張成沢処刑では怪情報も...中国人が北朝鮮に抱く複雑な感情
TABLO / 2013年12月27日 13時13分
北朝鮮のナンバー2と目されていた張成沢が失脚したというニュースが世界中を駆け巡っていた12月11日ごろ、中国ではひとつの怪情報が出回っていた。それは、張成沢はすでに処刑されたというものだった。
その処刑の方法がすさまじい。中国語では「犬決」という。日本では「犬刑」と訳されているようだ。記事によれば、張とその腹心5人が、はだかにされたうえで、3日間食べ物を与えられずに飢えた状態の120頭の犬が入った鉄の囲いのなかに入れられたのだという。犬に襲わせ、果ては食わせるというもの。金正恩とその妻、李雪主をはじめ、300人以上の高官が見守るなか、刑は1時間ほど続いたという。
この情報がインターネット上を駆け巡ってすぐに、張成沢が裁判後すぐに銃殺されたというニュースを各国メディアが報道した。中国でも、主流メディアは「犬決」ではなく、「銃殺」の方のニュースを流している。「犬決」はほぼ間違いなくいわゆる流言だろう。
とはいえ、「犬決」はあまりにも鮮烈なイメージを中国のネット世界の人々に残した。その後の中国のネット空間では、この「犬決」という言葉が飛び交っている。矛先は汚職官僚などに向き、SNS上で「○○は"犬決"すべきだろう」などとつぶやく人が続出している。
中国の人たちの北朝鮮に対する感情は、世代による違いがかなりある。
年齢がある程度上の世代では、朝鮮戦争の記憶が濃い。朝鮮戦争では多くの中国人が戦った。78万人の中国人が参戦したともいわれ、当事国だった北朝鮮や韓国よりも投入した人数が多かった。そして、戦死や行方不明者は合わせて18万人以上、22万人以上が傷を負った。中国人にとって北朝鮮という国の土台には、自分たち同胞の血と汗がしみ込んでいるという思い入れがある。それだけに、この年代の人々は、北朝鮮が思うようにならないと、憤りを感じるようだ。
その一方で、朝鮮戦争といってもあまりピンとこない若い世代は、世襲制で独裁的で、しかも貧しいイメージが強い北朝鮮を、恐ろしい国、かわいそうな国、そして理解困難な国と認識している。日本から見れば、同じ共産主義国かもしれない。しかし、市場主義経済を導入しすっかり豊かになった中国の人々にとって、北朝鮮はとうの昔に、シンパシーなど感じられない国となっているのだ。
Written by 劉雲
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