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Yahoo!ニュースにも掲載された、「ポリアモリー」の私について(きのコ)

KOIGAKU / 2017年1月8日 11時0分

はじめまして、きのコです。
自分のことを、ポリアモリーだと認識している人間です。
ポリアモリーとしてメディアへの出演やウェブコラムの連載をしたり、ポリアモリーに関する交流会の運営に関わったりしています。
いきなり聞きなれない言葉が出てきて、「ポリアモリーって、なに?」と思う方もいるかもしれませんね。

今回は、ポリアモリーとは何かについて、お話していきたいと思います。
ひとことでいうと、私には恋人が2人います。そしてそのことを恋人たちにオープンにして、全員の合意を得たうえでお付き合いをしています。

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幼い頃から、複数の人を同時に好きになる……。

初恋は、小学生のときでした。
クラスメイトのYくんのことが気になりはじめたのを覚えています。
それから、Rくんと、Zくんのことも。
思い返せば小さい頃から、私には「好きな人が1人だけ」という経験があまりなかったような気がします。ただ、その時はそのことを深く考えてはいませんでした。

それが悩みとして浮かび上がってきたのは、いわゆる思春期になってから。大学に入って間もなく、人生で初めての恋人ができたのです。
「これがいわゆる、大学デビューってやつ……!?」
私はすっかり舞い上がっていました。初めてのデート、初めてのキス、そして初めてのセックス。何もかもが嬉しくて楽しい毎日でした。

ところがしばらくそんな日々が続く中で、私は自分のなかに、他の人たちに対する恋愛感情が芽生えているのに気付いたのです。初恋の時と同じように。
でも、初恋の時と違っていたのは、そのころの私がすでにテレビドラマや小説で「浮気」や「二股」という概念を知っていたことでした。

「うわっ……私の貞操観念、なさすぎ……? これって浮気、だよね……」
とはいえ私の感覚では、「浮気」ってもっとチャラチャラしたゲーム感覚の遊びというイメージでした。でも、いま自分のなかにある恋人への気持ちと、他の好きな人への気持ちは、どちらも真剣なものだと私には感じられました。
「どうして恋人だけに一途な気持ちでいられないんだろう。どうして他の人も好きになってしまうんだろう。しかも、恋人が本命で他の人が遊びというわけじゃない。全員のことをちゃんと好きだからこそ、私はどこかおかしい……」
嘘をついて浮気をしているという罪悪感と、自分の本心を明かせないもどかしさに、思い悩む日々が続きました。

「ポリアモリー」との葛藤

そんな時にWikipediaで出会ったのが、「ポリアモリー」という概念でした。
「ポリアモリー(英:polyamory)とは、つきあう相手、親密な関係を同時期に、一人だけに限定しない可能性に開かれていて、全ての関係者が全ての状況を知る選択が可能であり、全員がすべての関係に合意している、という考え方に基づくライフスタイル、または恋愛関係のことである。」

この説明を読んだ時、「そうか!!! 私はコレだったんだ!!!」と目から鱗が落ちる思いがしました。でも、次の瞬間、私のなかの別の私が囁いたのです。
「いやいや、こんなの許されるはずない。何がポリアモリーだ、こんなふうに開き直っちゃ人間おしまいだ。バレないうちにこの『心の病気』を治さないと……」
私はハッとして、このことは誰にも言えない、と胸にしまい込みました。
その日から、私は「ポリアモリーとして生きたい」という思いと、「ポリアモリーを治さなければ」という思いとの葛藤に苦しむことになったのです。

やがて社会人になりましたが、恋する相手は移り変わっても、私の「複数の人を同時に好きになる心」は、変わらないままでした。
そんな自分を変えたい・治したいという一心で始めた、人生初の二人暮らし。しかしパートナーのことも心から愛しているのに、他の人たちに向かっても燃えてしまう恋心を、やはり私はコントロールできませんでした。
そんな中でやがて関係は終わりを迎え、彼は家を出て行きました。
1人暮らしには広すぎる部屋にぽつんと座って、「終わった、まともな人生のレールから外れてしまった……」と私は人生に絶望しました。

そしてドン底の気持ちのなか、何かが剥がれ落ちたように、私はこう思いました。
「これ以上自分を隠したり治そうとしたり、自己否定していたら死ぬしかない。もう、『ポリアモリー』の自分を受け入れてあげよう。最期に孤独死したとしても、1度きりの人生、自分に正直に生きたい!!」

「ポリアモリー」をカミングアウト

こうして、私はついに「ポリアモリー」である自分を受け入れようと決めたのです。初めて「ポリアモリー」という言葉に出会ってから、実に10年近い歳月が流れていました。

それからの私は、少しずつ恋人や友人たちへポリアモリーをカミングアウトしはじめました。
いまの恋人には、付き合い始めるタイミングでポリアモリーであることを伝えました。その後ポリアモリーであることを受け入れてもらえるまでに年単位のぶつかり合いはあったものの、何度も何度も話し合いを重ね、私が他の人を好きになったり恋人関係を築いたりすることについて、お互いの合意できるポイントを少しずつ積み重ねていきました。
そして、ネットでもポリアモリーであることをオープンにして、メディアへの出演、ウェブコラムの連載などを始めたことは、最初にもお話したとおりです。

「ポリアモリー」の私が、Yahoo!ニュースで紹介される

そんなある日、私の受けたインタビューの記事がYahoo!ニュースに掲載されました。反響は大きく、記事には6,000件近くものコメントをいただきました。
そんな折、恋学から「いろんな恋愛のかたちをユーザーに知ってほしい」とこの連載を始めることについて声をかけられたのです。

ポリアモリーが良いとか正しいとか、ポリアモリーを勧めるつもりはありません。けれど、「こういう人の愛し方・付き合い方もあるんだな。そういう人もいるんだな」というひとつの恋愛のあり方についてお話しする中で、「恋愛のかたちはひとつではないし、唯一の正解もない」ということを、お伝えしていければと思います。
これからよろしくお願いします!

Written by きのコ

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