【読みきりショートストーリー】 恋と罪 「三股宣言」

恋学 / 2014年9月10日 1時7分

今度こそと思うのに 失敗ばかり繰り返す
あたしはただ 恋がしたいだけなのに

20140910

 28才のコウジはフリーター。自称お笑い芸人志望だけど、居酒屋バイト以外してる様子なし。
 36才のユウスケは、イベント会社の契約社員。イケメンだけど、その分、女子受けもいいので浮気しそう。契約の為、将来性は疑問。
 ホリエさん、42才。広告代理店の副社長。職場の上司。やさしくてHもうまい。お洒落な店に連れてってくれるしプレゼントもリッチ。但し、妻子有り。
 ・・・山内さんに振られて二か月。あたしは“三股宣言”をした。
したっていっても幼馴染みの聡に、飲みながら話しただけだけど。

「一人から連絡途絶えても平気だし、土日だって全員ダメって事ないし」
「でも今日は三人ともNGだったんじゃねえの」
聡は、あたしの奢りの高いワインをがぶ飲みしながら憎らしいことを言う。
ま、仕方ないか。あの時はお世話になったから。
 賞もとってるライターの山内さんと付き合えて有頂天だったあたしは、連絡無精の彼のせいで、半年で病気みたいに痩せてしまった。〆切があるからと会って貰えず、あげくの果てに重いとか、面倒とか言われ、薬なしで眠れなくなった。しかも彼は他にも彼女がいて・・・。

 自慢した手前女友達には話せず、相談したのは幼馴染みの聡。
定食屋の跡取り息子の彼は、定休日の日曜なら、いつでも出てきた。泣きつけば平日の閉店後でも車を飛ばしてくれた。
一緒に酒を飲んで話を聞いてくれるだけでも、一人よりかはマシだった。

「お前さ、二兎を追う者は一兎をも得ずってことわざ知らんの?」
「国語2のあんたに言われたくない。二兎じゃなく三兎だし」
「三人に振られたら、一人より打撃じゃね?」
「山内さんは、特別な人だったからああなっただけ。」 このあたしが三人に振られるわけないだろうが。
「美咲ってさ、見た目でモテるか知らんけど、長続きしないじゃん」
ワインをひっかけようとした手首を、一瞬早く握られた。
腹立ち紛れに飲み干したら、白いワンピに雫が垂れた。ホリエさんに買って貰ったばっかのやつ。まいっか。土日は絶対無理なんて男。
「私、もう帰る」
財布を出したら、一万円札が減っていた。コウジのやつ!
ふと見ると、ケバい女と窓際で食事している男に見覚えが・・・ユウスケ?! 私が教えた店に他の女と・・・!?
 追いかけてきた聡に腕を掴まれた。
「あのさ、30になってお互い相手がいなかったら付き合おうって約束したの覚えてる?実行してみっか」
バカ言わないで!思わず大声になった。相手ならいるし。
「なんであたしが、地元の定食屋と付き合うのよ。あたしはもっと特別なの!」
「片仮名の職業と付き合えば特別なのかよ。複数と付き合うのが特別か?そんな特別、どこが嬉しんだ?!」
ほっといて!、振り切って歩き出した頭が混乱している。
ホリエさんに電話で相談? 出るわけないか。
コウジの部屋で缶ビール? あの汚い部屋、気分じゃない。

 聡と付き合う? まさか。・・・
でも不思議にドキドキする。
もしかそうなったら、三人とは別れなきゃだよね?
じゃうまくいかなくなった時、誰に相談すればいいの?
やっぱり、一人は残しておいた方がいいんだろうか。・・・
 さっき聡に掴まれた腕がジンジン熱くなってきた。
                                                     (おわり)

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