関東連合・石元被告に懲役11年...法廷での捨て台詞「諦めねえからな」の意味
TABLO / 2013年12月23日 13時30分
東京・六本木のクラブ「フラワー」で昨年9月に男性が暴行され死亡した事件の裁判員裁判の判決で19日、傷害致死などの罪に問われている「関東連合」元幹部、の石元太一被告(32)に懲役11年(求刑懲役22年)が言い渡された。鬼沢友直裁判長は求刑を大幅に下回る判決に「事件で重要な役割を果たしたが"黒幕"とは位置付けられない」と述べた。
世間的にも大きな注目を集めた事件だったが、判決は俗に言う「五掛け」という結果になった。これは縦社会によって上下関係が厳しい不良グループが絡んだ判決ではよくあるケースで、妥当な判決であったともいえる。通常はヒットマンや実行犯よりも指示を出した人間の方が刑は重くなる。今回の石元被告はそのような立場にはないと認められた。主犯格とみられる見立真一容疑者(34)は依然として逃亡中だ。
この一連の公判を傍聴した関東連合OBに話を聞いた。彼は石元被告とも近い関係にある同世代の人物だ。
◇
ーーなぜ裁判傍聴を?
「先輩から呼ばれたんですよ。必ず1回は裁判を傍聴しろ、と」
ーーその先輩とは?
「それは勘弁してください。想像通りの人ですよ」
ーー別の関東連合OBによると、裁判の傍聴に動員がかかったというが、それは事実か?
「いや、俺は1回は行けと言われただけです」
ーー今だから言える関東連合とは?
「ヤクザじゃないのに、ヤクザ以上の凶暴性と経済力があることかな。みんな詐欺をやっていたけど、扱う金額が桁違いですよね。北海道で捕まった松下なんかも総額で30億円。振り込め、投資、社債詐欺とかマネーロンダリングもする。それが他の半グレと違う所ですかね。それに渋谷、六本木という盛り場を押さえたことが大きかったんじゃないですか」
ーーいま、関東連合はまとまっているのか。
「一部はまとまってます」
ーー一部とは?
「警察にうたった人間以外ですね」
◇
これで、六本木クラブ襲撃事件の判決は、すべて出そろった。
本間裕典 不起訴処分
増元宏明 不起訴処分
小野雄一郎 不起訴処分
弓田貴広 執行猶予4年(懲役1年6月)
屋我正英 執行猶予4年(懲役1年6月)
東江力也 執行猶予4年(懲役1年6月)
岩渕暁 執行猶予4年(懲役1年6月)
金城勇志 執行猶予4年(1役1年6月)
渡辺晟也 ※逮捕時未成年 執行猶予4年(懲役1年6月)
栗原克一 懲役13年(求刑・懲役15年)
岡崎修一 懲役13年(求刑・懲役15年)
百井茂 懲役15年(求刑・懲役17年)
後藤亮二 懲役13年(求刑・懲役17年)
元原将輝 懲役13年(求刑・懲役17年)
藤原悠平 懲役12年(求刑・懲役17年)
國田正春 懲役10年(求刑・懲役12年)
小池幹士 懲役8年(求刑・懲役7年)
石元太一 懲役11年 (求刑懲役22年)
◇
ーー石元被告の判決はどう感じたか?
「自分にとっては納得いかないですね。無罪とはいかないけど、かなり軽くなるんじゃないかと。石元のことを知ってる人間は本気でそう思っていました」
石元被告は裁判長の判決を黙って聞いていた。そして退廷時、傍聴席の仲間に顔を向け、「納得できない」と言葉を漏らし、さらに検察側に向き直り、「諦めねえからな」と凄んで見せた。はからずも五掛けの判決が出たことで、皮肉にも石元被告のカリスマ性が高まっているように感じた。シャバに残された仲間や後輩にとって石元被告は仲間を売らず、検察にも悪態をつく頼もしい男に見えているのかもしれない。
石元被告の捨て台詞は控訴を意味するのか。しかし、一審の判決は控訴すれば軽くなるわけではなく、量刑が重くなる場合も少なくない。また、指定暴力団の組員であれば、組織から脱退すれば仮釈放をもらうことは可能だが、反社会的集団である関東連合には脱退の定義がないためそれも難しい。注目を集めた事件だけに仮釈放が認められる可能性も低く、石元被告の「徹底抗戦」も考えられる。主犯格の見立真一容疑者(34)も依然として逃亡中だ。まだまだこの事件は終わっていない。
Written by 西郷正興
Photo by 実録・最後のギャング 関東連合 ブラックエンペラー五代目
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