【ショートストーリー】恋してみたら? 第24話 「忙しい彼(前編)」

恋学 / 2014年5月15日 1時40分

「気持ちは変わってない」、の言葉が欲しいだけ。
        待つには待つだけの「何か」が必要なのに。

20150515

 インターネットで「忙しい 彼 メール」で検索したら、同じようなアドバイスがずらりと表示された。
“追っかけメールはやめましょう。逆効果です”
“忙しい彼を待つのではなく、自分の時間を楽しもう。”
“彼のことは放っておいて、自分磨きをしましょう”
はいはい、わかってます。
その回答なら昨日も一昨日も聞きました、知ってます。
そんな気持ち。
なら検索しなければいいのだが、会社に来てPCを起ち上げると必ず見たくなる。
同じ悩みを持っている人が投稿なんかしていると、ちょっと落ち着く。
それって変?

 結婚相談室エデンのお見合いで、上田俊之と出会ったのは半年前の事。
先に萌に夢中になったのは、上田の方だった。
27才の萌にすれば、30才までに結婚という思いの中で、他の人も視野に入れながらの軽いお付き合いだった。
感じのいい楽しい人とは思ったが、上田は10才も年上だし、特別タイプという訳でもない。
そんな二人の関係が逆転したのはいつ頃からだったろう。

 雑誌社に勤める上田がとても忙しい人だというのは、分かっていた。
帰宅はいつも深夜。休みも休みにならない事が多い。
今思えば、付き合いだした当初は、結構無理をしてくれていたのだろう。
萌が俊之にのめり込むのと比例するように、朝晩していたLINEでの会話が途切れはじめた。電話もほとんど繋がらない。
二ヶ月前に会ったきりだというのに。
黙られると、自分たちが恋人かどうかさえ信じられなくなってくる。

 本でもネットでもやたらと“自分磨き”が推奨されるけど、今の萌は、趣味のヨガをやっても心は晴れず、友達と飲みに行っても楽しめない。
そもそも何のための“自分磨き?”と思ってしまう。
新しい洋服を買っても恋人に見て貰えないなら心が躍らない。
何をしていても、上田から連絡が来ていないか気にかかる。

 忙しくても前は通勤の途中に連絡くれたのに。
トイレに行ったり、御飯を食べたりする暇はあるはずなのに。
私が寂しがっていても平気なの?
と、毎日毎日同じことを自問し、最終的に行き着くのは、
私を・・・もう好きじゃなくなった?
という焦り。
そう、私は気持ちが聞きたいだけなのに、と思う。
忙しいから待って、と言ってくれたら待つ。
気持ちは変わってない、の言葉が欲しい。
待つには待つだけの「何か」が必要なのにそれがない。
だから不安なのだ。
                          (後編につづく)

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