働きたいなら結婚はあきらめるべき!? 20代だからこそ考えるべき「両立しない」生き方
KOIGAKU / 2014年5月22日 22時20分
たくさんの物事をバランス良くこなすことで働く女性は本当に幸せになれるの?
「実は、本のタイトルは担当の編集者から提案されたもので、私も正直『こんなに言い切って、大丈夫?』とドキドキしていました(笑)」と笠井さん。
彼女がこの本で本当に言いたかったことは、「一生涯の中で、結婚か仕事かを選びなさい」ということではなく、「本気で叶えたい夢や手に入れたいものがあるのなら、一時でもそのことに集中しないと、何も手に入れることはできないよ」ということ。
ワークライフバランスにマルチタスクなど、とかくたくさんの物事をバランス良くこなすことがカッコイイという昨今の風潮に、一石を投じる提案と言えそうだ。
「別にキャリアアップを目指しているワケじゃないし、結婚したらゆるっと働きたいワケだし、“成功”とか言われても自分とは関係ない」、そう感じる人も多いかもしれない。
「でも、考えてみてほしいんです。恐らく私たちは60代を過ぎても働き続ける必要がある世代。しかも、現在の女性の平均寿命は86歳。今後はもっと延びるとも言われています。年金だってどれほどもらえるか分からない将来、備えとして、60代になっても70代になっても働き続けられる自分を作る必要は、誰にでもある時代なのだと認識しなくてはなりません」 長く働き続ける “仕事力”のようなものを培うには、人生のどこかで、他のことを全て忘れるほど仕事に集中する時期を持つ必要がある、というのだ。そのタイミングは「人生のなるべく早いうちに」と、笠井さんが勧める理由はこんなところにある。
「やはり、アラサー、アラフォーと年齢を重ねてくると、次第に素直になれなくなってきますよね(笑)。周囲のアドバイスがうるさく感じられたり、目の前のことだけに熱中することがリスキーになったりする。それはもちろん、結婚、出産が視野に入ってくるからなんですけれど、やはり二兎を追う者は一兎をも得ずで、仕事も、婚活も、プライベートの充実も……とやっていると、結局どれも中途半端。後悔ばかりの人生になりかねません。生き証人の私が言うんですから、間違いないですよ(笑)」
青い鳥を追い続けた20代、すべてを失ってから「目の前のことに集中すること」の大切さを知った
実は笠井さん、天職だと話すファイナンシャル・プランナーの仕事に出会うまでは、いわゆる青い鳥を追いかけ続け、気がつけば5000万円もの借金を背負っていたという過去がある。武勇伝と言うにはあまりにはっちゃけたエピソードの持ち主だ。
冒頭の著書は、その借金の返済を手伝う代わりに、彼女を拾ってくれたカリスマコンサルタントに“本当の仕事”というものをたたき込まれ、現在のプロフェッショナルな笠井さんになるまでの顛末記でもある。「自分のやりたいことで輝きたい」「自分にはもっと何かできるはず」そう思いながらも、「結婚だっていつかはしたい」と言って、はっきりした目標も目標に対する強い意志も持たず、その場限りの判断で転職、転身を繰り返すかつての笠井さんの姿は、「これってもしかして今の自分?」と感じる読者も多いよう。
さすがに5000万円はスケールが大きすぎるけれど、「この仕事で頑張るしかない」と、真剣に腹をくくったことでその借金さえ帳消しにできた、元普通の働き女子・笠井さんのエピソードは、「目の前のことに集中すること」の大切さをひしひしと伝えてくれる。
「やりたいこと、好きなことを仕事にする。そんな人生には確かに憧れますが、私自身もそうだし、周囲を見ていても感じるのは、やりたいことをしている人より『やるしかない』と心に決めて進む人の方が強い、ということです。そして、『やるしかない』と覚悟を決めることで、才能が引き出され、結果的に仕事が天職になっていくんですよね。先ほども言ったように、人生は長い。ゆっくりでいいんです。順番に、一段一段階段を上っていく。私がこの本で言いたかったのは、回り道のように見えるけれど、その方が幸せな人生を送れるということです」
自身が納得できる仕事ができるようになってきた今、そろそろ結婚を考えてもいいかなと思いはじめているという笠井さん。すでに40代を迎えているものの、彼女の口調に焦りはない。むしろ、これから訪れる50代、60代を楽しみにしているようにさえ感じられるのは、やはり一歩一歩、納得感を持って歩みを進めているからなのだろう。
もし、あれもこれもと欲張りがちになって、本当は何をすべきなのか、一番叶えたいことが何なのか分からなくなっているなら、ぜひ、笠井さんの「両立しない」生き方を見習ってみよう。
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