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【読みきりショートストーリー】恋愛カウンセラー日記「スリッパ」

KOIGAKU / 2014年7月30日 2時39分

「彼の為」にしてあげることいっぱい。
「彼が望むこと」は全部してあげる。
でもそれ、ホントに彼の為?
ホントに彼が望むこと?
彼の為が「自分の為」だったり、
望むことが「望んで欲しいこと」だったりしない?

20140730

OLのミオさんは、尽くすタイプの女性です。
お見合いで出会った彼は、都心のマンションに一人暮らし。
商社にお勤めで年収も高く、スラリと長身で彼女のご希望通り。
ただ一つ難点といえば、バツイチという点だったけれど、子供もおらず、
二人には何の障害もないように見えました。

尽くし型のミオさんは、一月足らずで彼の部屋の合い鍵をゲットし、
掃除に洗濯、週末には手料理と張り切りました。
早すぎるのでは?と心配しましたが、
平日は泊まらないし、彼の予定があれば週末も会わない。
束縛していないから大丈夫、と笑顔でした。
部屋に時々行ければ、それだけで安心だから、と。

「いつも部屋が綺麗で嬉しいって言ってくれました」
「外で食べるより私の料理が好きだって」
クッションカバーを手作りで統一したとか、
散らばっていたCDをケースを買って整理した、とか
ミオさんは自慢気に報告してくれました。
でも、何だか気になっていたのです。彼女が笑いながら最後に言った言葉が。
「彼、何だか人のウチみたいだな、なんて言うんですよ」

別れは突然やってきました。
理由は、スリッパです。
別れた奥さんが履いていたスリッパを、ミオさん勝手に捨てちゃいました。
夫婦お揃いのスリッパは、亡くなった恩師からのプレゼントだったとか。

「そりゃ恩師の方には悪かったけど・・・でも奥さんが履いてたのが家にあるの嫌だったから。新しいのも買っておいたし、なんでそんなことで・・・わかんない」
ミオさんは訴えます。
「だって古びた、ただのスリッパなんですよ。どんなに綺麗に掃除してもあれがあるだけで、私たちの部屋じゃないみたいで」

彼女はまだ気づいていませんでした。
その部屋が“私たちの部屋”じゃなく、“彼の部屋”だったということに。
                                   (おわり)

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