適正化協会とか、わけのわからない名前の協会がいくつもあるんだよな。そういうところはガス会社が金を出して、相談してきた人間のガスの供給元を勝手に換えてしまうんだ。初めは月額の費用が落ちたように錯覚するんだけど、頃合いを見て、すぐに値上げする。暴力団やブローカーが暗躍する余地があるわけだ」

――切り替え時の具体的な報酬は?

「プロパンガスを一軒切り替えたら、使用量に応じて3万から多い時は10万くらいのマージンが出る。マンション全体を切り替えたらすぐに数百万にはなる。だから俺たちも必死だよ。夏場は(刺青が見えるように)半そでで敵対するガス会社に行ったりして。街宣車を出してガスボンベを返しに行ったこともある」

――そんなことをして警察は動かないのか。

「俺たちが行くのは小さな販売店じゃない。卸元だから。そういうところはみんな暴力装置を持っているから心得ている。震災以降、電力業界がどうこう言われてるけど、今はプロパンガスのほうが旨みが大きい」

――しかし、そんな脅しめいた営業でプロパンガスが切り替わるものなのか。

「不動産屋と組んだり大家と組んだり、いろいろな手を使っているから。プロパンガス会社と契約する際は、液化石油法14条と言うのが必ず交付されるんだけど、一般人はよく目を通すべきだと思うよ」

 ここに液化石油法の14条の内容を書いておこう。これは販売店に義務付けられているもので、新たにLPガス取引を始める際は、料金構成やその内容、設備の所有権などを消費者にわかりやすく書いた書面のことを指す。書面には以下のことが書かれいる。

(1)LPガスの種類
(2)LPガスの引渡しの方法
(3)料金 (料金制度の内容、料金制度の考え方など)
(4)設備の所有関係(どれが販売店所有で、どれが消費者所有か)
(5)設置、変更、修繕および撤去に要する費用の負担方法
(6)消費設備(ガス配管、給湯器、コンロなど)を販売店が所有している場合は、
・利用料や支払方法
・契約解除時に消費者が消費設備に係る配管を買い取る場合の金額や算定方法
(7)消費者、販売店、保安機関の保安上の責任

 もし、プロパンガス使用者で、この14条書面をなくしたり、受け取った記憶がない場合には販売店に申し出れば交付してもらうことができる。

――これのどこに気をつければいいのか。

「4、5、6の部分だな。通常は所有権がガス会社になってる場合がほとんどだけど、他のガス屋に相談無く決めた場合、必ず揉める。使用者に不利になっている場合は俺たちの出番になるから」

――ユーザーが気を付ける点は?

液化石油法14条を交付してもらったら、自分のガス会社に交渉できるってことは知っておいて損はないだろう。ヨソはこれだけ安く供給するとカマシを入れるんだよ。そうしたらガス会社は余計な手間を掛けたくないから絶対に安くしてくれるだろう。俺たちが言えるのはここまでだな」

 我々の知らないところで裏社会の手は着々と広がっている。それは人間が生きるために必要なライフラインとて例外ではない。

Written by 西郷正興

Photo by GeS

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