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「わしはあの女医に説教された!」ある詐欺師の証言...西成マザーテレサ不審死事件【続報4】

TABLO / 2013年12月20日 22時0分

「わしはあの女医に説教された!」ある詐欺師の証言...西成マザーテレサ不審死事件【続報4】

 今まで数え切れないほど、この地域に潜入し、さまざなな取材をした。「西成のマザーテレサ」こと女医・矢島祥子さん不審死事件について続報したい。

 西成のメインストリート、西成警察署に続く道を紀州街道という。かつては住吉街道とも呼ばれ、大坂と和歌山を結んだ由緒ある街道である。だが、今はこの地域で暮らす貧困者が背中を丸めて歩く、スラム街のストリートになっている。これほど過去と落差の大きい街道もほかにないだろう。

 紀州街道に面したある飲食店。そこに現れたのは、貧困ビジネスでシノぐ、裏社会の人物だ。西成のある有力者による紹介で話を聞くことができた。彼は生前の矢島さんとも面識があるといった。

――どんなビジネスを行っているのか?

「......どこまで話していいんか、あれなんやけど。まあ、病院に患者を送り込んどる」

――送り込むとは?

「あいりんセンターとかな、ここらを歩いてる人間に声を掛けて病院に診察に行かせるんや。そういう病院を何カ所か掛け持ちしてな」

――どのような形で利益を得ているのか。

「新患は3000円。後は通院させると、1人1回500円がこっちに落ちてくる」

――診察内容に限定は?

「精神科、内科、外科。何でもある。自由にやれる」

――どんな理由で診察に?

「精神科は寝れないでも疲れやすいでもうつ病の診断が下りるんで一番簡単やね。内科も寝れないとか腹が痛いとかいろいろ作れるし、外科とか整形の場合は首が痛いでも腰が痛いでも大丈夫やろ。人間のカラダいうんや本人しか分からない故障があるんやと。なんでもええんやから、自由にやれるいうんはそういうことや」

――病院に連れて行く患者は生活保護受給者なのか。

「それだけではない。受給してなくても医者は診察する。後で西成区に請求すると金が下りてくるんや」

――あいりんセンターには無料の医者あるが、あそこは利用されていないのか。

「あそこはヤブ医者や。誰も行かんで」

――生活保護受給者でなくても稼げるということは「行路病者」扱いになるのか。

「そんな事は知らん。だが、誰でも引き受ける病院はいくつもある。たまには救急車も乗せるしな」

――仮病なのに薬が処方されたらどうするのか。

「ほとんど買い取りや。値段は薬によって変わるけど。そんな連中はこの西成に腐るほどいる。そんなわしらにガーガーうるさかったのが、あのマザーテレサや。あの美人女医のなんとかって」

ーー矢島祥子さんを知っているのか。

「知ってるも何も。わしらは注意された事があった。夜、三角公園で見つかって大変だったわ」

――そのいきさつを詳しく知りたい。

「わしが病院に連れてく患者のことを勝手に心配して、薬とかあげよったから『余計なことすんなや!』と怒鳴ったんや。そしたら反対にガーガー説教された」

――その件は根に持っているのか。

「そんな事を気にしてたらこの商売やってられんわ」

ーーでは、矢島さんに恨みを持っている人間の可能性は?

「そら、おるだろう。この町はみんな貧困ビジネスで食ってるんやから。あまりうるさく言われるど、うっとおしいとなるのは当然やろ」

 矢島祥子さんは、こんな町で孤独に闘っていたのだ。力と悪が支配する瓦礫だらけの町で、献身的に労働者を支援していた矢島さんは呆気なく排除されてしまった。

 西成の真実は伝わりにくい。この地域の人間が人に構わない、人に構われたくない、と思うものがほとんどだから、外部へ情報が漏れにくいのだ。また、この町の被支配層の多くは自分たちの声を世間に伝える術を持っていない。インターネットもスマホもケータイも、この町での普及率はすこぶる低いのだ。

 法律も倫理観も、ましてや警察も頼りにならない西成。この町の現実から目をそむけてはいけない。

Written by 西郷正興

Photo by 釜ケ崎有情 すべてのものが流れ着く海のような街で

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