脱法ハーブでついに死亡者...殺人媚薬「アロマリキッド」販売業者インタビュー

TABLO / 2013年12月14日 14時12分

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「快感が得られると聞いてアロマリキッドを飲ませたら、女性の体調が悪くなった」
 ラブホテルで体調不良に陥った知人女性(41)を放置して死亡させたとして、10月17日、大阪府警に、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された無職男(40)=大阪市生野区=は事件のいきさつをこう話しているという。

 男が女性に飲ませた「アロマリキッド」とは、媚薬効果がある脱法ドラッグ(脱法ハーブ)の一種だった。国は定期的に薬物を規制しているが、法をくぐり抜ける製造者が後を絶たず、今でも普通にインターネットなどで販売されている。これら脱法ハーブには一部の暴力団関係者も関わっていると見られ、製造から輸入、卸、小売まであらゆる分野での暗躍が疑われている。

  都内の繁華街で脱法ハーブを販売していた元業者の男性(38)は絶対に匿名を条件に取材に応じてくれた。

――いつ頃まで販売をしていたのか?

「今年の4月までですよ。今はもうやっていません」

 ――止めた理由は?

「警察の指導と卸し元との付き合いが面倒になったので」

――卸し元は暴力団ですか?

「それに近い人間ですね」

――付き合いが面倒とは?

「仕入れ以外の付き合いですね。クラブに顔を出せとか、少し金を回してくれとか。言い方は変わるけど、こんな商売始めるから金出さないかとか。ファンドがどうとかって。向こうからすると仕入れの数量でこっちの売り上げも全部筒抜けですからね。そんなに儲けてるならって、いろいろとタカってくるんですよ」

――ミカジメ料みたいなものか。

「そんな事もありましたね。だけど一番の理由は警察です。最近は本当に厳しくなってきたんで。当初は"ハーブ"だけうるさかったんですよ。それがアロマリキッドまで厳しくなったので、もう潮時だと思ったんです」

  厚労省によると、アロマリキッドに明確な定義はない。植物片に合成薬物をまぶしたり、吹き付けたりした「ハーブ」に対して、アロマリキッドとは液体状の脱法ドラッグを指す場合が多い。ネット上には、アロマリキッドに関する情報をまとめた掲示板が数多く存在し、媚薬として効果が体験レビューとして書き込まれている。

 だがその一方で見落とせないのが、呼吸困難になったり、気分が悪くなったりするという書き込みも多いことだ。その危険性がありながら「脱法」「合法」の名がついてしまうのは、売られている製品から国が規制している成分が検出されていないというだけ。安全だから合法だなどと勘違いしてはいけない。

 健康に害を与える物質は、まず薬事法の指定薬物に指定され、製造や販売が原則禁止される。 それでも使用が続く場合は、麻薬取締法の「麻薬」に指定され、製造や販売だけでなく、 所持や使用も罰せられる。

  国が指定薬物にしているのは約900種類、麻薬でも150種類以上が指定されている。この指定薬物は年に4回、麻薬は半年に1回ほど新たに追加されている。それでも担当者は「新しい商品が次々と出てくる。規制するには中を調べて薬物が入っているか確認する必要があり、 どうしてもイタチごっこの状態になってしまう」と規制の難しさを説明する。だが、このイタチごっこも続けなければ野放しになってしまう。この体力を尽くした消耗戦だが、先に根を上げたのは末端の小売業者だった。

 ――強まる規制、取締りについては?

「まずひとつ言っておきたいのは、小売してる連中は売ってる中身がどんな薬物なのか詳しいことは何ひとつ知らないってことです。アロマリキッドにしてもハーブにしてもわからない。中にどんな指定薬物が入っていのるかわからないんですよ。卸業者から『これは規制されていないので安心』と勧めてくるのを売るだけなんで」

ーー規制情報はどこから得るのか?

「卸業者から聞く情報が頼りですね。だって信用するしかないじゃないですか。いちいち、商品の中身を確認するわけにはいかないんで。規制されてないと言われれば、それを信じて売るだけ。だけど、2年くらい前から、『××という商品は規制されたから早く売り切れ』みたいな連絡が入るようになって、規制のせいで売り物にならない商品在庫が増えていったんですよ。その頃からですね。引き際を考えたのは」

ーー自分自身では「合法ハーブ」を使わない?

「罰ゲームでも無理です。あんなの中身が正体不明ですから。もちろん、何度か試したんですが、"合法"はカラダに合わないみたいです。蕁麻疹ができたり、翌日ずっと体が重かったりで。これはカラダに悪いだろうなぁって。安酒みたいな酔い方なんですよ」

 ――かなり稼いだのか?

「インターネットではかなり儲けましたね。SEOを仕掛けて、検索で関連キーワードの上位にいるだけで月に数千万の売り上げ......という時期もありました。だけど、すぐに似たような業者が増えてきて売り上げは十分の1くらいに減りました。店舗はトントンですね。ネット販売の方が良かったですよ。店舗は構えないほうが良かった。いろいろ面倒な付き合いが増えるだけでしたから」

ーー死亡事故が起きたことについては?

「いつかこんな事故が起きるんじゃないかと思っていました。中身は本当に何が入っているか分からないんですから」

 売る側の人間が「中身が正体不明」という脱法ハーブ。実際に大阪では死亡事故まで起きてしまった。命の保証がない媚薬など単なる毒薬でしかない。こんな危険なものには絶対に手を出してはいけない。

Written by 西郷正興

Photo by Jane Rahman

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