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【ショートストーリー】恋してみたら? 第17話 「絵美ちゃん <恭平 ①>」

KOIGAKU / 2014年3月27日 8時0分

40代の未婚男性ってヘンですか?

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会話は一向に弾まなかった。大きな溜息を思わずついてしまい、恭平は慌てて咳払いをする。向かいに座ったお見合い相手は俯いて固まったまま。
ああ、絵美ちゃんだったら! 思わずにいられない。

赤井恭平41才。父の経営する病院の事務局長。父母も姉も医者。本当は恭平も医者になる予定ではあったが挫折、仕方なく事務局長という事になり――。

「そういうことプロフィールに書かなくていいですから」
結婚相談室エデン入会の際、カウンセラーの沢木に驚かれた。その上、恭平はお相手希望欄に「20代」と書いたから、沢木は呆れ顔になった。

「お見合いの場合、20代の女性は40代の男性とお会いになる方はあんまり…。言いにくいんですが、20代のお嬢さんはそんなに結婚焦ってないでしょう? 相談室の看板みたいな感じで積極的じゃなく登録だけされてる方も多いし…」
無理だからやめとけ、と言うことだ。そんな事は百も承知。どのみち俺に結婚相手などみつかりっこない。強引に相談室に入会させる親への反発心が、恭平を意固地にさせていた。20代の見栄えのいい女性にしか“お見合い申し込み”をしなかった。OKの返事なんか全く期待してないし!
ところが……来たのだ、OKが。25才の絵美ちゃんから。

「アタシ、同世代ってダメなんです。学校の先生とか好きになるタイプで」
絵美ちゃんは、年上男性との出会いを求めて相談室に入会したという。
「20代のうちに結婚したいんです。若いお母さんの方がいいでしょ?」
よく動く丸い瞳が、恭平の好きなアニメの主人公にそっくりだった。

恭平はアニメ好きだ。その話題もピッタリ合った。アニメの話題だけではない。彼女とは最初から話が弾んだ。
でも、俺はよくても彼女は退屈しているかもしれない…。
だが、次を誘うと彼女は断らなかった。次も、その次も。
彼女が行きたいという店で食事し、車で送る。週に1度は会ううちに2ヵ月が過ぎた。

歯科衛生士の絵美ちゃんは一人暮らし。田舎に仕送りもしているとかで、生活が大変そうだった。相談室の会費もばかにならないだろう。
恭平はある日、彼女が欲しがっていたバッグをプレゼントした。交際記念のつもりで。彼女の喜びようときたら!
その顔が見たくて、次はネックレスを、その次は靴を…と、続けざまに贈り物をした。絵美ちゃんが喜んでくれれば幸せだった。だが…。

これまでのプレゼントとは意味合いの違う指輪を贈った夜以降、一切連絡が取れなくなった。「交際お断り」の素っ気ない定型メールが届いた翌日、サイトから彼女の登録が抹消された。エデンを通して問い合わせても、先方の相談室は個人情報を盾に何も答えてくれなかった。

あれから半年――。もうお一人だけ! カウンセラーの沢木に拝むように言われ、渋々見合い話を受けた。

38才、地味だが清楚な女性だ。頭も薄くなってきた恭平に贅沢なんか言えないのは分かっている。が、やっぱり。……あと10分粘ろう。いくらなんでも15分で帰るわけにはいかないから。

所在なく周囲に目をやる。ホテルの最上階ラウンジ。土曜日は、自分たちのようにお見合いと分かるカップルも多い。
と、見覚えのあるバッグが目に入った。手作りの一点物、あれは…?!
窓際の席で、バッグの持ち主は身を乗り出して連れの男に話しかけている。
絵美ちゃんだった。
                                                   つづく

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